タイトル未定のリレー小説 第二章

ゐつき @itukikashima

@tccakk その瞬間昼間になったかの様な閃光が広がり、それが収まった後、大気を震わす轟音が聞こえて来た。「一体何が起きてるんや?!」光で目の眩んだ蓮が必死に音を探る。流は相変わらず無言のまま微動だにしない。保は頭を抱えて体育座り。太郎とビリケンは何か喚きながら走り回っている。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 滝は?!…滝は閃光の消えた空の一角を見つめていた。サングラスが目を守ったらしい「Oh…あれが奴らのstarship…」滝の視線の先には、超時空要塞さながらの巨大な建造物が、暗闇を切り裂いて降下…いや。落下していた。「アレはアカンヤツやて！」「嬢ちゃん達伏せや！」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 太郎とビリケンがあらんかぎりの声で叫んだ。大気圏を突き破り、猛スピードで落下と飛行の中間を行き来する巨大建造物が、頭上を超えて遠くに飛び去り、そして墜落した。多分海だ。唖然とする全員の上から急に声がした。「東博士！」「蓮?!流もいるのか?!」これは豪と翔の声だ。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「豪ゔゔゔゔ！！！じ、心配じだんだよおゔゔゔ！！！」上空から脱出用簡易反重力装置で降下してくる豪に向かって、流が叫ぶ。とりあえずお前は涙と鼻水を拭け。 豪と翔は目の前に無事降下する。 豪に泣きながら抱きつく流。 「な、なんや。無事やったんや」と蓮。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「心配かけたな、流。泣くな、男の子だろ？……蓮も、泣くな」 流の頭を撫でつつ蓮に話しかける豪。 「な、な、泣いてへんわ！どーせお前は殺しても死なんし！」 大慌てで目を擦りながら豪に悪態をつく蓮。 会話だけを聞いていると、何だか家族のようだ。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 見た目は、ゴリラの腰に抱きつき泣き叫ぶ超絶イケメンと、ピンクのチビっ子という残念な光景だが。 そう、豪はゴリラの血が混じっていると言っても不思議が無いほどのゴリラっぷりなのだ。顔も、濃い体毛も、色黒なことも。それでいて内面は超絶イケメン。ゴリラのくせに

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「なんや、ワテら出番なしかいな！」「せやな、せやったら帰ろか、たろやん！」「せやせや！ほんならキリンの兄ちゃん、よろしう！」「早よせーや、ジラフ！」 太郎とビリケンさんは帰りたい様子。軽トラの荷台に乗り込み、保に催促。 「保、任せた」 「はーい」

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@itukikashima 保と二体はガチャガチャ音を立てながら遠ざかっていった。 「さて、これでおちついて状況把握が出来るな。……何があった？」 私の質問に対し、翔は至極完結にこう答えた。 「暴走です」 ……暴走？

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「神の思念が地上にいる間に、神の本体を人質に取った反乱が起きた」豪が淡々と説明し出した。滝が最後の連絡を取った後、豪は大阪に潜入してすぐに捕まった。私達の大阪潜入が知られていた様に、豪の潜入もバレていたらしい。そしてすぐに衛星軌道上にある奴らの基地

ゐつき @itukikashima

@tccakk 通称「方舟」に連れて行かれた。そこに監禁されていたが、どうやら同じ様に捕まり、監禁されてた地球人が多く存在していた様だ。地球人達は密かにレジスタンスとして、内部から方舟を攻略する機会を狙っていた。そして今日まさに、反乱の狼煙が上がり、先程の墜落劇に至ると…。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「レジスタンスのリーダーは無心大志と名乗っているらしい」翔の言葉に、全員の視線が戸惑った後、こちらに集まった。翔は先代の事を知らない。だからこそ情報の１つとして出された名前の衝撃は大きい。「54代目は愁傷なレジスタンスなんかやるタマやないやろ」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 私の気持ちを代弁する様な蓮の言葉。「レジスタンスはやらないでしょうが、ゲリラなら喜び勇んでやると思いマース」うん。確かに。「俺も無心大志の名前は聞いた。本物かどうかは知らんがな」豪の言葉が決め手となった。解らないなら確かめよう。私は先代を探しにここまで来たのだ。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「せっかくここまで来たんだ、俺もコイツを抜かずに帰る訳にはいかんな」流、かっこつける前に鼻水拭け。「所長ー！戻りましたー！」遠くから軽トラのエンジン音と能天気な声が聞こえた。「随分早いな…」トラックから降りた保が走って来る。「棄てて来ました！」おい。仮にも神器…

ゐつき @itukikashima

@tccakk まぁビリケンの神通力とかその辺りで、自力で帰れるんだろうけどさぁ…。祟られるぞお前。「保！港に向かうぞ！」「あ！その前に！」保が再びトラックに向かう。「これ拾って来ました！」そう言いながら保に連れられてやって来たのは…見間違え様のない姿。中華街の道婆さん?!

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「アタシも連れてって貰おうかねぇ…神のヤツに痛い目見せてやりたいんだよ」そう言って派手な工夫服に身を包んだ、小さな人型の皺の塊が笑った。齢300を数えるとも噂される中華街の魔女。何で魔女とか神器とか拾ったり棄てたりするかなぁこの馬鹿キリンは！「おひさしぶり…です」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 何とか挨拶するがぎこちない。蓮、豪、滝に至っては曖昧な笑顔のまま固まっている。私や蓮、豪。そしてあの滝ですら、道婆さんは苦手と言わざるをえない。苦手と言うより、畏敬と言った方が正しいのか。畏れ敬うが、なるべくなら近づきたくない関わらずに済みたい。それが道婆さんだ。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「ところで大志や」 「な、なんですか？」 道婆さんの身体が揺らいだ、ように見えた。 次の瞬間、軽トラから降りてきたばかりの保の首から、赤い噴水。 地面に転がる保の頭部。 「悪いが、こいつは殺すぞ」 仕込杖を納めつつ、道婆はそう呟いた。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「な、な、何しとんのや、道婆！」 蓮がメスを懐から取り出し構える。 「OH！保のヘッドが転がってるネー！」 滝はそう言うと、愛銃を抜いた。三回の銃声。保の頭部が三回跳ね、三つの穴が穿たれる。 その穴は、あの時の神の頭部の如く再生を始めた。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 違和感は、あった。 保はアホだが、馬鹿ではない。私が法に抵触するような行為をした後、証拠隠滅するのは保の役目だ。 だが、ここに転がっている保は、太郎たちを「捨てた」と言った。 本物の保ならそんなことをするはずがない。 よく見ると、先程の噴水はオイルか。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「酷イことシまスね、婆ァ」 保モドキの頭部が喋り出した。 頭部を失った身体が起き上がり、頭部を拾い、元々の位置へと運ぶ。 が、切り口は既に塞がっており、頭部は繋がらない様子。すると左脇に頭部を抱えた。その外見はまるで、首なし騎士デュラハン。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 保のふらふらした体癖が残っているのか、頭部を失ったせいなのか、奇妙に均衡の無い姿が余計に不気味さを増す。「余計ナ事ヲしてクれたな無心大志」保のニヤニヤ笑いのまま、怨念の様な言葉が吐き出される。「ダが無駄だ。方舟ハいくらでモやっテくル。反乱ナど無意味ダ」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 目にも止まらぬスピードで流が袈裟懸けに抜き打ち、蓮のメスが保型人形の目玉に突き立つ。滝の銃が銃身にあらんかぎりの弾を頭部に吐き出しボロ布の様にしていく。道婆の仕込み刀がハヤブサの様な速さで足から寸刻みに肉片…いや、金属片に変えて行った。「ム…ダな、コ、と…」

ゐつき @itukikashima

@tccakk ヤツらの機械人形が機能を停止する所を、初めて見たかも知れない。これにも便宜上の死と言う物は存在する様だ。「ただ一体に弾を撃ち尽くすとは、コスパ悪過ぎデース！」言葉は軽いが滝の顔は真剣だ。蓮のメスに塗られた腐食毒がヤツらの内部を錆びさせ、腐食汚染するには時間がいる。

ゐつき @itukikashima

@tccakk このまま方舟に乗り込んでも、機械人形に囲み殺されるのがオチだ。「何かヤツらを一撃で倒せる様な、核を撃ち抜く的な方法は無いのか？」奴らとの戦闘経験豊富な滝、豪、流を見るが、渋い顔をしている。そもそもヤツラがどう言う原理で再生しているのかも解らない。道婆がニヤリとした

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「マンガじゃあるまいし、そんな都合の良い方法はないよ。だが、やりようはある。」道婆がじっとこちらを見据えた。「やりようとは?!」「すぐ人に聞くんじゃないよ！自分で考えな！解らなきゃ死ぬだけだ」…相変わらずスパルタだ。私と滝は裏社会のイロハ。蓮は薬学。道婆は先生だ。