替え玉ファン

力水 かける さんの作品です。 随時更新中。 ※サブタイトルは、夢乃が付けさせていただいております。
書籍 文学 Twitter小説 twnovels
2
1.依頼

(7月3日(金))

力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】1 まだ梅雨が明け切らない、どんよりとした空の下、一人の男が橋の欄干にもたれていた。 その橋は両方向に一車線の車道とその両側に幅3mほどの広めの歩道があり、東海道五十三次の西の起点でもある有名な橋だった。近くには新撰組の池田屋事件の場所となった史跡もある。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】2 男はその北側の歩道で橋の中程にいた。人々は男の存在など気にする者も無く、時として列となって、またある時は2〜3人のグループとなって、男の前を断続的に通り過ぎた。 pic.twitter.com/f2SX0aI8Vc
拡大
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】3 男はただ、そこにいたわけでは、なかった。男にはターゲットがあった。もしも、その男を観察してる者がいたなら、男が若い男だけに鋭い視線を投げかけているのに気がついただろう。そして、男がかなり最初の意気込みを失ってきていることさえ、洞察できたかも知れない。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】4 …ふー。もう2時か。腹減ったな…男は溜息をつきながら人の群れから背を向けた。すると、男の視界には、はるかな山並みをバックにしながら、悠久の時の流れさえ感じさせる川の流れが、しっかりと両眼に入ってきた。 pic.twitter.com/lP2BOyo2oV
拡大
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 5 …ああ、心が洗われる。しかし、かれこれ、3時間もここにいたが、目的にかないそうな奴は、見つからなかった。 大阪のひっかけ橋とは違い、全然、人が少ないな。 しかも観光客も混じってるし、三条大橋を選んだのは、間違いだったかもしれない…
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 6 きれいな景色を見たせいか、男は再び通行人の方を向き、ターゲットが現れないか、注意深くチェックする気力が湧いてきた。 …こうなったら意地でも一人は声を掛けるぞ。そうでなくては、ここまで来た意味がない…
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 7 それから5〜6分くらいたっただろうか。右手の方から一人の若い男がこちらへ歩いてくるのを見つけた。その若い男は背丈は175センチくらいで、特に前髪全体が金髪なのに他の髪は黒髪という変わった髪型だった。遠くから見ても彼の風貌が目立っているのが良く分かった。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 8 欄干にもたれかかってた男は、意を決して近づいてくる若者に対面し、「あっ、ちょっとすみません。簡単にまとまったお金が手に入る仕事をやってみる気は、ないですか?」と言った。 男は内心…こんな甘い言葉に食いついてくる奴は、きょうびいるわけないよな…と思った。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 9 「えっ、おじさん、どういう人?…あっ、なんか怪しいこと、俺にすすめてるわけ?」 と若者は聞いた。それと同時に若者にだけ聞こえる声がした。 …ヒカル、その人、話しの内容は絶対怪しいですが、私のフィーリングでは、よい人柄のウェーブを感じますよ…
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 10 ヒカルもその声に心の声で答えた。…そうなんだ。ロンリーがいうなら間違いないな。じゃ、ちょっとこのおじさんの話し、聞くことにするよ… ^_^ …ここまで来たら、このヒカルって若者、ヒカ碁の進藤ヒカルじゃないのか…と分かっちゃったかも。でも、ロンリーって誰?
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 11 「おじさん、どんな仕事?俺、学生だからアルバイト程度しか、やれる時間ないよ。」ヒカルは答えた。 男は思った。…おっ、こいつ、やる気なのか? ここで探してた甲斐があったぞ… 「毎日やる仕事では、ないんだ。イベントに一回参加してくれるだけで、3万出すよ。」
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 12 すかさずヒカルは聞いた。 「イベントって?」 「立ち話もなんだから、茶店にでも入って、話しをしよう。 君、もし腹減ってたら、私がおごるよ。実は、私は腹が減って仕方ないんだ。」と男は笑顔で言った。笑うと少しこわもてだった男の顔が、優しく見えた。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 13 …ということで、二人は(ロンリーもいるので、3人なんですが…)河原町通りまで歩いて、1軒の軽食喫茶に入った。 「さあ、なんでも注文してくれ。」テーブルにつくなり、男は言った。 「じゃ、お言葉に甘えて、ピザトーストとナポリタンとミックスジュース!」と言った。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 14 …今日はついてるなあ…とヒカルは、食べ物に釣られて、すっかり警戒心を無くしていた。 「私はカレーとアイスコーヒーを頼む。コーヒーは食後にしてくれ…もちろん砂糖入りで…」と男も注文をすると、ヒカルの方を向いた。 pic.twitter.com/CMYa6AQaZG
拡大
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 15 「まあ、料理を食べてしまうまでは、結論を出さずに私の話しを聞いてくれ。…初対面の人間に、これを言うのは、抵抗があるのだが…というか、私のこんな秘密を人に話すことさえ、初めてなんだ。」と男は話しの本題に入り辛そうに語り出した。 「仕事の内容は、簡単だ。」
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 16 「私は、ある男の子タレントのファンなんだ。」と先ず男は言った。 「男の子タレント?子役?…えっ、おじさん、子役タレントのファンなんですか?」と、ヒカルは、言いながら…大の大人が子役のファンなんか、やるんかいな?…と思った。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 17 「男の子では語弊があったな。世間一般では、どう見ても男のむすめと書く方の男の娘だからな、その子の第一印象は、ね。…だけど、その子は、女性ホルモンも打たないのに、あらゆる努力をして、可能な限り女性に近い体や声を作り上げるのに成功したんだ。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 18 「…だから、もはや軽く女装するだけでも女性にしか見えない、それでいて中身は男性のタレントというジャンルを作り上げた。だから、その子は、自分のことを子供の子と書く方の『男の子 江之島薫』と名乗っている。」と男は言った。 「えのしま、かおる?…知らんなあ。」
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 19 …ヒカル。でも、そう言った『男の子』という存在は、私が見えるヒカルには、受け入れられるでしょ?…とロンリーがヒカルに心の声を発した。 …そりゃあ、今なら分かるけど さー…とヒカルも発した。まだ、慣れてないので、ヒカルの唇もわずかに動くのだが…
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 20 「まだまだタレント活動としては、インターネットでの活動とミュージシャンで言えば、ライブハウスの様な所でしか、していないから、世間一般には知られていない。だけど、インパクトのある子だから、もしもテレビにでも出る様になれば、あっと言う間にブレイクするだろう。」
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 21 男の発言にヒカルが 「そう上手くいくかなあ?すぐ消えていくお笑い芸人とかだって、多いしさ。」と言い終わらない内に、男は、いきなりテーブルを叩いて 「そんなことは、ない!」 「薫くんを初めて見た奴は、みんな薫くんの魅力に圧倒されるんだ!」と言い放った。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】22 「お、お客さん、大丈夫ですか?りょ、料理をお持ちしましたが…」と店員がビビリながら声を掛けた。 「ああ、悪い。つい、興奮してしまった。おっ、美味そうじゃないか!さあ、食べよう!」と男はバツが悪いので、努めて明るく言った。 「わー!やったー!頂きまーす。」
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 23 注文した料理が来ると、男は話しをやめて、ひたすら食べることに専念していた。ヒカルもピザトーストをほうばりながら、ナボリタンを巻いている状態だから、それで正解だった。
力水(ちからみず) かける @see_yalla
【替え玉ファン】 24 ほぼ同時に食欲を満たした二人は、満足そうな表情で、お互いの目が合った時、あうんの呼吸で男は語りだし、ヒカルは自然と話しに聞き入った。
残りを読む(541)

コメント

コメントがまだありません。感想を最初に伝えてみませんか?

ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする