夏の魔法

かおり @orange_shake_

【夏の魔法・26】 亮ちゃんのサーフィンとテラスハウスの洋楽足したら無敵すぎて恐怖すら感じる。 イケメンこわい。 "丸ちゃん何してんの" 『敗北』 "は？"

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【夏の魔法・27】 『かなわへんねん！』 場所は変わって、コンビニから近所の居酒屋。 僕が病んでるんじゃないかと心配した大倉がバイト上がりに連れてきてくれた。 ついでに亮ちゃんも。 一通りいきさつを話したところで、ビールを一気に飲み干す。

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【夏の魔法・28】 "いや、やから最終的に誰にかなわへんの？亮ちゃん？" たこ焼きピザを切り分けながら大倉が首をかしげる。 "いや、おれ興味ないし" 亮ちゃんは唐揚げで口をもごもごさせてる。 『大倉ぐらい背の高い亮ちゃん…もしくは亮ちゃんみたいな遊び方する大倉…』

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【夏の魔法・29】 "誰やねんそいつは。あとお前何気に失礼やぞ" 亮ちゃんから枝豆攻撃をくらう。 ちょ、顔狙わんといて。 "何がそんなに難しいねん、ちょちょーっと海行くだけやんけ" "せやで、亮ちゃんの言う通りや。何、泳げへんとか？"

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【夏の魔法・30】 "大丈夫やって、女子は浅瀬でバシャバシャやっとるだけで泳がへんから" いや、それ以前に。 『そんな勇気ない…』 ""どんな勇気や"" うわ、ハモった。 イケメン怒ったら怖いでこれ… 『だって、女の子誘うなんて高度なことしたことないし、』

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【夏の魔法・31】 "高度か？男と同じように誘ったらええやん" 『そもそも車もテラスハウスのサウンドトラックも持ってへんし、』 "サウンドトラック？" "レンタカーでええやん" 『あかん、ペーパードライバーやもん』 "………"

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【夏の魔法・32】 『それにこのわがままボディ、見せるわけにはいかんし、』 大倉が僕のシャツをぺらっとめくる。 うん、さっき食べたフライドポテトも昨日の廃棄でもらったシュークリームも、もれなくここに溜め込んでるで。 "………"

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【夏の魔法・33】 『彼女の水着姿見る勇気もない…服の上からでもちょっと危ないのに』 "危ないって…何がよ" 『言わせんといて』 ""はぁ〜……"" 同時にため息つかれた。 "お前、そんなん言うとったら一生童貞やぞ" 『待って亮ちゃん、僕童貞ちゃう！』

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【夏の魔法・34】 "え、あんの？いつ？誰と？どんなセックスすんのお前？" "亮ちゃんやめぇや、俺聞きたない丸のそんなの" 『そんなの、て…』 まぁええか。僕も話したないし。 "じゃあ大倉のでええわ、最近ヤッてんの？" "嫌やぁ亮ちゃん、欲求不満なん？"

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【夏の魔法・35】 "別れてんもん" "え、いつ" "先週" そこから話題はイケメン達のそちらの事情へと移り。 "あ〜、もうこの際誰でもええかなぁ…" "亮ちゃんが誰でもええとか言い出したら大学中の女の子殺到してまうで"

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【夏の魔法・36】 途中、飲み慣れない焼酎なんかも入ったりしてふわふわした僕の頭の中は相変わらず彼女のことでいっぱいだった。 pic.twitter.com/aNnqj7l4qV

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【夏の魔法・37】 『…ん』 「あ、おはよう♡隆平くん」 『………ぅえぇぇっ！？』 ぼ、僕の、その、腕枕の状態で可愛く笑う彼女は… なぜここに？ えっと、えっと… 記憶を必死でたどる。 あかん、思い出せへん。

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【夏の魔法・38】 …る、丸、丸、 あれ？亮ちゃんの声？ え？どこから？ "おい起きろ丸！" 『いったぁい！』 思いっきりケツを蹴られて、気がついたら。 『あれ…』 何度かお邪魔したことのある亮ちゃんの部屋。

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【夏の魔法・39】 お世辞にも綺麗とは言えないけど、サーフボードやギターが置いてあって、いかにも男らしい。 "なんで俺がお前をお持ち帰りせなあかんねん" げしげしと足蹴にされながら、もう一度自分の腕を確認するけどもちろん彼女なんていない。 『あれ、姫は…？』 "はぁ？"

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【夏の魔法・40】 鬼の形相で舌打ち。こ、こわい… "お前居酒屋でアホほど焼酎飲んでそのまま爆睡。俺と大倉でここまで連れてきたけどいつまでたっても起きへんし。もう朝やで" めっちゃ不機嫌そうに喋るくせに、そっと冷たい水のペットボトルを差し出してくれる優しさ。

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【夏の魔法・41】 あかん惚れてまう。惚れてまうやろー！ 『は、ごめん…えっとそれで、姫は…』 "いつまで寝ぼけとんねん。あと好きな女のこと姫って呼ぶなや、キモオタかお前は" き、きもおた！ オタクってだけで世間的には気持ち悪がられる部類なのにさらにキモいを重ねる？

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【夏の魔法・42】 え、ていうか僕オタクなん？ エヴァ好きがみんなオタクとか、そういう偏見やめよう？ 冷たい水で、重かった胃がスッと冷えて気持ちも冷静になっていく。 つまりあれはあれか、いわゆる、夢ってやつか。 やんな、なんか色々おかしいもんな。

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【夏の魔法・43】 隆平くん♡て、彼女僕の名前覚えてるはずないし。 昨日大倉と亮ちゃんが腕枕の話なんかしてるから俺腕枕の夢見てもうてんやんか！ 腕枕しんどいーって、言うてみたいわ僕も！ "…重症やな" 全部心の中にとどめたはずの声が聞こえてしまう、亮ちゃんってエスパーなん？

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【夏の魔法・44】 ＊＊＊ 土曜日やから大学ないし、お互い予定もないからってとりあえず連れ出された海。 颯爽と波に乗る亮ちゃんを遠くから見て色めきたってる水着ギャル達。 うーん、夏やなぁ… 僕はといえば、ビーチから離れた堤防の上からその様子をぼんやり眺めている。

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【夏の魔法・45】 "昔から修学旅行マジックとかクリスマスマジックとかあるやん、あれって理にかなってると思うねん。 そんな一時のテンションでって思うかもしれへんけど、そもそも恋愛なんて一時のテンションやんか。理屈とかちゃうねん。" 首をかしげた僕に、

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【夏の魔法・46】 "とりあえず夏の開放感味わってみーや。なんかテンション変わるかもしれへん、それがイベントマジックの第一歩やで。 ちょっとぐらい浮かれてしまえ、特にお前みたいなんは" って連行された。 『暑い…』

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【夏の魔法・47】 この暑い中、ひりひりする日差しとベタベタの海水の中に飛び込んでいく趣味は僕にはない。 むしろ趣味といえば食べ歩きか、こんな暑い日は1日家で映画とか見てたいっていうか…って、そういうところがあかんのか僕。 海から上がってきた亮ちゃんにタオルを渡して、隣に座る。

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【夏の魔法・48】 これ、彼女の役目ちゃうか…？ あ、そっか今彼女おらんから僕が代わりなんか。 僕の隣でわしゃわしゃ髪を拭いている亮ちゃんを見ながら、細い肩とか割れた腹筋とかチラ見する。 『さっきビーチで女の子に声かけられてたやん』

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【夏の魔法・49】 "あーいう頭悪そうな女嫌いやねん。 ツレおるからー、って言ったら簡単に追い払えるで" ツレって、その言い方彼女やと思われるでー。友達とか言うてくれんと。 ほら、さっきの女の子達こっち見てる。絶対怪しまれてるやんこれ。

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【夏の魔法・50】 タオルを置いて眩しそうに目を細める表情もセクシー。 もう僕この際そっちに目覚めてもええかなぁ… "やらしい目で見んなアホ" ごめんなさい。