そろそろ御暇します、と真ちゃんは立ち上がった。今日は母ちゃんも“夕飯一緒に食べてけばいいのに”とは言わなかった。 「高尾、オレを送るのだよ」 「送られる側の言うことじゃねーからな?」 玄関まできた母ちゃんは心配そうな顔だ。一方、オレはローラーブレードに履き替える緑間に吹き出した。
2015-07-12 19:15:07外は昼間より涼しくなってた。けど、それでもスーツは着たくない。 「ププッ…やっぱ真ちゃん何やっても運動神経いーね」 ダメだ、スイスイ進んでく真ちゃんが面白すぎて全然マジメな話をする空気になんねーわw 「お前の家までコレできて正解だったのだよ。今日は最下位だが何も起こらなかった」
2015-07-12 19:20:07「やはりよく当たる占いなのだよ。今日のお前は11位。自己管理を誤ったことで【自信がなくなりやる気低迷】しているのだろう? だが、“意欲さえ取り戻せば大丈夫”とも言っていた」 感情まで占いで決めつけんなよ…けど、あり? 練習でなかったの責めに来たんじゃなくて心配して来てくれた感じ?
2015-07-12 19:25:07ったく、わかりにくいっつーの。 「真ちゃんのことだからてっきり“ケガでも見学くらいはできるだろう”とか説教しに来たのかと思ったわ」 「…お前はオレを何だと思っているのだよ」 こうゆうとき不貞腐れた顔する真ちゃんがカワイイ。 「…下僕の世話くらいはするのだよ」 ウソ、かわいくねー。
2015-07-12 19:30:07「明日は必ず迎えにこい」 真ちゃんの瞳があんまりにも真っ直ぐオレの目を見るもんだから、視界がぎゅって狭まって、時間が止まって周りが透明になった。休日出勤帰りのサラリーマンが通り過ぎるのも、妹ちゃんが帰ってきたのも、オレの将来の心配も、絶望も、ここにはいらない。
2015-07-12 19:46:23“高尾とずっとバスケができますように” 「真ちゃん、心配かけてワリ」 真ちゃんがそう願ってくれたなら、 叶えてやることはできなくてもいい、 「そーだな。いつまでもクヨクヨしちゃいらんねーわ」 けど、せめて引退までは…
2015-07-12 19:50:07_