トリックルーム・オブ・クラフトニンジャシップ

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深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

「トリックルーム・オブ・クラフトニンジャシップ」

2015-08-22 15:00:45
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

「イィィヤァーッ!!」「「「グワーッ!…!」」」重装甲カスタム・ドラグーンが遂に沈黙した。赤黒のニンジャの周りにはドラグーンやクローンヤクザの成れの果てが散乱する。流石にこの物量を相手取っては彼の疲労も実際無視できない。バカン!突如として天井が開き大量のマキビシが降ってきた。 1

2015-08-22 15:08:49
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「ヌゥッ!」咄嗟にこれを回避したもののいくつか踏みつけてしまい赤黒は呻いた。そしてマキビシの波をものともせずに走り来た巨体のニンジャが猛スピードカラテタックルを繰り出したのだ!「イヤーッ!」「グワーッ!」赤黒が壁に叩きつけられると槍が飛び出し彼の左肩に刺さった。「グワーッ!」 2

2015-08-22 15:20:39
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「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。オトロシィです」「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」赤黒の男…ニンジャスレイヤーの左腕はだらりと垂れている。槍には毒注入機構があったのだ。「名高い死神もこの極上のフーリンカザン施設と俺のカラテを合わせればとるに足らないロートルよ」 3

2015-08-22 15:31:11
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは己を強いてジャンプパンチを放つ。「精細を欠いた動き!イヤーッ!」オトロシィはこれをそらし下手から膝蹴りを放つ。「イヤーッ!」死神は防御する。オトロシィのカラテは重い上、速さと耐久で力量差を補っている。さらに死神は両足と左腕を負傷しているのだ。 4

2015-08-22 15:49:05
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このトラップ施設は何なのか。読者の皆さんに説明せねばなるまい。ここはオトロシィがアジトとする廃墟である。表には前の持ち主と思われる「ナベ」の表札がかかっている。なんらかの兵器実験場、あるいは遺棄されたアトラクションをオトロシィが改造したものか。詳細はわからない。 5

2015-08-22 15:58:20
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「この完全なる我がアジトをその血と命で彩るがよい!」「甲羅に籠らねば生きてゆけぬノロマ亀とは哀れなものよ。狭苦しい甲羅を剥いで干し殺してやろう」「ぬかせー!」オトロシィは瞬時に距離を詰め重いカラテを放った。すれ違いざまニンジャスレイヤーは右手でその首を掴み後方に倒れこんだ。 6

2015-08-22 16:14:56
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だが…ナムサン!「トモエ投げのつもりか?バカめ。片腕でまともな投げが「イヤーッ!」「グワーッ?!」ゴウランガ!ニンジャスレイヤーは素早く起き上がり這いつくばるオトロシィの後頭部を殴りつけ顔面を床に叩きつけたのだ。それだけでは大したダメージではない。だがここはただの床ではない! 7

2015-08-22 16:22:47
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「グワーッ!グワーッ!」のたうちまわるオトロシィ。その両目に刺さるは非人道兵器マキビシ!「ハイクを詠め。オトロシィ=サン!」「ウォォー!」死神はふらつく歩みを決断的にすすめるがその時!突如として全方位から黒煙が吹き出した!「!?」「イヤーッ!」黒煙にまぎれオトロシィは逃走する!8

2015-08-22 16:30:31
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ニンジャスレイヤーはアジトの深奥に踏み込んでいた。 壁には電子ボンボリが四つ。そのうちのひとつ、血染めスリケンの突き刺さった不運な電子ボンボリが、断末魔めいてバチバチと火花を散らしていた。床に転がるのは、三つ子めいたクローンヤクザの死体。 10

2015-08-22 16:34:23
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「姿を現せ、オトロシィ=サン。オヌシがどれほど小細工を続けようと、私の怒りの炎に油を注ぐだけだ!」ニンジャスレイヤーの声が、廊下にこだました。死神はなおも進んだ。チャドーによる解毒を試みるが多様な毒を混ぜ合わせたものらしくなかなか回復しない。右手で、目の前のフスマを開く 11

2015-08-22 16:39:43
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「バカな……行き止まりとは……!」ニンジャスレイヤーが足を踏み入れたのは、タタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれにはセリ、ナズナ、ウド、初雪草の見事な墨絵が描かれていた。12

2015-08-22 16:54:15
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もはや先へ進むためのフスマは見当たらない。では、オトロシィはどこへ消えたのか。「姿を現すがいい、オトロシィ=サン……!」この謎を解くべく、ニンジャスレイヤーは右手にスリケンを握り、物音ひとつ立てぬ精緻な足運びで、部屋の中心部へと進んでいった。額の汗を右手の甲で拭った。13

2015-08-22 16:58:08
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ニンジャスレイヤーはついに部屋の中央へと達する。…まさにその時であった。オトロシィが後方のセリ壁中央を音もなく回転させ、姿を現したのは!「イヤーッ!」「グワーッ!」オトロシィはニンジャスレイヤーの背後へと忍び寄り、斜めに斬りつけるようなカラテチョップを浴びせた!14

2015-08-22 16:59:00
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ニンジャスレイヤーは体勢を立て直すと、背後の敵めがけて死の投擲武器スリケンを放った!「イヤーッ!」だがオトロシィの動きは俊敏であり、セリの描かれた秘密ドアを回転させ、再び消えてしまったのだ。標的を失ったスリケンは不運なセリに突き刺さり、虚しくも止まった。15

2015-08-22 16:59:44
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「ヌウーッ……!」ニンジャスレイヤーは四方の壁を順に睨みつけた。セリ、ナズナ、ウド、初雪草……それぞれに回転式シークレットドア。おそらく内部で繋がっており、次にどこから攻撃を仕掛けてくるか予想できぬ。16

2015-08-22 17:00:50
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

ニンジャスレイヤーはスリケンを捨て、右腕一本でカラテを構えた。左腕はもう感覚が無い。次が最後のチャンスだ。次の攻撃で返り討ちにせねば、妻子の復讐は潰える。「どこだ……オトロシィ=サン……!」ニンジャスレイヤーは目を血走らせ、四方を順に睨む。だが敵は物音ひとつ漏らさぬ!17

2015-08-22 17:01:30
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

その時、(((……惑うなかれ。敵の姿見えぬならば、邪悪なるニンジャソウルの存在を感じ取るのだ)))ドラゴン・ゲンドーソーの教えが、フジキドの脳裏に響いた。((センセイ…!))長き怠惰の日々から彼を救いだしたのは師の教えをはじめとするイクサの中で獲得したインストラクションだ! 18

2015-08-22 17:12:22
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの渾身のカラテチョップ突きが、ウドの描かれた壁を貫通した!「グワーッ!」壁の向こうで、壮絶な悲鳴!復讐の手刀は、この回転扉に背を密着させて潜んでいたオトロシィの胸をも貫通したのである!壊れたジュースサーバーめいて、鮮血が吹き出した!19

2015-08-22 17:13:13
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

「アバッ!お、おのれ……ニンジャスレイヤー=サン……!」オトロシィは目を剥き、己の胸の中央から突き出す死神の腕を見た。ニンジャスレイヤーはさらに、チョップ突きの腕を壁に深々とねじり込んだ。オトロシィは呻いた。背後から壁に串刺しにされ、もはや身動き不能の状態であった。20

2015-08-22 17:16:55
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

「マイッタ!ニンジャスレイヤー=サン!な、何を知りたい…何でも話すから「所詮オヌシはセクトの外周の羽虫であろう。小間使い風情が儂に何をもたらすと?カラテの足しにすらならぬオヌシに贄の価値があるとでも思うたか!」いつしか死神の瞳はセンコめいた光をたたえていた。「アイエエ!?」 21

2015-08-22 17:27:50
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

オトロシィの胸から生える右手から不浄の黒い炎が吹き出した。「アバーッ!アババババーッ!」哀れなオトロシィと不運なウドは勢いよく燃え上がる。オトロシィの全身の水分が瞬く間に蒸発し、干からび、松明めいてさらに燃え上がりそして、「サヨナラ!」爆発四散した。 22

2015-08-22 17:33:07
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

「スゥーッ!……ハァーッ!……スゥーッ!…」アグラし、深々とチャドー呼吸することでようやく左腕の感覚がもどってきた。オトロシィは並程度のニンジャであったがこの施設のトラップ群は実際驚異であった。まさに匠の技といえる。製作者はオトロシィだったのか、それとも… 23

2015-08-22 17:39:18
深山三太夫@Horizontal Knight @raZ7FyZqFQXOM7q

誰が作ったかはフジキドは興味がない。だが…。「スゥーッ!…ハァーッ!……」フジキドはこの巨大なニンジャギアの中で明け方までチャドーしつづけた。 24

2015-08-22 17:42:21