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シェルティの黄昏町

少女は歌い、黄昏に紛れる。 シェルティ:13日目 死亡回数5:殺害回数2 【魂9/力6/探索2】 異形:爪 続きを読む
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氷泉白夢 @hakumu0906

「冷たい」私は現実的な水の冷たさに目が覚める。慌てて周りを見渡すと、溜池の水が逆流して私のところまで溢れだしている。十分に離れて眠っていたはずなのに。なんにせよもうここにはいられそうにないな。「それは夢、水面の見せた夢ー、今はー思い出せないー。忘れてしまったー」 #白夢町

2015-07-17 01:17:00
氷泉白夢 @hakumu0906

本当は忘れていたのではない。考えたくなかったのだ。でも、罪深い私にそんな権利があるはずもなかったのだ。私は、それを思い知ることになる。 #白夢町

2015-07-17 01:22:49
氷泉白夢 @hakumu0906

[町]「もう、疲れたんだ」刃物のように伸びた爪を引きずった男は、俯いたまま君に判断を委ねた。《男を君が戮す【魂+1】or君が男に戮される【魂-1/異形『爪(力+2)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547

2015-07-17 00:51:14
氷泉白夢 @hakumu0906

「シェルティシェルティ罪深くー、シェルティシェルティ許されずー、ふっふふふんふふんふふ……」「なあ、その歌」私は振り向く。歌い続ける事は出来なかった。何故ならそれは。「……お兄ちゃん」「シェルティ……なんだな」これは夢の続きだろうか。時が止まった気がした。 #白夢町

2015-07-17 01:36:37
氷泉白夢 @hakumu0906

我に返った私がまずした事は、手を後ろに組むことであった。こんな爪をお兄ちゃんに見せるわけにはいかなかった。再び爪が私の腕を勝手に傷つける。でも、今の私にとってその痛みは喜びだった。「お兄ちゃん、本当に、お兄ちゃんなんだよね……私、会いたかった」「シェルティ」 #白夢町

2015-07-17 01:41:03
氷泉白夢 @hakumu0906

「僕は、会いたくなかったよ」 #白夢町

2015-07-17 01:43:33
氷泉白夢 @hakumu0906

その言葉は、冷たかった。溜池の水よりもずっとずっと強く、私に現実的な冷たさをもたらした。「シェルティ、僕はもう、ここに来て何度死んだかわからないんだ。僕はもう、どうしようもないくらい、この町に馴染んでしまったんだ」兄は、私に手を見せた。 #白夢町

2015-07-17 01:46:55
氷泉白夢 @hakumu0906

……幼い頃から、よく似た兄妹であると言われてきた気がする。顔つきがそれほど似ていたのかどうか私には疑問であったが、楽器を爪弾くその手は確かに、私のものとそっくりであったと思う。そんな兄の手が、今も変わらず、いや、変わったのに、私の手と、そっくりだった。 #白夢町

2015-07-17 01:48:49
氷泉白夢 @hakumu0906

「これだけじゃない……もう、あちこちどうしようもないくらい、僕はここに馴染んでしまったんだよシェルティ。でもね、僕だけなら、僕だけならまだ、耐えられたんだ。でもシェルティ。君が、ここに来てしまった。僕は、もう、耐えられない」「どうして、そんな……なんで、わかんないよ」 #白夢町

2015-07-17 01:52:45
氷泉白夢 @hakumu0906

私はこんなに、お兄ちゃんに会えて安心しているのに、どうしてそんな事を言うのだろう、一緒に出る方法も探せるかもしれない、この爪だって、きっと治せるのに、お兄ちゃんに会えたから、私は、そんな風に考えているのに。「やっぱり君は、まだここに来て日が浅いんだね、シェルティ」 #白夢町

2015-07-17 01:55:33
氷泉白夢 @hakumu0906

「僕はそうじゃないんだ。もう、駄目なんだよ。シェルティが、僕みたいな目に遭うなんてことに、耐えられないんだ。経験してきたからこそ、僕は、シェルティ、君がここにいることで、もう、心が、折れてしまったんだ」「そん、な……」「もう、疲れたんだ」 #白夢町

2015-07-17 01:57:27
氷泉白夢 @hakumu0906

私が、お兄ちゃんの心を、折ってしまったと、いうの。ここにいることで。私が、ここにいる事自体で、既に。「シェルティ。僕は次の死でおそらく完全な死を迎える……終わらせてくれないか、僕を。君の、その手で」そんなの、嫌だ。「……やだ、やだよ、そんなの!なんで、そんな事言うの!」 #白夢町

2015-07-17 02:03:38
氷泉白夢 @hakumu0906

「嫌だって!?」急に、お兄ちゃんの顔色が変わった。「僕だって嫌だ!!もうあんな死に方はごめんだ!!シェルティ!!君なら僕の事を思って殺してくれるだろ!!?優しく殺してくれよ!!頼むよ!!」「お、お兄ちゃ」「出来るだろ!?その爪なら!!僕と同じ手じゃないか!!やれよ!!」 #白夢町

2015-07-17 02:06:23
氷泉白夢 @hakumu0906

「……そうだ、いい事を思いついたよ、シェルティ」お兄ちゃんは、私の顔を覗き込み、ぞっとする声で言った。デジャヴュというにはあまりにかけ離れ、偶然というにはあまりに似通いすぎていて、私は、私の罪の重さを呪う。「我慢比べだ。先に声を上げた方が死ぬというルールはどうかな?」 #白夢町

2015-07-17 02:10:59
氷泉白夢 @hakumu0906

その時の歌は、もう夢のように、忘れてしまった。自分の歌も、兄の歌も。聞こえる事はなかった。私の罪は、溢れる涙と共に少しは流れていったのだろうか。それとも溢れる血のように溜まり続けただけなのだろうか。一つだけ確かな事は、私の歌が葬送曲であったという事だけだった。 #白夢町

2015-07-17 02:16:41
氷泉白夢 @hakumu0906

《男を君が戮す【魂+1】》 シェルティ:7日目 死亡回数1:殺害回数1 【魂10/力2/探索0】 異形:爪

2015-07-17 02:18:22
氷泉白夢 @hakumu0906

[町]「異形の種類は死因に準じるみたいなんだよね」白衣の少年は、錆びた包丁と君を見比べた。「実験しよ?」《君が頷くなら刺されて死亡【魂-1/異形『棘(力+2)』を入手】、力1以上で少年を戮せる【魂+1】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547

2015-07-18 01:21:00
氷泉白夢 @hakumu0906

私は泣いていた。歌うことなどできはしなかった。この手で爪弾いてしまった曲の事で頭がいっぱいだった。きっと、それがいけなかったのだろう。私のそばに、一人の少年が立っていた。「面白いね、君達兄妹で同じ死に方してたんだ」その薄緑色の髪の毛の白衣の少年は、錆びた包丁を取り出す。 #白夢町

2015-07-20 00:52:14
氷泉白夢 @hakumu0906

その様子に私は反論する力すらなくただ泣きながら話を聞いていた。「異形の種類は死因に準じるみたいなんだよね……実験しよ?この包丁で死んだら君はどんな身体になるのかな」今思えば明らかに関わってはいけない類の人間である。しかしその時の私は愚かにも救いを求めていたのだ。 #白夢町

2015-07-20 00:55:44
氷泉白夢 @hakumu0906

「……殺してください、私を。お願いします」「いいの?やったぁ、楽しみだなあ、君がどんな形になるのか」白衣の少年はなんの感情も無く私を包丁で突き刺した。「ァ」「死に顔を楽しむ趣味はないんだ。僕はただ、君がどんな身体になるのかだけが楽しみなんだ、だからお願い、早く死んで?」 #白夢町

2015-07-20 01:01:49
氷泉白夢 @hakumu0906

少年はそういうと包丁を何度も突き刺してくる。何度も、何度も、ああ「おかしいな……ごめんね、僕、殺すの下手みたいだね、あはは」お兄ちゃん、私は、まだそっちへはいけないんだ。でも、また、あっちで会ったら、会いたくなかったって、言われちゃうかな「…し……そろ…死……ゃあ……」 #白夢町

2015-07-20 01:07:17
氷泉白夢 @hakumu0906

ああ、次起きた時、私はまた、歌う事が出来るんだろうか。 #白夢町

2015-07-20 01:08:16
氷泉白夢 @hakumu0906

シェルティ:8日目 死亡回数2:殺害回数1 【魂9/力4/探索0】 異形:爪 異形:棘

2015-07-20 01:09:13
氷泉白夢 @hakumu0906

[ハンドアウト]背中を打って、君は目を覚ます。土手の上から茂みへ落ちたようだ。小さな鳥がぱっとその場を飛び去る。《開始地点[町]shindanmaker.com/541547#黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541552

2015-07-19 00:16:19
氷泉白夢 @hakumu0906

どしん。やっと痛みが消えたと思ったら、再び痛みが顔を出す。背中を強く打ち付けたらしい。髪の毛が包丁のように鋭い棘へと変質して私の首筋をちくちくと痛めている。起き上がる気力も歌う気力も湧かなかった。「……お兄ちゃん……私……もう……」その時、髪の毛の傍で何かが蠢いた。 #白夢町

2015-07-20 01:22:30