夏の魔法

かおり @orange_shake_

【夏の魔法・51】 "で？なんとなくわかった？開放的になるテンションっていうか" わかったも何も、僕海入ってへんしなぁ… 『暑さで判断力が鈍って、確かに何かの間違いも起こるかもしれへんなぁ』 "お前なぁ…" まあええわ、と立ち上がる。 "シャワーして着替えてくる。"

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【夏の魔法・52】 亮ちゃんを待ってる間、またしてもビーチを眺めながらぼんやり。 水着姿、見てみたいなぁ… 近くでは刺激強すぎるから、ちょうどこれぐらいの距離で。 あの中に紛れてたりせぇへんかなぁ…

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【夏の魔法・53】 亮ちゃんのタブレットから覗いたSNSによると、今日からインターンシップに行っているらしい。 3回生からって、意識高いなぁ。 てか僕ストーカーみたいやな、SNSチェックして勝手に予定把握してんの。

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【夏の魔法・54】 ビーチの女の子を眺めながら、その中にいるはずもない彼女の姿を探してたら亮ちゃんが戻ってきた。 "どっちがええ？" 亮ちゃんの両手には、バニラとチョコのソフトクリーム。 『ありがとぉ、』 やっぱり優しいなぁ。

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【夏の魔法・55】 受け取ったチョコソフトをちまちま舐めながら、彼女やったらどっち選ぶかなぁなんて考えて。 そろそろ病気やんこれ。 結論、彼女はきっとイチゴ味が好きやと思う。

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【夏の魔法・56】 ＊＊＊ 亮ちゃんの家まで車乗っけてもらって、そこから家までの道をのそのそ歩く。 その角曲がったとこに、彼女がバイトしてるカフェがあるって信ちゃん言うとったな。 それ聞いてから、あの角が見えてきたら無駄に姿勢正してちょっとかっこつけて歩いてまうねんなぁ。

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【夏の魔法・57】 電車通学らしいから、駅から反対側のこっちにはどう考えたって来るはずないのに。 しかも今日はインターンシップや。バイトすら入ってるはずないのに。 海での日焼けがひりひりと痛い。 僕何もしてへんのに。 強いて言うなら夏のマジック？とやらを体感しに行っただけ…

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【夏の魔法・58】 …あー、ほんまにそんなものがあるんやったらその角から彼女が出てきてくれたらええのに。 この暑さで頭おかしなって、帰り道間違えたとかそんなんでもなんでもええから。 だって、夏の魔法は理屈とかじゃないんやろ？ なぁ亮ちゃん。 『はぁぁ…会いたいなぁ。』

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【夏の魔法・59】 ぽつんと出た独り言。 何言うてるんや僕。 会ってどうすんの？ いつもみたいに、マルちゃん♡って手振られて終わりやんかぁ… どうしたらその先に進めるのか。 そのバイト先のカフェに行ってみる、っていうのはずっと前から思ってた１つの選択肢。

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【夏の魔法・60】 それが一番手っ取り早いってわかってるからこそ、亮ちゃんや大倉には彼女がこの辺でバイトしてることは話してない。 絶対強制連行されるもん、何の心の準備もできてへんのに。 だって、100歩譲って夏の熱に浮かされるままに飛び込んだとして、何しに来たん？ってなるやん。

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【夏の魔法・61】 いや、カフェやからお茶しに来たでええんやけど。 でも、偶然を装うなんて小芝居打てるほど僕器用ちゃうし、だからと言って狙って来ましたってなったら何こいつキモいストーカー！って思われちゃうやんかぁ… あかん、バッドエンドしか思い浮かばへん。

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【夏の魔法・62】 最近暗い映画ばっかり見てるせいかなぁ。 たまには新喜劇とか見といた方がええな。 『なんかもう、勝手に上手くいってくれへんかなぁ…』 夏休みマジック？ 暑さと試験からの開放感で、なんかこういい感じに、目が覚めたら腕枕の彼女が正夢…みたいな。

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【夏の魔法・63】 『…なるわけないか。』 それはさすがに、マジックの力にすがりすぎやな。 pic.twitter.com/W5JfJ4p2LX

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