序章「再び抱かれた疑問」

霧雨の鎮守府＠SS＆脳内設定アカウント @kirisame_zaha

〜序章〜再び抱かれた疑問

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1 「第十一号作戦」は深海棲艦側に大きな打撃を与え、勝利で終わった。ザハ提督率いる霧雨の艦隊も参加、無事西方との打通に貢献した。 だが戦いに犠牲はつきものである……そう他人事のように思っていた。これは第十一号作戦から一ヶ月後の話である

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2. 霧雨の鎮守府、その執務室に向かう艦娘が一人 茶色みがかった黒髪のショートボブに 首に艦首を意識した装甲が取り付けられた、装甲空母大鳳である。 彼女は空母娘である傍ら普段は主に通信担当として筆頭秘書艦の榛名とともに業務を分担している形となっている。

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3. 大鳳「提督、今回の特殊任務ですが」 ザハ「ああ……練度を上げるまで見送りだな……」 大鳳「あと、第三艦隊、第四艦隊遠征から帰投しました」 ザハ「ああ…再び南方への輸送作戦に……」 大鳳「あの、今週のノルマは達成していますが……」 ザハ「あ…じゃあ北方の輸送作戦へ頼む……」

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4. それも仕方がない話である。この鎮守府に新規着任時からの戦友が先のステビア沖海戦で行方不明なのである。艦隊の練度はほぼ同等、資源も大差は無く、それこそ「運が悪かった」としか客観的に言えない状態であった。 だが今の状態の要因はそれだけではないようだ

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5. カレー洋リランカ島。この十一号作戦の目標地でありリランカ島攻略作戦において連合艦隊と深海棲艦護衛の港湾部隊の激しい海戦があった。 激戦の末リランカ島を制圧、艦隊根拠地におくことも成功した。 その後見つかった秘匿泊地への攻撃、そしてステビア沖海戦へとつながっていく

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6. しかし制圧した秘匿泊地はすぐに放棄、深海棲艦による再建がすぐに開始されたからである。 ここまでは不可抗力であったとザハ提督も納得していた。 秘匿泊地を避ける、または押し通る形でステビア沖海戦が行われたのは記憶に新しい。

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7. だが問題はその先であった、なぜか大本営は制圧を「一時的」としリランカ島を放棄、十一号作戦完了とともに全提督、艦娘に撤退命令が出された。 制海権を取り戻すことが目的である艦娘、そしてそれを指揮する提督にとってそれは「勝利したのに撤退」というおかしな命令だったのだ

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8. 一時的に西方との連絡を取るためと説明されたもののそれにしては支払った犠牲が大きすぎる。同じような考えの士官も少なくなかったがそれ以上の回答は無かった。 そして今、そのリランカ島沖に深海棲艦が再集結しているという。侵攻影響なのか放棄した影響なのかわからない。

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9. 大鳳が持ってきた特殊作戦とはそのリランカ島に再集結した深海棲艦の殲滅および同島の再制圧であった。どう見ても二度手間であるが「特別戦果ありの任意作戦」として言い渡されたのである。 榛名「リランカ島周辺増援部隊の殲滅…ですか」 提督が見た後の作戦資料に目を通す榛名

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10. 大鳳「すでに入った情報によると同島は完全に守備隊により固められ、かなり堅牢とのことです」 ザハ「大本営はなぜリランカ島を放棄したのか……深海棲艦の動きを察知していたのかはたまた放棄したからリランカ島が深海棲艦の反攻作戦拠点にされたのか」

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11. いつも通りの独り言である。だが「練度が足りないから見送り」と言っていた割にはつい先程とはうって変わって資料を見ている。 ザハ「いくつか、気になることがある。そして…少し実行すべきことができた。みんなを集めてくれ」

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12. 集まった艦娘…とはいえ今ここにいるのは全員ではなかった。もともと重要な作戦会議はこのように限られた艦娘だけで行われることもある。 瑞鶴「そんなの無茶に決まってるじゃない！提督さん正気なの！？」 気になること、実行すべきの内容を伝えてまず口を発したのはのは瑞鶴であった

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13. 北上「まあまあ、落ち着いて落ち着いて」 そんな瑞鶴を北上が落ち着かせる 千代田「十一号作戦で発見された秘匿泊地が気になるって。確かに気になるけど…」 武蔵「リランカ島を抜け、もう一度秘匿泊地へ向かう…か。すでにあの海域より西はまた深海の手に落ちたと聞いたが」

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14. 瑞鶴「だから言ってるのよ。行方不明になったあの人も心配なのはわかるけど提督さんトラック泊地でどうなったか知ってるの！？」 瑞鶴をその言葉を受け全員黙りこんでしまった。事実、トラック泊地防衛戦にて一度深海の瘴気にて帰還不能に陥るところだったのだ

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15. 榛名「もう…あんな思いは」 榛名だけが思い出し少し言葉を発した ザハ「もちろんいきなり実行に移すわけではない、ある人をあたってみる。そこで断られたら今回の件は無しだ。ステビア海もあいつのことも全部忘れる、約束する」 瑞鶴「わかったわよ。んでどこの誰に聞きに行くの？」

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16. ザハ「まあそれは後で話す。今回の件…同行してもいいって人はここに残ってくれ」 しばらくの沈黙……誰も席を立たない。 ザハ「もちろん途中で辞退しても問題はない、そして私の我儘に付き合ってくれて申し訳ない」

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17. 北上「無茶な要望は今に始まったわけじゃないからね～」 利根「限定作戦中の方がよっぽど無茶が多いからのぅ」 武蔵「秘書艦娘も含め無茶を止めるのも今に始まったことじゃないからな」 ザハ「だが全員連れて行っては遠征部隊、そして伝達に支障が出る、すまないが数人に絞らせてくれ」

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18. ザハ「榛名、北上、大鳳、利根、武蔵。この５人で行く。瑞鶴とはっちゃんはすまない。執務室でいつも通り指示を与えてくれ」 瑞鶴「わかったわ」 他の艦娘にも細かな指示を出した。あとはここにいない艦娘には事情を伝えないようにとのことも伝えられた

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19. 燃料弾薬の補給を完了した。数日分の食料も持った。 だが向かう先は輸送船ではなく陸路の方であった。 ザハ「了承は取れた。まずは…宿毛湾だ」 艦娘も提督もこの先待ち受ける未知なる出撃に不安をよせていたが、誰もそれは口にせず、宿毛湾に向かった

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〜序章〜再び抱かれた疑問～ 完 第二章へ続く

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NGシーン（？） ザハ「まあそれは後で話す。今回の件…同行してもいいって人はここに残ってくれ」 ｿﾞﾛｿﾞﾛｿﾞﾛ…＼ﾊﾞﾀﾝ／ （画像はイメージです） pic.twitter.com/9F0tvI0YSq

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