完結◆クビワくんの黄昏町彷徨記

ツイッター診断ゲーム『黄昏町の怪物』https://twitter.com/tasogare_yakuba/status/614077728837406720 の自己プレイログ。 18日目にてようやく本名判明(田宮亮喜/たみや りょうき) 90日目にて脱出。
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雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

ゾンビサバイバルのころはツイッターに慣れてなくてよく分からず、グランクレスト大戦はそもそも元のゲームを知らず(ので投影体とかよくわからない)で色々見送っていたが、こういうツイート診断ゲーは興味があったし、黄昏町の怪物は世界観的にも好みのジャンルだ。SS書くのも体操になっていいし。

2015-07-07 17:49:56
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

キルデスの万能命名表で名前を決めた主人公(PC)は「クビワくん」なのだが、たぶん首つりして死んだとかそういう経緯で黄昏町に来たのだと思う(首輪のように縄の痕がついてる)。

2015-07-07 17:51:11

3日目

雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

[町]川岸に排水トンネルを見つけた。真っ暗だが良い寝床になりそうだ…と思ったとき、暗闇に二つギラリと光が灯った。《力2以上で勝利【魂+1】、力1以下で死亡【魂-1/異形『猫目(探索+1、力+1)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 死ねない!

2015-07-08 00:25:41

※後になって気づきましたが、死亡したのにハンドアウト診断からではなく、引き続き町診断を使ってました。こりゃ失敗。仕方ないのでそのまま続行。

雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

首をさすりながら、今日もこの町をさまよう。周りに見える人々は影のようで、顔も分からない。人間なのか、怪物なのか、それすらも定かでない者たちに近づく気もなれず、ぼくは出来るだけ何もいない場所を求めて歩いた。口の中、妙に長く感じる八重歯が邪魔くさい。#黄昏町のクビワ

2015-07-08 00:29:54
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

八重歯? いや、これは牙だ。何かの拍子に自分の唇や、舌にぷつっと刺さると、最初は苦味が、次にはじんわりとした甘い痺れが広がる。こんな麻酔じみたもの、あの子供に噛まれた時には感じなかったのだけれど。口の中に収めるのを諦めて、ぼくはこれ見よがしに牙をむき出しにする。#黄昏町のクビワ

2015-07-08 00:31:39
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

牙のおかげか、まだ人間であろう連中はぼくに近寄ろうともしない。ああ、しかし逆に怪物に目を付けられないといいけれど……そんなことを考えながら、ぼくは川に出た。コンクリで補強された、どこにでもある住宅街の川なのに、向こう岸はやけに遠く霞んでいる。#黄昏町のクビワ

2015-07-08 00:34:00
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

耳を澄ませると、ごぼごぼと音を立てる排水トンネルがすぐ近くにあった。真っ暗だが、ここに入れば、人間からも怪物からも見つかりにくくなるんじゃないか? 多少の臭さと湿気は我慢しよう。ぼくは土手をそっと降りて、トンネルを覗き込んだ。「こんにちはー……誰かいませんか?」#黄昏町のクビワ

2015-07-08 00:35:27
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

ぼくの呼びかけに答えたのは、言葉ではなく闇に光る二つの眼だった。叫び声は、どちらが発したものか分からない。ただ気が付くと、どしん、と巨大なネコ科獣の黒い足が、ぼくの胸を踏み潰していた。ぎし、と骨が軋む音が、音声ではなく感触として耳の底に響く。#黄昏町のクビワ

2015-07-08 00:37:07
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

ぼくは本能的にその足に噛みついた! 爪もない柔らかな手と違う、相手を痺れさせる化け物の牙で。大きく首を振ると、ごそりと黒い獣の足が裂け、ぼくの顔にびしゃりと血飛沫がかかった。金属的な悲鳴を上げて、化け物の体がトンネルの奥へ引っ込み、そのまま姿を消す。生き残った。#黄昏町のクビワ

2015-07-08 00:40:30
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

前のぼくなら、きっと死んでいただろう。必死で暴れただけだが、助かったことを喜ぶべきなのか、どうなのか、自分の感情なのにどこかぼんやりと滲んでいる。まるでこの町を永遠に浸す、夕日のように。「……早く、家に帰りたい、な」ぼくは自分のものとなったトンネルに身を横たえた。#黄昏町のクビワ

2015-07-08 00:42:22
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

3日目終了――【魂11/力2/探索0】異形:牙。死亡1回。#黄昏町のクビワ

2015-07-08 00:42:39

4日目

雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

[町]背後から、ふしゅるふしゅる、と奇妙な音。振り返ると2mを越す躯体の怪物が、君を見下ろしている。《力3以上で勝利【魂+1】、力2以下で死亡【魂-1/異形『爪(力+2)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547

2015-07-09 00:05:14
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

寝て、休んで、朝がいつかは定かでもないまま、目を覚ました。時間の感覚が狂う。このトンネルは少々名残惜しいが、同じ寝床に引きこもって、気が付けば袋小路なんてのはぞっとしない。ぼくは重たい体を引きずって、川岸から道へと上がった。少しでも、ここを抜ける手がかりを探そう。#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:13:38
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

力なく歩き出すと、川辺に広がる道は異様に長く、地平線の彼方まで続いていた。ぼくはぽかん、とあっけにとられて口を開け……すぐ、ばかばかしくなって首を振った。この町は何もかも、誰も彼も夢みたいなものだ。がらくたの寄せ集めだ。だからこんなに景色もちぐはぐなんだろう。#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:15:56
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

だが困った、もうあの寝床に帰れるかどうかも怪しい。前を見ても、後ろを見ても、どこまでも無情に続く道路と河原。今日口に入れて飲みこめる物にたどり着けるかさえ、期待出来なさそうだった。「まあ、他にあてがないから、行くけど……」とぼとぼと歩きだす。疲れきるまでは歩こう。#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:18:29
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

きっと長い旅路になるんだろうな、と覚悟して、ぼくは努めて疲れにくい歩き方を試みる。はたしてその努力は功を為し、やがてその努力は水泡に帰した。ようするに、どれだけ歩き方を工夫しても、終わらないほど道が長い。ダメだ、自動車を持っていたってこの道は終わらないぞ。#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:20:25
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

ぼくはまともに歩くことを諦めて、その場に五体投地して空を仰いだ。どこまでもいつまでも続く、茜色の天蓋。この夕日の下に閉じ込められている、いつ果てるともなく。死んだぐらいではお前を逃さないぞ、とせせら笑われている気分だ。……そんな時、ぼくの耳に異音が聞こえてきた。#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:22:23
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

なんと形容したらいいのだろう、衣擦れのような、空気が噴き出す音のような。あえて擬音にするなら「ふしゅるふしゅる」という感じの。正直退屈していたぼくは、幾ばくかの危険を感じながらも、身を起こして音の主を見やった。長く長く伸びた影が、ぼく「ら」の後方へ果てしなく続く。#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:24:12
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

その影の長さが、ただの夕日の悪ふざけなら良かったのだけれど。あいにくと、ぼくの前に現れたのは、見上げるような巨躯の怪物だった。でかくて、人間に似ているが醜いのっぺらぼう。ただ血に飢えた口が、臭い息を吐いている。ぼくは牙を剥いて威嚇したが、向こうは全くひるまない。#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:25:49
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

それから後のことはあまり思い出したくない。 ただしばらく、サッカーボールのように滅茶苦茶に蹴ったぐられて、自分の肉やら骨やらが奏でる嫌な音を、底抜けの胸糞悪さのまま聞かされ血反吐を吐くにまかせるしかなかった。#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:27:04
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

――死ぬってのも、二回目じゃあまり慣れないなあ。 つまり、この町にいると、また何度か死ぬ機会があるんだろう。なんとなく、もうそんなことを理解しながら、ぼくの意識は沈みかけて――、 〝二回〟? 本当に、ぼくは、二回「しか」死んでない、の、か?#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:28:22
雨藤フラシ(肉球)鏡迷宮綿花追放 @Ankhlore

4日目終了――【魂10/力4/探索0】 異形:牙(力+2)、爪(力+2)。 死亡2回。#黄昏町のクビワ

2015-07-09 00:29:34
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