就活生高尾の解禁

ガンバってきた結果がコレかー…
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就活生高尾bot @Entry4you

母ちゃんがあんまりにも泣くから、オレは笑うしかなかった。なんだっけ、ムリにでも口角上げると元気になる物質?が分泌されちゃうんだっけ? だからかね、オレは実感湧かねーまま。まだ涙も出てきそうにねーわ。 真ちゃん、オレは一番大切な女性を泣かせてしまったのだよ…T_T

2015-07-10 17:20:08

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就活生高尾bot @Entry4you

病院の帰りは商店街に寄った。(こんなときでも夕飯の買い物忘れらんねーの、オレの親だなって思うわ。笑)飾ってあった笹は片付けられていた。 さーて、母ちゃんがスーパー行ってる間、カードでも見てますか! 真ちゃんと行動してっと年々恥のガイネン薄れてくわ。おもちゃ屋入るくれー余裕ヨユー♪

2015-07-10 18:00:14
就活生高尾bot @Entry4you

鼻歌を歌いながらアーケードを歩いてく。おもちゃ屋の横の路地に差し掛かった。視界の片隅に路地裏のゴミ置き場が映る。捨てられてたもんに鷹の眼を疑い振り返った。 「これ、この前の笹じゃん…」 願いの書かれた短冊が付いたまま、大きな笹は折られた無惨な形でゴミ収納庫に詰め込まれていた。

2015-07-10 18:05:03
就活生高尾bot @Entry4you

オレが書いたオレンジの短冊はスグ見つかった。雨が滲んでもう読めなかった。行事ごとの飾りなんて終われば捨てんのが普通だ。わかってる。けど、それでも探さずにはいられなかった。折れた笹の先端部分を引っ張り出す。ゴミ収納庫の奥に緑の短冊が見えた。中へ手を伸ばす。 「真ちゃんの短冊〜っ!」

2015-07-10 18:10:07
就活生高尾bot @Entry4you

もぎ取った短冊をそっと開く。辛うじて読めた。 ……これが、真ちゃんの願い…? “高尾とずっとバスケができますように” 真ちゃんの綺麗な字。丁寧に書かれた願い。高校生の頃のオレなら、きっとスゲー嬉しくて、チョーシのってからかいすぎて真ちゃんを怒らせたりするんだ。でも、今は違う。

2015-07-10 18:15:04
就活生高尾bot @Entry4you

不意に急に実感が襲ってきた。そうだ。オレと緑間は友達じゃない。相棒だ。緑間はオレがいるだけでいいとは言ってくれない。自分と同じように努力してるオレじゃなきゃダメなんだ。“人事を尽くす”。正反対なオレ達は、その一点のみで繋がってる。それがなくなったらオレは緑間の隣にいられんのか…?

2015-07-10 18:20:06
就活生高尾bot @Entry4you

皮肉なもんだわ。緑間の隣にいるために、それなりであろうとしたがために、必死に置いてかれねーよう頑張って。張り合って。その結果がコレか。 オレと緑間じゃ才能が違う。オレにはあんなシュートは打てないし。きっと、神経の作りとか細胞の単位からデキが違う。そんなのはとっくに解ってた。でも、

2015-07-10 18:25:02
就活生高尾bot @Entry4you

フツーの人間は人事を尽くすことすら許されねーのかよ…! 「んなの、あんまりだぜ…っ」

2015-07-10 18:30:07
就活生高尾bot @Entry4you

@7 ──おもちゃ屋さんにいるって言ったじゃない。そんなところで何してるの。探したわよ。……和成? どうしたの。泣いてるの…?

2015-07-10 18:35:05

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就活生高尾bot @Entry4you

[なぜ練習に来ない][応答しろ、高尾][オイ] 昨日も今日も練習行かなかったから、緑間からの着信とメッセージがパない。こりゃ練習後ウチまで押し掛けてくんな。荷物届くからって留守番頼まれてたけど、こーゆーときどーゆー顔で会えばいいかわかんねーし。先手打って逃げ…出かけちゃいますか!

2015-07-12 16:30:09
就活生高尾bot @Entry4you

とりまスポーツショップで時間を潰すことにした。 “新素材!速乾サポーター!”に手を伸ばすと、ちょうど同じもんを取ろうとしてた隣のヤツと手が触れ合った。この暑い中スーツを着ているオニーサンは飛び上がるように顔を上げる。 「うあっ、すみません」 「こっちこそすんませっ…って、アレ?」

2015-07-12 17:00:09
就活生高尾bot @Entry4you

「降旗じゃん! 久しぶり」 「わっ、高尾!」 「春の大会以来じゃね? ビシッとキメて何やってんの? なにwこれからOLと合コン?」 「何って就活の帰りだよ…そうだよな、まだ決まってないなんて思わないよな…」 「シューカツ、ね。へー…」 「高尾はプロチーム入りもう決まってんだっけ」

2015-07-12 17:05:05
就活生高尾bot @Entry4you

おめでとう、と降旗は人の良さそうな笑みをオレに向けた。ウッ…目に沁みる。 「高尾は高1の頃から別格てゆうか、スゴかったもんな」 「…おー。さんきゅ」 頼むからもうやめてくれ。オレは現実から逃げて来てんだよ! たぶんオレの口元は引きつってたと思う。 「降旗もシューカツ、ガンバれよ」

2015-07-12 17:10:09

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就活生高尾bot @Entry4you

「和成ー、荷物届くから留守番してて言ったでしょ」 家に帰るなり不在票を突きつけられて母ちゃんに怒られた。 「それに…真ちゃん来てるわよ」 「」 恐る恐るリビングを覗くと、緑間は優雅に紅茶を飲んでいた。我が物顔で妹ちゃんのファッション誌の風水特集を読んでいる。 「遅かったな、高尾」

2015-07-12 19:00:06
就活生高尾bot @Entry4you

「もう疲労で痛めねーようにサポーター買いに行ってたの」 徒労感。ドサッと真ちゃんの隣に腰掛ける。 「人事を尽くしてきたというわけか。ならば許してやろう」 「なんで真ちゃんの許可がいるんだよ。父ちゃんか!」 こんなイミのない会話してる場合じゃない。言わねーと。真ちゃんに。ちゃんと。

2015-07-12 19:05:05