【艦娘佰物語】

幌筵泊地で日々頑張る艦娘達の奇妙な体験談まとめ。
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黙ノ尾 @kurotail

【21話/鳳翔】枕元に立つ、という言葉があります。私自身は眠っているのですが意識だけが明瞭で、そんな時は誰かの気配を感じます。怖くはありません、ただ胸を締めつける郷愁だけが残ります。懐かしい声と微かな香り。思えばあれは、この季節には咲く事のないヨルガオの匂いでした。 #艦娘佰物語

2015-07-12 00:05:59
黙ノ尾 @kurotail

【22話/扶桑】資料庫の整理をしていたら古い本を見つけたの…。身に覚えがないから、提督にもお伺いしたのだけど答えは同じ。不思議よね…。試しに出版年を見てみたら六十年ほど先の日付なの。読んだのかって? ……いいえ。ああいうものは読まない方が身のためなのよ。 #艦娘佰物語

2015-07-12 21:43:59
黙ノ尾 @kurotail

【23話/山城】昔は浜辺に打ち上げられる漂流物を神体として崇めたって言うわよね。で、その日に見つけたのは頭蓋骨。私も大概不運よね…。どうしたものか悩んでいると骨は一言「嫌だ」って。そしてすぐに波に攫われて見えなくなった。神様になるにも色々な事情があるのね…。 #艦娘佰物語

2015-07-12 22:13:47
黙ノ尾 @kurotail

【24話/天龍】酷ぇ嵐の日だ。落雷と停電。まあ良くある事だよな。配電室を見に行ったら見かけねえチビが蹲って泣いてやがる。新参艦かと思ったんだが泣いて話を聞きやしねぇ。仕方がねえから外に案内すると雷鳴と一緒に消えた。電気は何もしてねえのに復旧した。何だったんだ、あいつ。#艦娘佰物語

2015-07-12 22:24:19
黙ノ尾 @kurotail

【25話/龍田】お昼寝してたら足に違和感があって目が覚めたの。真っ白ぉい蛇が太腿の辺りで鎌首を擡げてじーっと私を見てるのね。冬だったから夢でも見てるのかなーって。睨めっこしてたら真っ赤になって消えちゃった。太腿の鱗の痕は暫く消えなくて、こっちの方が困ったかなぁ。#艦娘佰物語

2015-07-12 22:29:34
黙ノ尾 @kurotail

【26話/龍驤】日頃式神を使ぅてるからなんやろけど、良いことも悪いことも折半。けど素直なコ達もよう寄ってくるんやな。「使うて下さい」みたいな気持ちで枕元に木の実やらお花やらが置かれてんの。この間はやたら綺麗な石が転がってて、調べてみたら珊瑚やて。びっくりしたわ。 #艦娘佰物語

2015-07-12 22:34:51
黙ノ尾 @kurotail

【27話/睦月】睦月は陰暦の一月のことなのです。およ、知ってましたか。そうですよね、てひひ。そんな一月に宛名のない真白いお手紙が届きました。提督へ持ってったのですが覚えがないそうです。変ですねー。仕方がないので一緒に開けたのですが、中からは沢山の種が出てきました。 #艦娘佰物語

2015-07-12 22:42:09
黙ノ尾 @kurotail

【28話/如月】暑かったから髪を一つに結おうとしたの。束ねてから気付いたんだけど結い紐がなくて。どうしようかなぁと思ってたら後ろから手が伸びてきて簪をね、渡してきたの。受け取ったはいいけれど、何だかすごく高価そうな簪で。丁重にお返ししたわ。部屋には如月だけだったもの。#艦娘佰物語

2015-07-12 23:54:51
黙ノ尾 @kurotail

【29話/皐月】ボク達如月型は鎮守府の中でも姉妹数が多い。うん、陽炎さん達もそうだよね。そうなるとたまに一人二人増えてたりする。顔は見えないんだ、ぼんやりした人影がついてきたり間に混ざろうとする。そういう時は決まって睦月が点呼を取る。結構お姉ちゃんしてるんだよね。#艦娘佰物語

2015-07-13 00:00:13
黙ノ尾 @kurotail

【30話/長月】睦月に倣い、私も名に纏わる話をしよう。長月とは九月、夜長月が由来と言われている。ある夜ふと目が覚めた。深夜だ、当然全員が寝静まっている。廊下に出ると人影だけがまるで昼時のように歩き回っていた。何もせず部屋に戻ったさ。夜は人の時間ではないからな。#艦娘佰物語

2015-07-13 00:07:48
黙ノ尾 @kurotail

【31話/菊月】海釣りに出かけた。何、意外か。酒の肴にと思ってな。係船柱に座り、釣糸を垂らしていた。日和だったから少し微睡んでしまい、これはいかん帰ろうと思った瞬間に強く引かれた。…釣り糸ではない、足首だ。寸でで踏み止まったが、危うく連れていかれるところだった。#艦娘佰物語

2015-07-14 00:30:45
黙ノ尾 @kurotail

【32話/望月】そーだなぁ…めんどーなんでオチから言うけど、偽物の月を見たって話。新月のはずなのに水面に月がさ、映ってた。風情を出すにしてもさー何事も限度ってもんがあるよね。だってその月、足元にあるのに鎮守府の建物くらいはあったよ。でかすぎっしょ。 #艦娘佰物語

2015-07-14 00:46:21
黙ノ尾 @kurotail

如月「そう言えばきさらぎ駅のお話も話してみようかなぁって思」睦月「にゃしにゃし」如月「もごもご」

2015-07-14 01:23:52
黙ノ尾 @kurotail

卯月「睦月が抑えてるうちに早く次の話にいくぴょん!」弥生「あの話は…いけない…」一同(ゴクリ…)

2015-07-14 01:26:01
黙ノ尾 @kurotail

【33話/球磨】電話の音ってあんまり好きじゃないクマ。夜に鳴るとなんとなーく、いやーな感じだクマ。鎮守府にある電話は司令室と通信室の二つ……と、言うことになってるクマ。……でも時々地下の備品室から微かに電話の音が聞こえる時があるんだクマ。それも地面の下から。 #艦娘佰物語

2015-07-15 01:01:22
黙ノ尾 @kurotail

球磨「こういうの誰かに話さないとなんだか怖いんだクマァ!」

2015-07-15 01:02:33
黙ノ尾 @kurotail

【34話/多摩】階段の踊り場で多摩を見たにゃ。どう見ても自分の後ろ姿だったにゃ。どこへ行くのかついていったら、途中で見失ったにゃ。そのあとすぐに上から誰かが降りてくる音がしたにゃ。いやな予感がして慌てて逃げた。「階段は境だから気をつけろ」って提督に言われたにゃ。 #艦娘佰物語

2015-07-15 21:11:31
黙ノ尾 @kurotail

【35話/木曾】路地裏で迷ったんだ。人の気配が消えてまるで俺一人だけのような、とにかく変な感じだった。いよいよ困って近くの喫茶に入ると顔の見えない店主が裏口を指差した。言う通りにすると見慣れた路地に出た。振り返ると裏手口はなくて、当然その喫茶店もどこにもなかった。 #艦娘佰物語

2015-07-16 00:05:17
黙ノ尾 @kurotail

【36話/長良】海なんだし魚影なんて見慣れてるわよね。大きさや形がちょーっと規格外なのもたまに見るけど、まぁ慣れたものよ。でも一度背後に立たれた時があってさ。海に影が映るじゃない、あれが人型なの。艦隊全員で走って逃げたわ、全力疾走よ。多分今年のベストタイムだったな。 #艦娘佰物語

2015-07-16 01:04:00
黙ノ尾 @kurotail

【37話/五十鈴】私達は艦だし山には縁がないんだけどこの間、遠征帰りに鎮守府の後ろの山をね、何となく見ながら進んでたの。いくら極北って言っても幌筵も夏よ? でも所々に白いものが見える。雪じゃないことは確か。だってこっちに手を振ってるんだもん。まぁ当然見ない振りよね。 #艦娘佰物語

2015-07-16 02:00:41
黙ノ尾 @kurotail

【38話/名取】あの…港で誰かと間違われたんです…。背広姿の…奇妙な方でした。手足が…何だか長い気がするんです。その方に黒い紙を渡されました。身振り手振りで読めと言われたので開くと…あれは何語、だったんでしょう。全く読めなくて。困ってると「マチガエタ」と。ふぇぇ…? #艦娘佰物語

2015-07-17 01:18:39
黙ノ尾 @kurotail

【39話/由良】由良の名前は川が由来なんだけど、祝詞でも同じ発音があるの。死者蘇生の言霊。不思議よね。「玉の鳴り響く音」って意味みたい。関係あるのか分からないけどお盆に良く鉦の音が聞こえるの。後は茄子の馬に乗った人魂が道をかぽかぽって。面白くて笑ったらまた、ちりん。#艦娘佰物語

2015-07-17 01:30:17
黙ノ尾 @kurotail

【40話/川内】草木も眠る丑三つ時って定番の謳い文句だけど、獣や鳥は大概夜行性だよね。まぁ私もか。前の夜、鎮守府の外を散歩してたら鳥を見たの。月影が道に落ちるじゃない、その影が異様に大きくて慌てて上を見たら何もいない。でも影と同じ色の羽根が沢山降ってきた。ホントよ? #艦娘佰物語

2015-07-19 23:16:07
黙ノ尾 @kurotail

【41話/神通】とても冷えた夜が明け、次の日の出来事でした。いつもより早く目が覚めて、何気なく窓の向こうを見たんです。暁に向かって海を切るようにまっすぐな引き波がどこまでも続いていました。丁度御神渡りのように。太陽が昇り切る頃には何事もなく消えてしまいました。 #艦娘佰物語

2015-07-19 23:37:14
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