砲弾小話~ロシア帝国海軍の大口径艦砲用散弾と榴弾、そしてお値段

散弾というと陸砲か大昔の「大砲」かというイメージがありますが、近代の大口径艦砲にもあったんですね、とか
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SUDO @sudo_simoigusa

@FHSWman 安いってのは大事ですね。大口径榴弾なんて鋳鋼弾でも破滅的な威力だろうし、適切な使い分けができれば効率的ですわな

2015-08-30 14:13:36
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

するってえと、水雷艇だか黎明期の駆逐艦だかの乗員は、有って無いような艦橋に突っ立って、榴霰弾・散弾の雨を受けながら雷撃に突っ込んで行く……というか実際黄海ではそのような光景があった訳だ。駆逐艦てのは最初からつくづくヤクザな船だなあ……

2015-08-30 13:51:41
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

1900年ロシアにて、引張強さ274N/mm^2以上の普通鋼の価格が1プード(16.38kg)あたり3.25ルーブル。これが436N/mm^2の(当時における)高品質鋼になると9.75ルーブル、そしてニッケル鋼では15.2ルーブルと。鋳鉄だと一層安いのかな

2015-08-30 14:25:15
SUDO @sudo_simoigusa

@FHSWman 加工費用とか歩留まりもあるしで色々可変だけど、高級鋼はクソ高いわけですね

2015-08-30 14:28:58
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

当時の12インチ榴弾には鋳鉄榴弾のほかに鋼製榴弾もあったけど、これは引張強さ304~345N/mm^2のものを使ったとされてる。1プードあたり3.75~5.1ルーブルという価格帯なんで、当時の普通鋼よりチョイ上程度かしら

2015-08-30 14:33:15
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ええと、弾の値段と重量、使われた鉄の価格がわかってるんだから大まかな材料費が出せるし、それを差っ引いた大体の加工費も出せるかな

2015-08-30 14:47:15
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

304N/mm^2の鋼製榴弾が弾殻325kgくらいで、この鉄材自体で75ルーブル食ってる。装薬は6kgで、これも種類によるけど大体プードあたり30ルーブル程度だから11ルーブルくらい。弾の総コスト177ルーブルから差っ引いて91ルーブルが加工および信管他に掛かってる計算?

2015-08-30 14:53:43
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

一方345N/mm^2の少し高品質な鋼製榴弾だと、総コスト201ルーブルのうち89ルーブルくらいが加工および信管にかかるはず。このへんは大体同コストであるわけだ。鋳鉄榴弾の詳細は判らないけど、ともかく総額が130ルーブルなわけだから、材料も加工も両方すごく安かったんだろうなあ

2015-08-30 14:56:29
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

これが徹甲弾になると……仮に15.2ルーブル/プードのニッケル鋼を使ってたとして、弾殻の材料だけで304ルーブル。装薬は少ないので8ルーブルくらいで、総額550ルーブルから引いて238ルーブルが加工費および信管。材料だけでなく加工にも無茶苦茶手間が増えてるっぽいですね

2015-08-30 14:58:51
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

このほか1900年開発の高品質榴弾(405N/mm^2)ってのもあって、総額252ルーブルのうち鋼材で145ルーブル、炸薬で37ルーブル食う筈だから加工は70ルーブル(あれ、ちょっと加工が安い?)。しかし炸薬が20kgにまで増やせてるんで、やっぱり高品質鋼を使った榴弾は強いわけだ

2015-08-30 15:15:08
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

徹甲弾の金質はしばしば話題に上るけど、榴弾のそれはあんまり注目されない(というか私がしてない)感じがある。んでも、榴弾もやっぱり良い鉄を使えたほうがパワフルにできる事であるなあ

2015-08-30 15:17:49
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

当時の1ルーブルが2500円として、550ルーブルの12インチ徹甲弾は138万円相当……あんまり高い気はしない。でも(時期は少し違うけど)1913年の一人当たり平均所得は101ルーブルという話も出てくるんで……その5倍以上と思うと、最新兵器の弾薬価格としては「ありそう」な感じ

2015-08-30 15:35:59
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

12インチ徹甲弾の弾頭だけで550ルーブルで、ここに装薬やら含んで1発分の価格とすると923ルーブルになるらしく。ふわふわ換算で9人分の年間所得に相当する額と思うと、大口径徹甲弾の価格は、庶民感覚的には現代の対艦ミサイルのそれとあまり遠くない感じであることだなあ

2015-08-30 15:42:11
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

高品質鋼を使った大威力榴弾は確かに魅力的だけど、低威力でもいいからずっと安い鋳鉄榴弾もあわせて用意しておきたい。そして高品質徹甲弾は超高いので出来るだけ無駄遣いしたくない……そんな感じもわかることであるなあ(わかる)

2015-08-30 15:46:55
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

最初に話題にしたセグメント弾は220ルーブルとか。高品質榴弾よりちょっと安いくらいで存外に高い。材質自体は普通鋼だから鋳造ほどには安くないし、そのうえ構造が複雑なんで実際手間はかかりそうよね

2015-08-30 15:50:40
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

帝政ロシア海軍のセグメント弾については、ガングートとかの1907年式12インチ52口径砲用にも1915年式セグメント弾てのが用意されてたみたい。ただ他の新12インチ砲弾が重量470kgのところ、こいつだけ旧来の331.7kgのままなんで、旧来の弾を改修しただけなんじゃないかしら

2015-08-30 17:03:04
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

すると、日露戦争での戦訓を経たロシア海軍にとって、セグメント弾というものがどう見えてたか想像できます。たぶん、新12インチ砲向けに新型の同種弾を開発するする必要は無いと思わせる程度に魅力的でない弾で、とは言え用廃にするほど使い物にならない弾でもなかった、という事になるんじゃ

2015-08-30 17:10:07
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

1907年式12インチ艦砲用に作られた470.9kg弾(鉄球比4.03)は、旧来の1895年式12インチでも使えてしまう、と。これは331.7kg弾(同2.84)を使う砲だったんだけど、いきなり弾量が1.4倍にもなるわけで不安感が募る……けども実際そう心配するような事もないようで

2015-08-30 17:40:52
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

というのも、それ以前の1885年に455kgの重い弾(鉄球比3.89)が制定されてて、そして1895年式12インチでは331.7kgの新軽量弾と旧来の455kg弾の両方が使えるようになっていた、と。元々大重量弾対応の砲だから、新型弾でまた重量弾に振っても大丈夫なんですな

2015-08-30 17:47:27
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

弾薬互換性フェチの大いなるうねりを感じる

2015-08-30 17:48:39