エ つまり,一部請求肯定説から内側説を採るように見えるが,当事者の意思及び裁判所任務から,最高裁は外側説を採るので,本件において,弁護士Aは,設問のような選択をした。 以 上
2015-08-29 19:19:38したがって,明示された債権総額を基準として過失相殺をし(外側説),処分権主義による制約との関係で,これが請求金額を超えない限り,認容されると考える。
2015-08-29 19:16:41一部請求をしたことからも明らかなように,原告の通常の意思は,損害総額(本件の場合は1000万円)を基準として過失相殺がなされることを踏まえ,それが印紙代の節約にもなることも加味し,請求金額を決める。
2015-08-29 19:15:10ウ そもそも,一部請求を肯定する根拠は,原告の意思の尊重であるところ,本件において,弁護士Aは,本件の事故態様等から,過失相殺によって損害額から少なくとも3割は減額されると考え,
2015-08-29 19:15:01しかし,後訴における300万円の請求において,前訴と同様に過失相殺によって損害額から3割減額されるならば,内側説によるメリットは被告にないばかりか,応訴の煩という負担が加わるだけである。
2015-08-29 19:13:53イ この場合,訴訟において,過失相殺によって損害額から3割減額されたとき,一部請求肯定説からは,訴訟物である700万円を基準として計算される結果,請求認容額は,490万円となるように見える(内側説)。
2015-08-29 19:13:36(3) 一部請求と過失相殺 ア 弁護士Aは,損害総額1000万円のうち,一部請求であることを明示して3割減額した700万円の損害賠償を求める訴えを提起することにしたところ,この場合の訴訟物は,明示的一部請求肯定説からは,一部である700万円の損害賠償債権となる。
2015-08-29 19:13:09なぜなら,単なる肯定説によると,②被告にとっての応訴の煩があるところ,明示を要求すれば,被告は,残部について債務不存在確認の訴えを提起することにより対応できること,③裁判所にとって,実質的には全部の審理をすることになるので,重複審理による訴訟不経済となるところ,
2015-08-29 19:11:21(2) この点,実体法上の私的自治の原則の反映としての処分権主義から,①原告の意思を尊重し,一部請求肯定説を妥当と考えるが,それは一部であることを明示した場合に限られると考える(判例 明示的一部請求肯定説)。
2015-08-29 19:10:50訴訟物が1000万円全部であると考える場合(一部請求否定説),残部請求の後訴は,前訴の既判力によって否定されるのに対して,訴訟物が700万円であると考える場合(一部請求肯定説),残部請求の後訴は,前訴の既判力によって否定されないからである。
2015-08-29 19:09:542 理由 (1) 一部請求の可否の意味 原告は,損害総額1000万円の場合であっても,その一部である700万円の損害賠償を求める訴えを提起することができる。問題は,この場合の訴訟物である。
2015-08-29 19:09:37第2 〔設問2〕 1 結論 弁護士Aが,設問のような選択をした理由は,最高裁判所が,一部請求肯定説を採るも,内側説を採らずに,外側説を採るからである。
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