ギガベース日誌番外編「クレイドル03襲撃」

すふん @suhn_Akvavit

番外編 ※前やったクレイドル03襲撃のリメイクです ※あとでまとめます ※艦これ要素はほとんどありません #ギガベース日誌

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三年前。 ORCA旅団本拠地BIGBOX地下、ネクスト格納庫。 #ギガベース日誌

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「よう、DfJ」 「……オールドキング」 自分に声をかけた男に一瞬目を向け、DfJは出撃前の機体メンテナンスを再開した。 「何か用か」 「ああ」 「すまないが、もうすぐ出撃なんだ。帰ってこられるかわからないし、手短に済ませてくれ」 #ギガベース日誌

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二時間前に、DfJはORCA旅団長、マクシミリアン・テルミドールからの出撃命令を受けていた。 目標はアルテリア・クラニアムの制圧。彼と、彼と共に出撃命令を下されたもう一人のリンクスに、ORCA旅団の意思が、悲願が、重くのし掛かっていた。 #ギガベース日誌

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しかし、彼と深い交流を持っていたオールドキングの口から飛び出した言葉は、激励の言葉でもなく、心配する言葉でもなく、恐らく彼が全く予想していなかったものだった。 「クレイドル03を襲撃する。付き合わないか」 #ギガベース日誌

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「は……？」 「ORCAの連中、温すぎる。革命など、結局は殺すしかないのさ」 オールドキングは、不気味な、顔面に貼り付いたような笑顔を称えていた。 「だろう？」 「……頭でも打ったのか？」 #ギガベース日誌

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「いいや、俺は至って正気だ。六時間後にクレイドル03を襲撃し、全てのクレイドルを落とす。03だけじゃねえ。今悠々と空で暮らしてる連中を、全員残らず奴等の揺りかごごと叩き落とす」 DfJはオールドキングの目をしばらく見つめ、頭を抱えた。 #ギガベース日誌

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「……そんなことさせない」 「ほう？」 「そんなこと絶対にさせない。俺が、首輪付きが、ORCAが止める。アンタをここで殺してでも」 DfJはオールドキングに銃を向けた。オールドキングは動じずに続ける。 「そうそう、首輪付きの事なんだが……」 #ギガベース日誌

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その時、突然格納庫のエレベーターが開き、中から小柄な少年が姿を現した。少年がそのタイミングで姿を現した事の意味に気がついたDfJは絶句し、その場に崩れ落ちた。 「首輪付きは、俺に協力してくれるとさ」 #ギガベース日誌

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首輪付きと呼ばれた少年はDfJに歩み寄り、彼の両手を強く握った。 「D、一緒に行こう。僕達なら」 「触るなっ！！！」 いつもと全く変わらない首輪付きの調子に底知れぬ恐怖を感じ、彼は首輪付きを突き飛ばした。 #ギガベース日誌

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首輪付きを突き飛ばし、DfJはオールドキングに向き直る。動揺と恐怖が入り交じり、声はわなわなと震えていた。 「どうして……何でだよ！どうして！もうすぐ全てのクレイドルは支えを失う！どうして殺す必要がある！！」 #ギガベース日誌

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クレイドルを撃墜する。それは、クレイドルで暮らす何千万、何億の人間の命を一瞬で奪う行為であり、人類をアサルトセルの網から解放する為のORCAの戦いとは真逆の位置にある行為だった。 「理由か、理由ねぇ……」 #ギガベース日誌

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オールドキングは困ったように考え込み、軽い口調で答えた。 「今日、朝飯を食いそびれたから」 「……は？」 「もしくは、昔サーダナに頼まれたから。もしくは、単にORCAが嫌いだから。なんだっていい。お前が納得いく"答え"だったら、なんでも」 #ギガベース日誌

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「その"答え"で、お前が納得するならな」 オールドキングはDfJに詰め寄った。先程まで見て取れていた笑顔は、もうどこにもない。 「お前は、どうしてORCAに入った？テルミドールに共感したからか？クレイドル体制に反感を抱いていたからか？それとも……」 #ギガベース日誌

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「お前のような存在を生み出した、企業が憎かったからか？」 「違う……！」 DfJは否定した。 否定すればするほど、追い詰められていく感覚に襲われた。 「そうだろうな。俺が思うに、お前がORCAに入った理由はもっと単純だ」 #ギガベース日誌

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やめろ。言うな。言わないでくれ。DfJはそう叫びたかったが、オールドキングの気迫がそれを許さなかった。 「お前はただ、戦う理由が欲しかっただけだ。理由が無いのにただひたすら戦いを求め続ける自分が怖かっただけだ。違うか？」 #ギガベース日誌

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「薄々気付いてるとは思うがな、ORCAはオーメルがいち早く宇宙進出に切り出すための捨て駒だ。連中はアサルトセルの後始末を全て俺達に押し付ける。お前は大好きな駆逐艦と命からがら奴等から逃げてきたってのに、気がついたらわざわざ自分から首輪に繋がれに行ってたんだ」 #ギガベース日誌

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「お前がそれを"答え"として、その為に戦うならそれで構わない。だがな、これだけは言わせろ」 オールドキングの声が、どこか優しさを帯びたように思えた。 「戦う為だけに戦って、何が悪い？"答え"がない戦いの、何が怖い？」 #ギガベース日誌

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「戦いたいなら戦えばいい。戦う理由やその先の"答え"なんて無理に取り繕わなくてもいい。そんなもの捨てちまえ。ましてや、お前を生み出した連中の為に戦ってやる必要など、微塵も無い。違うか？」 DfJの震えは、いつの間にか止まっていた。 #ギガベース日誌

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「……説教じみた話はこれくらいにしとくか。こっからは勧誘だ。ちょっと想像してみろ。クレイドルを撃墜したらどうなると思う？」 「沢山……沢山、人が死ぬ」 「だな。だが、選んで殺すのなんざ、お前が思ってる程上等じゃない。いつもやってる事と一緒だ」 #ギガベース日誌

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「お前が十年間リンクスやってきて、何人殺した？少なく見積もって一万人ぐらいか。クレイドル船団を一つ壊滅させたら一億。0が四つ増えただけだな。大したことじゃない。だが、多くの人間はそれに恐怖する。お前を恐れ、強く憎むようになる」 #ギガベース日誌

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「考えてもみろ。世界中の人間が、お前を心から憎んで、本気で殺しにかかってくる。何度も何度も、お前が死ぬまで戦いは繰り返されるだろう。お前の飽くなき欲求を満たす場が、そこにはある」 オールドキングは、また微笑みを湛えていた。　#ギガベース日誌

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「まるで、夢みたいじゃないか？」　#ギガベース日誌

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自分のネクストのコックピットの中で、彼は思考を意識の海に沈ませていた。 どこまでも深く思えたその中で、何かを掴んだ時、彼はコックピットのコンソールを叩いた。 「やあ、元気かい？」 「アイザック……」　#ギガベース日誌

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「あれ、まだ出撃してなかったのかい。てっきり即行で終わらせて帰って来たのかと」 「クレイドルを全て落とす。力を貸してくれ」 「……大歓迎だよ、DfJ。僕はいつでも、”いつまでも”君の親友だ。何時だって、力になろうじゃないか」　#ギガベース日誌