GC大戦EX・ライオネル襲撃２-⑤

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

#ライオネル襲撃 「やっと笑ったな」 ザックスは嬉しそうに、そして安心したように微笑んだ。 それはただ仲間を案じていただけの少年の笑みだ。 「これでやっと本題に入れる。――俺と戦うのは気が早いよ。 　俺はまだ、皇帝聖印を発動させる気はない。それは当面先の話だ」 （続）

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

#ライオネル襲撃 「今の世の中は混沌に依存しすぎている上に、 　それがなくなった時の備えができていない。 　今、混沌が、聖印・魔法・邪紋がなくなれば 　世界は混乱に逆戻りしてまた多くの犠牲が出る」 （続）

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

#ライオネル襲撃 「たとえそれで混沌災害を未来永劫防げるとしても 　大きすぎる犠牲だ。それは未来のために現在を 　殺すことだ。未来に禍根を残すのもよくないが、 　今、俺と同じ時代を生きてる人を見捨てて 　そこまで未来人に肩入れするのもおかしな話だろ」 （続）

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

#ライオネル襲撃 「だから俺は、その準備をしたいんだよ。 　現状で性急に皇帝聖印を表そうとする人がいたら 　それは俺にとっても敵だ。戦ってでも止めるつもりさ。 　だからさ、俺達の利害は一致してるんだ。今んところは」 （続）

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

#ライオネル襲撃 「で、だ。今そんなことができるのは誰だ？ 　最高位の爵位を持った聖印を統合して皇帝聖印を作れるのは 　大戦の勝者である条約の盟主、テオ様をおいて他にはいない。 　なのになんで、俺が皇帝聖印を作るみたいな話になってるんだよ」 （続）

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

#ライオネル襲撃 「キミがテオ様を狙うんならわかるけど、俺みたいな一兵卒を 　狙うのは全くおかしな話だ。そこらへんどうなってるんだ？ 　アイツが歪めた情報を聞かせられて、乗せられたんじゃないか？」 ⇒N

猫憑ノコ🍄@11/21（日）ゲムマ秋チ-08 @okurisuzume

#ライオネル襲撃 カッツェが肩を竦める。 「……ああ、元よりアンタが問答無用で混沌を奪っていく強盗だとは思っていないよ。仮にもアンタは『英雄』なんだろう？ どうやらアタイを説得しようとしているようだが。アンタに、アタイがアイツを諦められるような策があるのかい？」

猫憑ノコ🍄@11/21（日）ゲムマ秋チ-08 @okurisuzume

#ライオネル襲撃 「アンタの言う『犠牲』の１人として聞こうじゃないか。 どうする気だ？アンタはアタイを戦わせたくないのかもしれないが、全てを解決するような強大な奇跡が、アンタに起こせるっていうのかい？ その奇跡をこの目で見ない限り、アタイには戦う理由がある」 ⇒Z

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

＃ライオネル襲撃 「策はない」 飾らず、短く、簡潔に言い切る。 「だからそれを、キミにも考えてほしい」 真剣な、これまでで一番真剣な眼差しで カッツェの瞳の奥を見つめる。 （続）

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＃ライオネル襲撃 「キミのような人達に諦めてもらう方法も 　キミたちが諦めずに事を収める方法も 　今の俺にはまるで思いつかない。 　だが今は無理でも 　この先もずっとそうとは限らない」 そこで息をついて、肩の力を抜いた。 「頼りない話だろう？　だから助けてほしいんだ」 （続）

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＃ライオネル襲撃 「とりあえず今わかっていることは 　どうすればキミ達が納得できるかなんて 　俺が勝手に考えたってわかりっこないってことさ」 「混沌の力を失いたくないという人自身の気持ちを、 　意見を聞かずにそんな策を思いつくはずがないんだ」 （続）

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＃ライオネル襲撃 「カッツェ、俺に猶予をくれ。 　皇帝聖印を生み出すのをこれ以上は引き延ばせないとなった時、 　まだいいアイデアがなければその時は俺もキミと戦おう。 　だがそれまでは、俺達が戦わずに済む方法を共に考えてほしい」 （続）

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＃ライオネル襲撃 「キミにとっても悪い話ではないはずだ。 　このまま戦っても、キミは負ける。 　俺に勝っても、その後で他の誰かに負ける。 　皇帝聖印は世界の希望だ。それを求める声は大きい。 　その巨大な流れに抗って押しつぶされることが本望か？」 ⇒N

猫憑ノコ🍄@11/21（日）ゲムマ秋チ-08 @okurisuzume

#ライオネル襲撃 彼女は黙って聞いていた。そして、暫く考え、考えた上でなお、その瞳は揺るがなかった。 「……生憎だが、アタイはそこまで賢い獣じゃないんでね。世界を、そしてアタイ自身を納得させるアイデアなんぞ、アタイには出ない。そんなものがあったら、とっくにアンタに雇われてるさ」続

猫憑ノコ🍄@11/21（日）ゲムマ秋チ-08 @okurisuzume

#ライオネル襲撃 「それに、だ」 カッツェの表情が、険しくなる。牙をむき出しながら、彼女は吠えるように言葉を紡いだ。 「このまま戦っても負ける？流れに押しつぶされるって？ 戦う前から負けると考えるやつがどこにいる。アタイは雇われ傭兵だが、自分の意思は持っているつもりだ」　続

猫憑ノコ🍄@11/21（日）ゲムマ秋チ-08 @okurisuzume

＃ライオネル襲撃 「混沌消失が世界の希望だろうと、それがアタイの生き方に反するならアタイは全力で抗う。虎は群れないんだ、自分から納得できない群れに加わるなんてごめんだね。 アンタ自身ですら決着のついていない、曖昧な理由でアタイを退けようとするなら――」（続）

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#ライオネル襲撃 「アタイを『納得』させてみな。丸腰じゃあないんだろう？ アタイから見れば、脆い崖の上に立ってるアンタこそ負けるぞ？」 カッツェの邪紋が輝き、全身に刻まれた縞模様から赤い毛皮が溢れだす。 ⇒Z

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＃ライオネル襲撃 「やっと虎らしくなってきたじゃないか。 　そうでなくっちゃ俺も仲間として頼れない」 ザックスの口元が薄く笑う。 それは今までの敵を敵と思わぬような態度とは違う、 かつて戦いの中で見せた剣呑な笑みだ。 （続）

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

＃ライオネル襲撃 「キミが俺をどう評価してるのかこそ曖昧なんじゃないか？ 　俺が奇跡を起こすと思ってるから敵対すんのに、 　奇跡を見せないなら仲間にならないとか。 　大体その奇跡ってのが曖昧だ。俺はそんなモン求めちゃいねぇよ」 （続）

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

＃ライオネル襲撃 「英雄呼ばわりすんのは、 　お前が俺のことわかってないからだ。 　理解不能で不気味なんだろうな。 　いいぜ。教えてやるよ、この剣で。 　俺はただの、諦めの悪いバカだってな！」 そしてザックスの腕の邪紋が輝き、 その手に氷炎の双剣が現れる。⇒N

猫憑ノコ🍄@11/21（日）ゲムマ秋チ-08 @okurisuzume

#ライオネル襲撃 「……ガルルル」 相手の構えを受け、完全に虎の姿となったカッツェも身を低くする。 数歩下がると、勢いよく目標目がけて飛びかかった！ 防具に守られていない、首や頭を目がけて鋭い牙が迫る。 ⇒Z

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

＃ライオネル襲撃 小細工に頼らず、正確に急所を狙う攻撃。 それでこそ獣だ。そう来ると信じていた。 だからザックスも迷わずに、 迫りくる虎の顔を目がけて 右手の炎の剣を突きだした。 ⇒N

猫憑ノコ🍄@11/21（日）ゲムマ秋チ-08 @okurisuzume

#ライオネル襲撃 「！」 正確な突き。しかし、真っ直ぐに飛びかかれば真っ直ぐに相手に攻撃されるのも当たり前だ。 虎は空中で体を捻る。ぎりぎりで剣を避けると、勢いそのままに相手の背後の茂みへと飛び込んだ。 がさり、という葉の擦れる大きな音の後、森から音が消える。 ⇒Z

天城リョウ＠webロボ小説家 @Kagura_AUC_mixi

＃ライオネル襲撃 （どうしたもんかな） 森ごと焼き払って炙り出す……は、ダメだ。森は人々の生活の糧だ。 敵地とはいえ、この戦いに領民は関係ない。巻き込むのはナシだ。 「面倒だな。 　早くかかってこいよ。 　俺はここから動かないぜ」 両手をだらりとたらしてカッツェを待つ。⇒N

猫憑ノコ🍄@11/21（日）ゲムマ秋チ-08 @okurisuzume

#ライオネル襲撃 その言葉を聞いてか、聞かずしてか。 ザックスの左側から、音もなく、突如大きな影が飛び出した。 今度は身を低くしたまま、相手の足を狙って飛びつく。 ⇒Z