2010年・中井圭(@cinesc)的映画ベスト10

シネマスクランブル編集長、中井圭さんが選ぶ2010年の映画ベスト10です。
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中井 圭 @nakaikei

さて、そろそろ中井的映画ベストテン2010を発表しますかね。個人としての映画の嗜好と評価基準とのせめぎ合いが凄かった。

2010-12-30 13:57:42
中井 圭 @nakaikei

第10位『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』/NYの美術品コレクター老夫婦のドキュメンタリー。自分のアパートに置けるサイズの自分の好きなものを自分の買える範囲で集めるというスタンスでアート収集を続ける、全くブレのない観ていて気持ちの良いスタンスが心に響く。

2010-12-30 14:20:38
中井 圭 @nakaikei

第9位『フローズン・リバー』/実話をベースにした、カナダとの国境にある川で報酬のため不法入国を手助けする母親たちのドラマ。追いつめられた状況下、ふたりの母親たちの母性の共鳴と選択が、凍りついた川のような人生を再び融かす。登場人物の感情をベースにし、テクニックに走らない脚本の妙。

2010-12-30 14:56:00
中井 圭 @nakaikei

第8位『ぼくのエリ 200歳の少女』/北欧を舞台にした孤独な少年と孤高なバンパイアの少女とのラブストーリー。響き合うふたりの孤独な魂と北欧特有の静かで刺すような冷気をまとった映像が美しい。ホラー要素はあるものの本作の語り口は異色で、ジャンル映画の枠を超えた叙情性溢れる良作。

2010-12-30 15:13:56
中井 圭 @nakaikei

第7位『告白』/娘を殺された中学教師が教え子に復讐するミステリー。中島哲也監督らしい極彩色は影を潜め、シリアスなトーン&マナーを保つ。登場人物それぞれの見解を独白形式で展開する原作を、人物描写を際立たせる独特な映像と音楽で鮮烈に組み上げ、従来の和製ミステリーの殻を破った。

2010-12-30 22:10:14
中井 圭 @nakaikei

第6位『トイ・ストーリー3』/成長したアンディと彼のおもちゃたちとの別れを描いたドラマ。ストーリー構築に最も注力するPixarが『リトル・ミス・サンシャイン』の絶妙な脚本を担当したマイケル・アーントを迎えた本作。誰しもが涙する、3部作としての完璧なエンディングが待っている。

2010-12-30 22:20:15
中井 圭 @nakaikei

第5位『第9地区』/地球に不時着し難民となった宇宙人と人間たちの間で起こる抗争を描いた社会派エンターテイメント。独創的な設定、エビ型宇宙人への意外な共感、ロボットアクション、現代社会批判の精神まできっちり盛り込んだ新鋭ニール・ブロンカンプ監督の手腕は観客に嬉しい驚きを与えた。

2010-12-30 22:35:45
中井 圭 @nakaikei

第4位『インセプション』/他人の夢に侵入しアイデアを抜き取る産業スパイが家族のために最後のミッションに挑む娯楽作。クリストファー・ノーラン監督のイメージ具現化能力の高さに驚愕。論理的に構築しながらも結局はぶち壊す荒っぽさも含めて非常に野心的。ハンス・ジマーの音楽も完璧。硬質。

2010-12-30 22:47:10
中井 圭 @nakaikei

第3位『キック・アス』/モテない地味な高校生がヒーローを自称して悪に立ち向かう。一見、B級映画風ながら圧倒的なカタルシスを味わえる練りに練られた傑作。クロエ・グレース・モレッツの魅力が爆発。ニコラス・ケイジとの絶妙な掛け合い、アクションが冴え渡る。笑って泣ける完璧な娯楽作。

2010-12-30 23:40:53
中井 圭 @nakaikei

第2作『(500)日のサマー』/運命を信じる男と信じない女の500日を描いたラブコメ。男子目線で不幸になる事がわかる型破りのオープニングや、エピソードを交錯させることで展開に起伏を与える演出、ジョセフとズーイーの極めて現代的な人物設計とそこに描いた恋愛の本質が見事。音楽も最高。

2010-12-30 23:52:13
中井 圭 @nakaikei

第1位『息もできない』/問題を抱えたチンピラと女子高生との出会いを描いたドラマ。監督で主演のヤン・イクチュンの、自身が抱えた想いの強さがスクリーンに満ちている。社会が見え隠れするやりきれない哀しみ、そんなふたりが解き放った魂の共鳴に、タイトル通り、息もできない。恐るべき映画。

2010-12-31 00:21:08