稲川淳二のつぶやき怪談　2015年8月17日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「じゃあ途中のどこかで、飯屋があったらそこで食事をしてから、行ってみるか」 と。 で、通りがかった食堂へ入ったわけだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

食堂で簡単に食事をして、帰りがけにそこのご主人に、 これこれ、こういうような屋敷があって----と聞いてみると、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「ああ、そこはこう行って、もうそう遠くはないですよ」 って道を教えてくれた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「ああ、ありがとうございます」 礼を言ってお釣と領収書もらって、店を出た。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

車を走らせてゆくと-----。 -----やがて県道がグーッ、と急な上りになった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「ああ、これだな」 と思った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

たしかに、右手に入る道がある。 うん、これに間違いないなと思ったのでサーッ、とその道に入ってった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

入ってしばらく行くと、-----とがった大きな屋根が見えてきた。 道の向かって右手は海に面していて、あまり人家もない。 左側は山がちなんですよね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、なるほど、これなんだなと思ったんで、 「あ、じゃあ携帯電話のカメラでもって撮れるもんなら撮って、後で稲川に見せてあげよう」 と、そう思った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

で携帯電話をポケットから取り出そうとして、 「あらっ？-----ない」 携帯がないと言うんですよ----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

こいつは弱っちゃったなあ。 俺、どこかに落としてきたかなと。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「あっ、そうだ----。 今のあの食堂でもって、もしかすると落としたかもしれないなあ」 と思って----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

何気なく辺りに目をやると、 すぐそこに公衆電話があった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

よかった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

自分は店の領収書もらってますから電話番号がわかるんで。 車から下りて、その公衆電話のボックスに入って電話をかけると、 お店の主人が出たので、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「ああ、すみませんねえ。 今しがた、お宅で食事したものなんですが。 帰りに西洋館の場所を聞いた-----」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と言うと、 「あ、ハイハイ。で何か？」 と言うんで、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「実は携帯電話をお店に落としてきたかもしれない。 ちょっと、見てもらえませんかね」頼むと、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「はい、わかりました。少々お待ち下さい」 と返事をするや、テーブルの回りなど探してくれたようなんだけど、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「お客さん、もしかすると何かの隙間へでも落っこちてるんじゃないかな」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「だったら、自分の携帯にかけてみてくれませんかね。 そうしたらその音を頼りにこっち、探しますから」 言うんで、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「はい、そうしてみます」 って言って、 いったん切ってから、自分の携帯にかけた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

呼び出し音がしてるんで、ああ、つながってるなと思ったら、 「はいはい」 と、店の主人が出たんで、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「あ、どうもすいません！　ありましたね！」 と言うと、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「ええ、ありましたよ」 と主人が答えた。