【蜻蛉釣り:前編】

こんな人だとは聞いて…にゃしぃ…
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葛葵中将 @katsuragi_rivea

手続きを終えた睦月は、姉妹艦の如月と一旦別れ…"艦隊補佐"としてその任に当たるため その艦隊の司令官たる葛葵を探していた。 行きかう人々に聞き回り、ようやく彼が演習海域にいるであろうことをつき止めた。 日差しが照り付ける海岸線沿いを重い足取りで歩みを進めている 1

2015-07-24 00:45:11
葛葵中将 @katsuragi_rivea

その情報を得るまでには少し苦労した… 夕雲型らしき銀髪の少女に訪ねても 「あぁ!?知らないね。う、嘘じゃねーかんな?あっち行きなよ!しっしっ」 などと追い返されたあげく、釣り人のような格好をした男から 「あっちだよ(*‘ω‘ *)ニア」 と見当違いの方向を教えられた 2

2015-07-24 00:46:06
葛葵中将 @katsuragi_rivea

基地の売店で購入したラムネを片手にあちこち走り回り…へばっていた。 睦月「それにしても…暑いところです…演習海域って…どこ…?」 南半球にあるサーモン諸島は年間通して高温多湿の地帯に属し、 その日は快晴ともありその気温を著しく上げ、体は汗ばみ体力を奪ってくる。 3

2015-07-24 00:48:21
葛葵中将 @katsuragi_rivea

睦月「…ダメダメ!こんなところで滅入ってちゃ!葛葵提督はあの"鬼百合の神通"の司令官… これじゃ怒られちゃうよね!」 頭をブンブンと横に振り気合を入れ直す。 睦月達、駆逐艦娘にとってその名を聞くだけで震え上がる「二水戦」 その旗艦を最も長く務めていたのが神通に他ならない 4

2015-07-24 00:49:37
葛葵中将 @katsuragi_rivea

"鬼百合"とまで例えられ、厳しい訓練を課すことで知られる嚮導艦… そんな"鬼"すらも手懐ける司令官…どのような人なのだろうか… 睦月は監視という名目上ではあるものの、そんな艦隊の補佐として働けることに浮足立つ 睦月「張り切ってまいりましょー!」 …空元気で声を上げた。 5

2015-07-24 00:51:36
葛葵中将 @katsuragi_rivea

拳を高く上げ、気合を入れ直す睦月の耳に…捻りを上げるエンジン音が聞こえてくる。 睦月「零戦の音だ!」 その音は特徴的で直接艦載機を扱わない睦月のような駆逐艦でも判別出来るほどのもの。 手持ちのバッグから望遠双眼鏡を取り出し、その姿を探した。 6

2015-07-24 00:52:36
葛葵中将 @katsuragi_rivea

その零戦が向かう先を辿れば演習海域に着くであろうことを思いついたのだった。 望遠双眼鏡で辺りを見渡し、ようやく機体に反射する光を発見する 睦月「あれは…赤蜻蛉!間違いなし!」 オレンジ色に塗装された機体が美しい編隊を組み空を駆け回っている様子を遠目に確認出来た  7

2015-07-24 00:53:57
葛葵中将 @katsuragi_rivea

演習用に用意された機体。通称:赤蜻蛉。 それが飛んでいるということは…空母による演習が行われているという証… 睦月「ビンゴ!」 指をパチンと鳴らし睦月は駆け出した。 赤蜻蛉の姿をギリギリ肉眼で確認しながら海岸線にその足音を軽快に響かせる 8

2015-07-24 00:55:07
葛葵中将 @katsuragi_rivea

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2015-07-24 00:55:31
葛葵中将 @katsuragi_rivea

辿り着いたのは…場末の桟橋。基地から離れた位置にあり、人影は…ない。 いや、一人を除いては… 「ハイ、お疲れさま(*‘ω‘ *)ラムネあるよ。飲むかい?」 息を切らし呼吸を荒らくする睦月に声をかけてくる男が一人… 睦月「あー!!でたらめな道を教えたおじさん!!」 9

2015-07-24 00:56:42
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「おじさんじゃない。私は28歳(´゚ω゚`)まだ若いぞ」 その男の姿には見覚えがあった。道を尋ねたら全く見当違いの方向を示した"釣り人"のような格好をした男だった 睦月「貴方のせいで睦月がどれだけ苦労したと思ってるんですか!!」 「…おかげで"旅行"は済んだだろ?」 10

2015-07-24 00:58:09
葛葵中将 @katsuragi_rivea

旅行、駆逐艦達の間での俗称であり。初めて訪れる地の軍事施設を回り頭に叩き込むことをそう呼ぶ… 睦月「えっ、それを知ってるということは…おじさんも海軍の…」 「だから…おじさんじゃないと言ってるだろ(´゚ω゚`)!全く飛んだ失礼な"艦隊補佐艦サマ"だ」 11

2015-07-24 00:59:22
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「何やってんのさ司令…そろそろ始まるぜ?」 ふと海の上から声がかかる。そこには銀髪の夕雲型駆逐艦が佇んでいた …その姿も見覚えがある姿… 睦月「貴方も…さっきの…」 「…騙して悪かったね。司令の指示でね、仕方なかったのさ。あたいは朝霜、よろしくな」 12

2015-07-24 01:00:54
葛葵中将 @katsuragi_rivea

追いつかない頭を回して睦月は考えた。 ・睦月がこの地に艦隊補佐として寄越されたことを知っている ・夕雲型駆逐艦、朝霜は資料によるとその艦娘籍を葛葵艦隊に置く ・そんな朝霜が「司令」と呼ぶこの釣り人のような格好をした男はすなわち… 「私は葛葵(*‘ω‘ *)!よろしくね」 13

2015-07-24 01:02:12
葛葵中将 @katsuragi_rivea

睦月は…頭を抱えた。 睦月「こんな人だとは思わなかったでしぃーーー!!!」 葛葵「一体どうしたんだ?補佐艦サマは(*‘ω‘ *)?」 朝霜「だから言ったんだよ…普通に案内しろって…」 先ほど飛んでいた赤蜻蛉が上空を旋回し始めていた… つづく、かも

2015-07-24 01:04:00