@oika 仕事の旅日誌

akio @oika

速報 明後日から仕事の旅

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6月18日。ANAで季節を飛び越えて、夏と共に出張が始まる。ホテル予約いつまで押さえたんですか？と探りをいれられて、いやぁ花火の時期は空いてなくてねと笑って返す。もう戦いは始まっている。

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6月19日。以前来たときはRootsだった自販機がKIRINに替えられていて、休憩中の缶コーヒーにまで炎上を示唆されている気分さ。

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6月20日。偉い人Aと偉い人Bの間で板挟みになりつつ孤独な闘いを続ける彼の背後に、土下座姿勢のまま「俺はこうやって芸能界を生き抜いてきたんだ」と叫ぶ野々村真の霊を見た。

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6月21日。美容師さんに、休みの日とかなにされてるんですかぁ？と聞かれたときに、いや何と言われても…と返答に困るような、そういう類の休日を過ごしました。歯ブラシとか買いました。

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6月22日。ホテルの部屋の冷蔵庫が壊れている事実に、2泊目には気づいていたのだが、昨夜ついにフロントに問い合わせる夢まで見てしまったので、リハーサルどおりに問い合わせてみることに。しかし夢とは違って、排気口をちっさいペンギンがふさいでいたりすることはなかった。所詮現実。

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6月23日。スーパーマンに憧れるのは簡単だが、必要なのは悪役を引き受けられるだけの器の大きさなんだ。言葉の端々に「俺がやったんじゃないんですけどね」が滲み出て、今日も自己嫌悪が捗る。

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6月24日。昨日と同じ朝食。0.5センチ角の木綿豆腐と戻りかけの乾燥わかめの味噌汁を掻きこんでるときに、不意に母の味というやつを思い出してしまう。

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6月25日。今日聞いた話。いま開発中のこの優れたシステムが納められるお客さまのところには、本来DBに格納すべきデータを頭の中に蓄え、ソフトウェアがやるべき処理を手動でこなす名人おじさんが居るらしい。このシステムは、彼の仕事と名声を奪うことになるのだ。

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6月26日。元請け社の人は誰もが愚痴れる相手を探している。職場のあちらこちらで「ここだけの話」を入手しながら、タイムラインに放流できない知識ばかりが増えていく。

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6月27日。予期せず仕事から早く解放された土曜日。ホテルで時間を食い潰すのも退屈だと思い、歓楽街と飲屋街の狭間をひとり夜歩きしてみるも、ドレスの女性の舞台裏の会合に、あるいはビニールカーテンの店から漏れ聞こえる大黒摩季に、ただ疎外感ばかりが加速していく。

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6月28日。朝、昨夜は酔っ払ってLINEしてごめんなさいとメッセージが届く。素面のときに届く楽しそうな飲み会の写真よりも、宴のテンションで送りつけられる大漁のスタンプよりも、翌日の謝罪メールに俺は寂しさを感じてしまうんだ。

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6月29日。23時の帰路。俺とすれ違うときくらいは熱唱を中断してくれよ自転車ボーイ。自分がちゃんとここに居ることになっているのか、不安になるだろうよ。

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6月30日。月初めの唱和にそなえて発声練習。シンチョクニ オクレハ アリマセン。

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7月1日。「進捗に目立った遅れはありません」目立たぬように延ばす工程 #短歌

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7月2日。かつて尊敬する経営者が言っていた。自分が褒められているうちは三流。商品を褒められて二流。メンバーを褒められて一流。三流の僕をもっと褒めてくれ。

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7月3日。深夜まで仕事をしているときに唐突にやってくる、急に体力がみなぎってきて、もうこのまま寝なくったって仕事してられるぜと思えてくるような短い全能の時間帯。残りわずかのマヨネーズのように、最期に勢いよく出てカラになるライフゲージ。E缶の自販機は今日も品切れ。

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7月4日。プロジェクトになにか難しい問題が発覚したらしい。周りがみな頭を抱えていたが、自分は直接担当していない部分で詳細がよくわからず、深刻さを共有できないのがなんだか寂しくなって、腕を組んで難しい顔を作って仲間に入ろうとした。

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7月5日。赤羽。嬉しい再会を果たした友人達との楽しい宴の最中、財布がないことに気づき、慌てて最初の待ち合わせ場所まで戻って、そこに2時間のあいだ落としたままの姿で直立していた財布を見つけた直後の僕をご覧ください。 pic.twitter.com/NSGBzKlF8A

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7月7日。仕事先の社員食堂。海と陸の比率が逆になったような干ばつカレーを咀嚼しながら、梅雨明けを待ち望むことの贅沢さに気づかされるのだ。

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7月8日。札幌のメンバーに海を越えて画面作成を依頼。仕上がってきた画面の1ピクセルのずれがどうしても気になって、わざわざ指摘するのも嫌な感じだし、しかし勝手に手直しするのも感じ悪いしと悩みに悩んだ結果、ごめんなさいで書き出しごめんなさいで結ぶ修正依頼を回線に乗せた。

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7月9日。A社さんとかはちょっと変更を頼むのにもいちいち見積もりだなんだって話になって大変だけど、oikaさんのところはちゃちゃっと修正してくれて本当に助かるわぁと言われて、この業界にとって本当の悪は我々なのではないかという念が拭えなくなる。

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7月10日。思いだし笑いを噛み殺すために悲しいことを考えようとして、そろそろ家に届くであろうRSRの通し券を郵便受けから出すことさえできぬまま出張中にその日を迎えるかもしれぬことを考えたら、効きすぎて何を思いだしていたのかさえ忘れてしまった。僕だけがいない夏がやってくる。

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7月11日。この近くのローソンでAmazonの商品を受け取れるとわかって次第に快適になりつつあるビジネスホテル暮らしの最中ふと、キップル化の進んだ自宅の姿が頭に浮かぶ。机の上のレシート達が貧乏自慢で盛り上がり、下ではレジ袋の白軍と靴下の黒軍が陣取り合戦に精を出す。早く帰らねば。

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7月12日。カフェのテラスでアイスコーヒーに休日を溶かす。店先の通りに目をやると、店の前で座り込んでしまって動こうとしないチワワに何か説得を続けているお姉さん。最後に根負けした様子で「プリンだけ買ってく？」と声をかけるお姉さんの表情が優しさに満ちていて、なんだか僕は犬になりたい。