2011年1月2日

犬。(腐)

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@hiragi30000

首輪の付いた男が飼われていた。金の犬は珍しいと、主が言う。この家に買われたのはいつだったか、数日前であるような気も、何百年も前であるような気もする。昨日が冬だったか、明日が夜なのか。窓から見える他の家の屋根を眺めながらぼんやり思った。どうでもいいことだ。

2011-01-02 18:20:06
@hiragi30000

主は自分を兄と呼べと言った。ならば従おうと、彼を兄と呼んだ。兄は犬のあおい目を、西から陽の色だと言い、犬をヴェストと呼んだ。彼らは犬とその飼い主であり、兄と弟であり、親と子であった。犬にとって、主が世界のすべてであった。

2011-01-02 18:21:07
@hiragi30000

犬は首輪と鎖でつながれていたが、強くたくましい四肢でそれらを引きちぎることなど簡単だった。しかし犬は賢く従順であったため、首輪を指先で撫で、鎖に頬ずりをしてそれらを愛した。主のもとにいられることが幸せだった。主は気まぐれで、犬を足蹴にして馬鹿だ阿呆だ下品なクズだとなじったり、

2011-01-02 18:23:29
@hiragi30000

微笑んでその唇で全身に触れてかわいい好きだよ愛してると何度も囁いたりした。優しく触れられる日は、その細い両腕に抱かれて気絶するまで愛された。その日は主に抱きついて好きだと呟くことを許された。犬は、主の犬でいられることを心から喜んだ。このままでいられると信じて疑わなかった。

2011-01-02 18:27:51
@hiragi30000

ある日、抱かれもしなければ踏まれもしない日があった。気が狂うほどの不安の中、差しのべられた手は優しかった。抱いてくださいと縋りつくと、困ったように笑われる。今日はしない、叩いたりもしねえよ、おいで、一緒に寝よう。主は気まぐれで、犬はそれに戸惑いながらも従うのが好きだった。

2011-01-02 18:31:04
@Li_Lu_La

おい待て止めろ、神の普独の雲行きが怪しい、待て、主が病であるとかそういう設定はいらない、虐げ愛することだけに少ない命を使っていたとか絶対に認めない。生き物を飼ったらな、それが死ぬまで面倒見なくちゃいけないんだぞ、それが飼うってことだ、生殺与奪の権利を得ている者の義務だ、泣、

2011-01-02 18:31:25
@hiragi30000

主のための寝床は犬が今までに触れたこともないほどのやわらかく温かいもので、目を閉じるとすぐに眠りに包まれた。このまま目が覚めなければいいと一瞬だけ思ったが、それではもう主に触れられないということに気付いてその考えを撤回した。両腕で強く抱きしめられながら眠る夜は初めてだった。

2011-01-02 18:35:05
@hiragi30000

いつも目が覚めるときは太陽が高く上がった、ヒトのための時間でいえば昼に近い頃だったが、主の寝床で迎えた目覚めはいつもと違った。オレンジ色に焼けた朝日が薄くカーテンの向こうから差し込んでいて、主はまだ目覚める気配を見せない。吐息ひとつ聞こえない深い眠りについているのだろう。

2011-01-02 18:37:57
@hiragi30000

犬は、主のぴくりとも動かない胸に身を寄せ、ぴったりと閉じて寝息も漏らさない唇に己の唇を触れさせた。にいさん。返事はない。にいさん。主は動かない。犬は諦めて、また温かくやわらかい布団にもぐりこんだ。太陽はまだ遠い。はやく目が覚めないだろうか。ぶたれてもいいから、触れてほしかった。

2011-01-02 18:42:05
@hiragi30000

犬は、目覚めぬ主の傍らでもう一度目を閉じる。主の体は、ひどく冷たかった。

2011-01-02 18:42:48
@hiragi30000

ナンテネー。(・ε・)

2011-01-02 18:43:09

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