夏っぽいこと師弟にさせたかった

昼間の暑さが尋常じゃなかったので、師弟に夏っぽいことをさせてみました。 「ぼくの夏休み」風にするはずが、ぼくの~未プレイのため大撃沈...
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はんぺん @hannpenn_29

暑くて頭がおかしくなりそうなので、夏っぽいことを師弟にさせる会開催→祖母の初盆で両親と一緒に初めて母の実家(ど田舎)に帰る東京育ちの曽良くん(小5) 世話を焼いたり、やたらちょっかいをかけてくる親戚のおばさんや歳の近いいとこ達にうんざりして夕方に一人近くの川へ涼みに行く。

2015-07-10 14:14:11
はんぺん @hannpenn_29

なんとはなしに川に石を投げていると「水切りのコツ教えてあげよっか!」と見知らぬ青年から声をかけられる曽良くん。うざいと呟くと「えぇ~!?最近のガキはほんと可愛くないなぁ!」と盛大に喚いた挙句、勝手に自分のことやらなんやらペラペラ話し始める。

2015-07-10 14:26:25
はんぺん @hannpenn_29

最初は完全に不審者扱いしていた曽良くんも、青年があまりに無邪気に話しかけてくるため毒気を抜かれ、しまいには翌日一緒に近くの山へ虫取りに行く約束までしてしまう。 青年は芭蕉と名乗り、都内の大学に通っていたがバイトの金がそこをついたので夏期休暇は実家に帰ってきているのだと言う。

2015-07-10 14:30:13
はんぺん @hannpenn_29

翌日も翌々日も蛍狩りに行ったり、魚釣りに行ったり、神社の裏手で花火をしたりと結局芭蕉に付き合うことになる曽良くん。ある日、私の家に招待してあげると言われ小さな古い平屋に入らせてもらう。井戸で冷やした西瓜を縁側で二人食べながら「曽良くんにだけ見せてあげる」と数冊のノートを渡される

2015-07-10 14:41:00
はんぺん @hannpenn_29

明らかに訳のわからない文字の羅列が多数ある中、いくつかの句に目を奪われる曽良くん。「私の渾身の一撃すごいだろ!」とふんぞり返る芭蕉が目障りだったので手刀をお見舞いしたが、家に帰って家族や親戚達と夕飯を食べても、風呂に入って床についても彼と彼の句が頭から離れずに寝つけずイライラする

2015-07-10 14:55:08
はんぺん @hannpenn_29

翌日は何となく芭蕉に会うのが癪で、部屋で夏休みの宿題の日記を書く曽良くん。するといとこの閻魔(中1)に日記を覗かれて、昨日誰の家で西瓜を食べたのかと聞かれる。勝手に見るなと日記を閉じるも、知らない人の家に入っちゃ駄目だよ~とからかわれ、思わず閻魔を殴りつける。

2015-07-10 15:05:35
はんぺん @hannpenn_29

ちょうど閻魔が殴られたところを目撃した鬼男(小5)と妹子(中2)が何やってんだ!と割込んで止められる曽良くん。最終的に鬼男から正座で説教させられた閻魔から謝られるも、妹子から「誰と遊んでるのかちゃんと言わないと親が心配する」と諭され、しぶしぶ芭蕉のことを話す。

2015-07-10 15:18:02
はんぺん @hannpenn_29

話の流れで芭蕉の名前を出した途端、焦ったように部屋の外へ出ていく妹子。どうしたんだ…と思っているといとこの中で年長者の太子(高1)を連れて妹子が戻って来る。もう一回今の話を太子にするよう促され、芭蕉の家で西瓜を食べた話をする曽良くん。閻魔と鬼男も何が始まるんだろうと顔を見合わせる

2015-07-10 15:28:55
はんぺん @hannpenn_29

昼間垂れ流してた夏っぽい師弟続き→曽良くんの話を聞いた太子から少し焦ったように、あがった家の庭に芭蕉の木がなかったか聞かれる。西瓜を食べた時にそれらしい木を見たことを伝えると、妹子と二人呆然とする太子。 曽良くんより先に閻魔が何を驚いてるんだと二人に詰め寄る。

2015-07-10 23:31:22
はんぺん @hannpenn_29

その家は今は空き家であること。以前は人が住んでいたが、大学に通うため上京した一人息子が事故で亡くなったこと。その後母親が市内の病院に入院し、父親は看病の為病院近くのアパートに移り住んでいること。庭の木を気に入っていた息子は友人達から芭蕉と呼ばれていたことを静かに話す太子。

2015-07-11 00:19:18
はんぺん @hannpenn_29

確か太子と芭蕉さんと一緒に水切りしましたよね、と呟く妹子。 曽良くんは昼間から会ったんでしょ!脚ちゃんとあったんだよな!?と騒ぐ閻魔と鬼男を尻目に、芭蕉さん今年初盆だったか…。実家に帰りたかったんでしょうねと話す太子と妹子。 一人呆然とする曽良くん。

2015-07-11 00:27:26
はんぺん @hannpenn_29

その後、ぱったり芭蕉を目にすることがなくなり、夏休みも残り一週間を切る。 都内に帰る予定の前日、一人芭蕉の家に向かう曽良くん。彼がやっていた様に玄関脇の鉢植の下から鍵を取り出し家にあがる。西瓜を食べた縁側の部屋から廊下を挟んだ向かいの6畳間に小さな仏壇と彼の写真を目にする。

2015-07-11 00:32:48
はんぺん @hannpenn_29

「アンタになんか会わなきゃよかった」出会わなければこんな想いも抱かずにすんだのに… 写真の中の芭蕉に呟く曽良くん。 仏壇に手もあわせないまま帰ろうとするも、向かいの部屋にノートが置かれているのに気づく。なんとはなしにを開くと最後の頁に数日前には見覚えのない一文があるのに気づく。

2015-07-11 00:44:18
はんぺん @hannpenn_29

「コレ見せるのは君にだけだよ」 少しの間うつむいて黙りこんだ後、仏間に戻り「来年の盆、化けて出たてきたら覚悟してください」と宣戦布告する曽良くん。 ノートを抱えて帰る彼の後ろで、庭のその木は優しく揺れていた。

2015-07-11 01:05:57