黄昏町(柊)二十六日目

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@hiiragi_r_t_d

【二十六日目】 【魂6/力10/探索6】 【異形】複口(力+2、探索+1)、長指(力+1、探索+2)、鬼腕(力+5)、竜尾(力+5)、半透明(探索+3、力-3) #hollytk

2015-08-19 22:38:18
@hiiragi_r_t_d

「はあ………」 私は夕焼け空を見上げて溜息をついた。 どうも昨日から渇いている。 喉が、ではない。心…とでも言えばいいのだろうか。 01 #hollytk

2015-08-19 22:40:12
@hiiragi_r_t_d

昨日、私は竜を殺し、その体を切り開いた。 切り開き、切り分け、端から端まで全ての構造を観察した。 その過程で、この渇きが生まれたのだろうか? 満足できない。もっと知りたい? 02 #hollytk

2015-08-19 22:42:14
@hiiragi_r_t_d

私は路上に降り立つ。 屋根を飛び渡るのは罠を避けるには有効な手段だが、相手に要らぬ警戒心を抱かせてしまう事がある。 この足音の主と、話し合う邪魔になってはいけない。 私は路上に立つと、足音の主がこちらへ近付くのを待った。 03 #hollytk

2015-08-19 22:44:05
@hiiragi_r_t_d

地面を蹴る軽い音と共に、黒い影が大通りに立つ私の前に躍り出る。 シルエットは人間のそれ。しかし前傾姿勢を取り、爪をふらふらさせながらこちらの様子を窺う様は紛れもなくバケモノだ。 バケモノが私を見、声を掛ける。 「トウメイ、透明、コンニチハ」 04 #hollytk

2015-08-19 22:46:16
@hiiragi_r_t_d

ああ、そういえば私は透明な結晶に変化しているのでした。 私は自らの異形を再認識しながら挨拶を返す。 「こんにちは、いい夕暮れですね」 バケモノは嗤って、問うた。 「オ前強イカ?ソレトモ弱イカ?」 05 #hollytk

2015-08-19 22:48:07
@hiiragi_r_t_d

私は返す。 「私は弱いですよ。私より強い人はいくらでもいます」 サイガさん。名も知らぬ彼女。鬼。 「でも、あなたくらいなら満足させられるでしょう」 06 #hollytk

2015-08-19 22:50:05
@hiiragi_r_t_d

バケモノは嗤い、自らの兎のように長い耳を指さしながら言う。 「弱虫メ、俺ガ勝ッタラコノ耳ヲ生ヤシテヤル」 兎耳が生えた私を想像し、少し笑いながら私も提案する。 「じゃあ私が勝ったら、あなたを解剖させてくださいね」 07 #hollytk

2015-08-19 22:52:04
@hiiragi_r_t_d

バケモノは可笑しそうに嗤う。 「グゲゲ、死体ヲ切リ刻ムノガ趣味カ?俺ヨリモオカシイゾ」 「へえ、ならあなたのご趣味は?」 「俺ハナ、壊シナガラ愉シムノサ。生憎男ヲ壊シテモ楽シクナイ」 相互理解は難しそうだ。 08 #hollytk

2015-08-19 22:54:07
@hiiragi_r_t_d

「…………それはまた、結構なご趣味で。あと私は切り刻むのが楽しい訳ではありませんので」 私はただ、知りたいだけなのだ。 「それではさっさと終わらせましょう。早く中身を見せて下さい」 早く知りたい。中身を切り開いて、内臓を一つ一つ並べて観察したい。 09 #hollytk

2015-08-19 22:56:35
@hiiragi_r_t_d

バケモノが私に飛びかかる。私は構えない。 バケモノが腕を振り上げる。私は何もしない。 バケモノは腕を振り下ろせない。 バケモノの腕には、私の尾が絡み付いていた。 バケモノがもう一方の腕を振り上げる。 10 #hollytk

2015-08-19 22:58:10
@hiiragi_r_t_d

私は左腕をゆるく構えると、バケモノの攻撃を真っ向から受け止めず、巻き取るように動かす。 バケモノの爪がその勢いをそのままに90度向きを変え、バケモノ自身の脚を襲う。 「ギィィッ……!」 バケモノが短い悲鳴を上げる。 11 #hollytk

2015-08-19 23:00:08
@hiiragi_r_t_d

私はバケモノ自身の脚に突き刺さった腕から手を離すと、その膝を全力で殴り抜く。 膝があらぬ方向に曲がり、バケモノはくぐもった悲鳴を上げながらその場に崩れ落ちた。 12 #hollytk

2015-08-19 23:02:10
@hiiragi_r_t_d

「……グッ……殺セ……」 苦悶の表情を浮かべるバケモノに、私は平然と返す。 「嫌です」 「…何故ダ……」 「分からないのですか?人を殺すのが好きなのに」 私はバケモノを踏みつけながら続ける。 13 #hollytk

2015-08-19 23:04:54
@hiiragi_r_t_d

「死後硬直されると、解剖しにくいんですよ」 私の言葉にバケモノは自らの未来を悟り、何やら喚き散らすが私の知った事ではない。 念の為に手足を外しておこう。反撃を受けてお陀仏、などという間抜けな死に方はしたくない。 14 #hollytk

2015-08-19 23:06:22
@hiiragi_r_t_d

まずは肩。尾に力を込めて引きちぎると、ボールジョイントを外した時のような小気味良い音と悲鳴が響いた。 次に脚。関節を外すとぐったりと脚全体から力が抜ける。悲鳴はもう聞こえない。 バケモノの顔を見やると気絶したらしく、白目を剥いて泡を吹いていた。 15 #hollytk

2015-08-19 23:08:32
@hiiragi_r_t_d

「やれやれ、やっと静かになりましたね」 自分は普段から人を殺していると豪語している割に肝の小さい奴だ。 私は心臓が動いている事を確認すると、解剖を続けた。 16 #hollyt

2015-08-19 23:10:25
@hiiragi_r_t_d

腹を開き、内臓を並べる。 内臓も骨格も、人間と全く変わらない。 違うのは両手の爪と、耳。 頭の上に生えた二つの大きな耳から伸びた神経とそれを動かすための筋肉は、頭の後ろへと続いていた。 17 #hollytk

2015-08-19 23:12:16
@hiiragi_r_t_d

こうやって解剖をしていると、つくづく手帳を失ったのが痛い。 メモを取らないままでは、そう遠くないうちに忘れてしまうだろう。 どこかで手帳なりメモ帳なり、紙を入手しなければ。 18 #hollytk

2015-08-19 23:14:20
@hiiragi_r_t_d

「こんなところでしょうか」 バケモノの両腕と頭の観察を終えた私は、手に付いた血肉を払いながら立ち上がる。 これ以上は無意味だ。人間と同じ部分を観察してもしょうがない。 19 #hollytk

2015-08-19 23:16:14
@hiiragi_r_t_d

しかしなぜだろうか、竜を解剖した時よりも満足感が圧倒的に足りない。 「解剖するなら大物、という事でしょうか?」 私は首をかしげながら、バケモノの死体を後にした。 20 #hollytk

2015-08-19 23:18:15
@hiiragi_r_t_d

──────── 【二十六日目】 【生存】 【魂+1】 【魂7/力10/探索6】 【異形】複口(力+2、探索+1)、長指(力+1、探索+2)、鬼腕(力+5)、竜尾(力+5)、半透明(探索+3、力-3) 26 #hollytk

2015-08-19 23:18:47
@hiiragi_r_t_d

[町]黒い影が君の前に踊り出た。咆哮を吐いて、怪物は嗤う。「オ前強イカ?」《力2以下は見逃され力8以上は勝利【魂+1】、それ以外は死亡【魂-1/『獣耳(探索+2)』『爪(力+2)』のどちらかを入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 #hollytk

2015-08-19 23:19:18