【怪物が黄昏町の怪物になるようです】2016/4/23完結
@y_mystic2 ひりつく手には、鱗が這う。 「――――まるで、邪紋使いのようだな」 見ていた人間がいれば気づくだろう。 三日月のように弧を描く口。 いっそ子供のような無邪気な喜びに満ちたまなざしが、人間にはあり得ない鱗に向けられている。
2015-07-04 20:02:44@y_mystic2 ばり。 おもむろに鱗を這いで。 流れ出す血は赤。 「――――アンデッド、というわけでもなさそうよな。さて、今日は何が起こるやら」 心底楽しそうに、わらう、笑う。 足元は軽く。剥いだ鱗を宝石のように振りまいて。町へ、町へ。
2015-07-04 20:05:58[町]「橋を渡ると元の場所に帰れるんだって」異形の怪物が首を傾ける「けどこの格好で、お母さん、僕のこと分かるかなあ」《君が欲しければ、死と引き換えに【魂-1/異形『獣耳(探索+2)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547
2015-07-04 19:58:10@y_mystic2 街の中で、異形に出会う。 言葉は、通じた。 「橋を渡ると元の場所に帰れるんだって」 「そうか」 しかし、橋はあれど、全くもって渡れる様子が見えない。 帰るための、何かしらの条件があるのだろう。
2015-07-04 20:08:18@y_mystic2 怪物は首をかしげる。 「けどこの格好で、お母さん、僕のこと分かるかなあ」 子供であったか、と思うと同時に。 「お前が真に愛されているなら、異形であろうと問題はなかろう」
2015-07-04 20:11:38@y_mystic2 齢五つに闇魔法師を縊り殺し、それに『何も感じない』程度には精神性が怪物の己ではあるが、生まれてこの方ベルトイアの家の子だ。それは変わらん。 「もし異形が苦であるなら、一つ二つ置いていけ」 「―――たぶん、しんじゃうよ?」
2015-07-04 20:15:00@y_mystic2 「お前は帰りたい、俺はこの世界で通用する力をつけたい。何か問題があるのか?」 帰りたい子供の意志。純粋にして、美しいな。 そうして、魂が、また、一つ、削れて。 【死亡】魂-1 異形『獣耳(探索+2)』入手
2015-07-04 20:20:02そしてハンドアウトへ戻る
3日目
「町探索ばかりだな」
[ハンドアウト]気が付くと、君は電話ボックスの中で座り込んでいる。ぶら下がった受話器からは、何の音も聞こえてこない。《開始地点[町]shindanmaker.com/541547》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541552
2015-07-05 21:20:37@y_mystic2 なぜこんなところで座り込んでいるのか。 でんわ、というものだったと思う通信機のためだけの小さなガラス張りの個室。 死人の首のようにぶら下がり、たれ落ちる通信機の一部からは何の様子もうかがえない。
2015-07-05 21:24:16@y_mystic2 ぴこり、と本来耳のある場所から獣の耳が生えている。 奴め、うまく置いて行ったらしいな。 ふさり、ふさり。 うむ、たのしい。 同盟図書館のウス異本曰く、若い娘に憑ける、いや付けるのが良いと書いてあったが。 さて、誰に似合いそうであるか。
2015-07-05 21:29:23@y_mystic2 自分の母は確かに麗しいが。付けようとした瞬間紅蓮の劫火が飛んでくる未来しか見えん。 マローダーでないがそれだけは分かる。 「――――足利公に頼んで遍在説のある女官殿に付けて見ようか」 うむ、それがいい。 対応を間違ったら天下五剣で抹殺される未来も見えるが。
2015-07-05 21:33:29誤:マローダー
正:プロフェット
@y_mystic2 「まあ世迷言は『この記憶を持ち帰って』からよな」 見えているなら、異形だろうとおもしろい。 出来ないことでも面白い。 きらいなことは、わからないことだ。 だから、探しに行く。 今日も、黄昏の街へ。
2015-07-05 21:37:00[町]「橋を渡ると元の場所に帰れるんだって」異形の怪物が首を傾ける「けどこの格好で、お母さん、僕のこと分かるかなあ」《君が欲しければ、死と引き換えに【魂-1/異形『獣耳(探索+2)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547
2015-07-05 21:40:07日替わり#とは
@y_mystic2 「おまえ、まだこんなところをぐるぐるとしているのか」 ゼンマイのように紡がれる、昨日と全く同じ言葉。 こいつも帰れなかったのか、あるいは。
2015-07-05 21:43:02@y_mystic2 「お前のことが、わからんかったのかもしれんなぁ」 ―――――五才で人を殺して、何も思わないなんて ―――――素手で人を殺める力があります、この子は危うい ―――――怪物じみています、いえ ―――――すでに ―――――ああ、なんて恐ろしい
2015-07-05 21:45:49@y_mystic2 『やかましいクソども、人間様の言葉をしゃべるんじゃねェ』 『これは、俺の子だ、俺と、クロエの子だ』 一言一句。五歳の時の話を、覚えている。 生さぬ仲である父が、前に立って群衆を叱り飛ばした。 『怪物ゥ?上等ォ、俺の子だ、それに間違いはねェ!!!』
2015-07-05 21:50:38@y_mystic2 「俺は分かってもらえた、お前は分かってもらえなんだ、まとめてしまえばそれだけの話だが、哀れにも過ぎような」 そういって、もう一人の怪物に手を伸ばす。 「一つ二つ器官が増えようが、今更よ」 そして、せかいが、また、ぐるりと。
2015-07-05 21:54:02@y_mystic2 『――――生と死が直結してッからッて人生投げっぱなしバンジー決めてんじゃねェクソ餓鬼』 おっと、危ないところであったな。 バレたらまた鉄拳制裁されてしまう。 「すまんな小僧、今回は一人で行くが良い」 背を、向ける。
2015-07-05 22:03:094日目
「そして死んだな」