twitter詩小説【レッズ・エララ神話体系】中世編「時雨とエヴィル」シリーズ、「オーズ界秘境探検」第1章「エンドダン先端観測街」(前半&幕間)
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「時雨とエヴィル」シリーズ、「オーズ界秘境探検」編、前回(序章)のあらすじ…… 東西に巨大に分かれた大陸、その間っこであるジグレッドラス渓谷のつり橋を渡って、未開の地へ行こうとする時雨とエヴィル。そしたらビビりの防人と出会って、なんだかんだで友好的に。よーしこれから秘境探検だ!
2015-07-10 09:18:39つり橋を渡った、と、すると、あたりは一帯のジャングルであり、森林により行く手を阻まれている。獣道っぽいのがあるように見えるが、獣道だし……。「どうするの、これから」「分け入っていくんかい、ときに時雨君、毎度ながらこーいう道でもロングスカートだいじょぶなんか」少女の服装。1
2015-07-10 09:21:06「私はこの服がどういうふうに動いて、どういうふうにまとわりつくか、自分の【気】で判断して、動かせるからね。皮みたいなもんで」「便利だな……というか、皮て。皮て。そんな優雅な服装が、生生しく……」「我々ノ戦士デモそこまでの【アウラ】ノ使イ手ハイマセン」話を聞いてた防人。2
2015-07-10 09:31:55ともかく、防人が獣道をぐいぐい入っていくので、旅慣れてる二人……時雨とエヴィルも入っていくのであった。森林の奥へ……未開の地……。3
2015-07-10 09:34:50――詩小説、レッズ・エララ神話体系、中世編「時雨とエヴィル」 「オーズ界秘境探検」第1章「エンドダン先端観測街」――
2015-07-10 09:35:59「時に貴方のお名前は? 私は時雨で、このひとはエヴィルという名前なのだけど」「よしなに戦士よ」丁重な少女と相変わらず偉そうな青年……。「【ゼンソン・獅子】トイイマス」「……【獅子】?」時雨は尋ね返す。その剣呑な防人・ゼンソンの風体は確かに獅子っぽいけれども。4
2015-07-10 09:39:09「我々ノ街デハ、名前ノ次ニ役職ヲを縫イツケマス」「縫い付ける……?」時雨、なんとなく意味がわかるような感じもするが、ちょっと言葉が変?エヴィルが付け足す。「あー、トーテミズム系シンボルの一種か?要するに今の【縫う】ってのは、より身体的に・霊魂的に【強い】結びつきがあるんだろう」5
2015-07-10 09:44:54「ソノ通リデス。外来語ハ分カリマセヌが、【強い】トイウ肉ノ感覚デス」「なるほど……」時雨、納得。獅子、というのは、その通りの戦闘系の役職を担っているのだろう。さっき橋震わせてエライビビッてたが。6
2015-07-10 09:48:26「ええいうっとおしいなこの草むら。焼き払えねえかな」ブッソウなことを言う青年。だがこの青年が修める魔術からして、この森林一帯を焼け野原にすることも可能なのだが「この森林って、ひょっとして、なんかから守るみたいなものなの?」比較的常識人の少女がゼンソンに聞く。7
2015-07-10 15:19:03「私タチガコレカラ行ク街ハ、先端観測街、トイイマス」「先端……観測?」時雨はそのわかるんだかわからねえんだかイマイチなネーミングに疑問符。「【コチラ側】ノ大陸ノ先端トシテ、防衛拠点デアリ、マタ【アチラ側】ガ、コッチトドレダケ【ズレテルカ】ヲ判別シマス。大事ナンデスッタラ」8
2015-07-10 15:21:41「防衛拠点だっつうのはわかる。欲にまみれた向こう側の帝国が範土を広げるつう歴史は過去にもあった。第13代アクメケス朝の名残といえばか」さすがに天才らしく博覧強記であるエヴィル。ただ気にいらないものに放火するだけの人間ではない。「だが【ズレてる】……?」そこにひっかかる青年。9
2015-07-10 15:23:57【ソコントコは、ビッチリガッチリ博士ニ聞イテチョウダイデス】ゼンソン氏の言葉遣いは王都の酒場あたりで人気芸人になりそうな気がしてきた時雨の妄想はさておき、森が開けてきた。すぐ後ろを振り返れば、すり鉢のように樹々が収束している。まるでこの街が隠れるかのように……。10
2015-07-10 15:27:10「先端観測街・エンドダンヘヨウコソ、時雨サンエヴィルサン。イエ、ムシロ【オーズ界】ヘ、デショウカ」あからさまに封鎖されているかと思っていたこの西側の大陸……オーズ界、であるが、しかし案外あっけなく歓待されてしまった。ではなぜここまで国交が断絶しているのか…太古の秘密…。 11
2015-07-10 15:29:40これは罠か。しかしゼンソン氏にそれほど裏があるとは思えない。ではむしろ「この招かれている状況」自体が、何らかのうねりに巻き込まれているのか。往々、時雨とエヴィルはそのようなトラブルを引っ張り込む人種だからして。だが……それを恐れるは「市民の安逸」である……! 12
2015-07-10 15:31:00「意外に煉瓦つくりなんだね、家々」時雨が最初に発見したのは、ここいらの建物が、萱葺(かやぶき)とか葦(アシ)で作られているのではなく、なんか森んなかにしては不釣合いな煉瓦仕立て……石畳…。「煉瓦の生産プラントがあるように見えない……かといって運送にも手間が……」思考する青年 13
2015-07-10 15:33:59「全テ【ズレ】【捩レ】ニ起因スルモノデス。コチラヘ」促されるままに、街中の建物に入っていく二人。なんとも……レンガ造りの端正な町並みなのに、その全体をドームのように森の樹々が覆っている。森の中に、唐突に煉瓦石畳の町並みを放ったようだ。湿気もある、霧に隠れ。でも煉瓦。14
2015-07-10 15:37:27「アカス。ベルダ、ソシャット」玄関に通され、ゼンソン氏がオーズ語で二人を、誰かに紹介している。さてさてそこで出てきたのは……真紅のドレスに身を包んだ、ウェーブの金髪が床まで届きそうな高慢そうな幼女であった。「ウルト、ゼンソン……シャックリバンドラッド、ゼンギュラーー!!!!」15
2015-07-10 15:41:17スパスパーン!金髪幼女は突然叫んだと思ったら、強烈にゼンソン氏をストンピング!幼女の幼い声であるが、しかし堂に入ったドスのきいたシャウトであった。「なんなのエヴィル君」「ゼンソンは【お客様です】、あの金髪は「ゼンソン、私のおやつまでに帰ってきなさいって言ったでしょう!」だと。16
2015-07-10 15:43:33「あ、おやつの問題なんだ」時雨は安心した。しかしこの幼女が「博士」だというのか。だがさらに驚くのはここからの展開であった。急に目に涙を滲ませて金髪幼女、其は美しく。そしてストンピング以上の勢いでゼンソンに抱きついた!高速でオーズ語をしゃべくる幼女。そしてエヴィルは頭を抱える 17
2015-07-10 15:45:55「どしたのエヴィル君」「……ノロケだ……ノロケだ……こいつらただのバカップルなだけだ……」「え」「どれだけ心配したか、とか、今日のお仕事はだいじょぶか、とか、愛してる愛してる愛してる、とか」「何その新妻感!」よしよし、といった感じで幼女を撫でるゼンソン氏。なんだこの状況。18
2015-07-10 15:47:29そしてたっぷりそのようなノロケが終わったあと、やっと幼女博士は、時雨とエヴィルの存在に気づいた。共通語で話す。「……東側の大陸から来たそうね。いったい何の用かしら」「クールぶってんじゃねえよこの色ボケ幼女」即座にツッコまざるを得ないエヴィルだった。19
2015-07-10 15:49:08それを恥ずかしそうにそっぽ向きながら無視する幼女だった。「貴方たちもこの街で【時空間歪曲】の研究をしにきたのかしら」「いやそうじゃないんだが……って、【時空間歪曲】!? こんなド田舎で!?」「時空に都会も田舎もないわ」「まっとうな意見だね」学術の話題……!20
2015-07-10 15:51:53「ともかく、お茶でも飲みましょう。貴方達は敵ではないようだし。ゼンソンがここまで導いてきたのだしね」なんだかなし崩しに、いきなり世界の深遠にたどり着きそうな時雨とエヴィルであった……エンドダン先端観測街の昼下がり……。21
2015-07-10 15:53:08――詩小説、レッズ・エララ神話体系、中世編「時雨とエヴィル」 「オーズ界秘境探検」第一章「エンドダン先端観測街」(前)、了―― ……後半に続く!
2015-07-10 15:55:16