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Atmosphere_502
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「安心して、目覚める頃には全て終わってる」メトラが二人に近づき、清楚な声でそう言う。これまでなのか?二人は捕食されてしまうのか?絶体絶命な状況の此のとき、後方より一つの叫びが聞こえた。「雷符「稲妻電光石火」ァァッ!」その叫びが、戦況を大きく変える……!#2
2015-08-19 22:39:30![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『メトラ、下がれ!』「間に合わな——」瞬間、稲妻のような電撃が走り、メトラは右腕に大きな傷を負った。電撃が痛みとなって肉体中を駆け回った。「大丈夫か二人共ッ!」「た、拓海くん!」拓海だった。雷神剣を掲げ、二人を庇うように立った。ディウムの目が、一瞬揺らいだ。#3
2015-08-19 22:42:23![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『き、さま……よくも……よくもメトラを傷つけたなァァッ!』「フン、コッチだって友人二人を傷つけられてるンだ、文句言うなよ」『黙れッ! メトラ、大丈夫か、メトラ!』ディウムはメトラの側に。「大丈夫、右腕が使えなくなっただけ」『そういう問題じゃあないんだぞ!』#4
2015-08-19 22:44:46![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「この人食いの化物は俺がやる、二人は芽以ちゃんを探してきて!」「わ……わかったよッ!」「槙治さん、その傷」「いけるさ」二人が走り去るのを見て、拓海はディウムに立ちはだかる。『貴様……殺してやる、殺してやるぞ。ただでは殺さん。その肉体をバラバラにして喰ってやる』#5
2015-08-19 22:47:05![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「はッ! お付きの人形を傷つけられただけでよく怒る化物に俺は殺せないよ」『人形だと? 貴様今、メトラを人形と言ったのか?』「間違いないだろ」『…………許さん、許さんぞ貴様!魔界虫はそんな下等な種族ではないわ!!』「あ? 魔界虫……なんだ、そりゃあ」#6
2015-08-19 22:50:25![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そのとき、不快な音が森に響いた。まるで肉を食べるような、そういう気持ちの悪い音。「……?」『……なんだ、此の音は……』流石のディウムも、困惑せざるを得なかった。「ゲロマズ……何で病気のクズの血を吸わなきゃならねぇんだよ。腹立つわぁぁぁ……」女の声だった。#7
2015-08-19 22:52:34![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「吸血鬼……?」拓海は直感的に悟った。吸血鬼が、こんな真昼間に?いや、此の森は深く、太陽がほとんど届かない。故に。『……この瘴気、まさかな』ディウムが見た場所。そこに佇んでいたのは、銀髪のロングヘアの少女であった。「ッ……!」拓海は、言いようのない恐怖を感じた。#8
2015-08-19 22:54:01![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「メ~トラちゃーん、こんにちはぁ~。あっ、でも~、この場合はディウムちゃんって言った方がよかったかなぁ~?」何とも、この切迫した雰囲気に合わない声。「……」拓海は警戒した。「あっれぇ〜? なぁんでこんなところに人間がいるのかなぁ〜?」少女は、首を傾げた。#9
2015-08-19 22:55:26![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『エリンナか…退いてくれんか。見ての通り、俺は捕食の最中だ。邪魔をしないでくれないか』「……です」「えぇぇ〜つっれないなぁ〜もう。私にも分けてちょうだいよう」『貴様は人間を食べていればいい。俺は素の人間に興味は無い』「あらそぅ〜?でぇもぉ、あの人間…キツいんじゃないの〜?」#10
2015-08-19 22:59:42![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『舐めるな。……メトラ、やれるか?』「大丈夫」「ちぇ〜、いいもーんだ〜。わたしはみてるしぃ〜」少女は、浮かんだ。『……いくぞ人間。メトラを人形と言った報い、受けてもらおう』「……ハッ! 手負いの化物に苦戦する俺じゃぁねぇさ……!」拓海がスペルカードを切る。#11
2015-08-19 23:03:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「雷撃「ノースアップサンダー」!」瞬間、拓海の剣から放出された三つの雷撃弾がディウムに向って放たれる。メトラが瞬時に弾幕を張る。しかし、対処しきれない。遂にはディウム自身も傷を負ってしまう形となった。「……ディウム!」『う……ぐォ……ッ!』#12
2015-08-19 23:05:12![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「…………よくも、ディウムを」「あんたもかよ。共存共生か」メトラの静かな怒りが伝わってくる。拓海は、こりゃうまくいかないなと刀を構える。強制的に寄生されているならまだしも、お互いが同意の上で関係を構築しているとなると、両方殺すしかなくなるのだが——#13
2015-08-19 23:15:45![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「芽以!」「気を失っているみたいだね……」「……良かった」芽以は無事だった。その事実が、皐月を安堵させ、同時に油断を招いた。闇の中から放たれる一つの弾丸、それが皐月の肩を抉った。「っァ——ッ!?」「皐月さんッ!?」槙治は狼狽した。この、突然の奇襲に。#15
2015-08-19 23:29:47![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「Oh、外したか。全く楽なもんじゃないが……」「誰だッ!」「誰だと言われて応えるようなモンじゃあねーけど……まぁいいさ。俺の名は「ジェイダー」!覚えときな」ジェイダーと名乗った男は銃をしまいながら逃走する。肩を撃たれ、苦しむ皐月を置いて槙治は追いかけられなかった。#16
2015-08-19 23:34:51![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「大丈夫かい皐月さん!」「いっつ……そ、それより彼方……拓海がいる方じゃんッ!」「あ……や、やばい!やばいって」「いいから追いかけてッ!」「わ、分かった!」皐月は強引に槙治を向わせると、無事な左手で芽以を引きずって歩き出した。#17
2015-08-19 23:39:16![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
場面は移る。「くそっ……やり辛い!」『フン……スペルカード如きに頼っていては俺を殺す事は出来ないぞ人間』「へッ、意外になんとかなるもんさッ」拓海は鼻で笑った。振り下ろされるディウムの鋏を雷神刀で逸らしながら、雷撃の弾を弾幕として放つ。「流石に厳しい……!」#18
2015-08-19 23:52:43![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『どうしたッ!その程度か!笑わせる!』「うるっさいな! 雷刀「サンダーボルトスティグラー」!」『!』振るわれた雷の剣がディウムの右腕を切りつける。切断とまではいかないが、それでも大きな傷だ。『ぐううぅぅっ!』「ディウム……!」ディウム側が劣勢だ。#19
2015-08-20 00:07:58![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「ディウムくぅ〜ん、そろそろ終わりにしよ〜よ〜」『チッ……メトラ、下がるぞ』「……わかった」形勢不利と感じたのか、ディウム達は撤退して行く。『クソが……これではロクに腹が満たされん』「人間を狙ったのが悪かったのよ、次は妖怪を狙おう?」『そうだな……』#20
2015-08-20 00:20:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「……おいおいおい、何勝手に逃がしてくれてんだよ、吸血鬼!」「ん〜、だってぇ〜お話相手いなくなったら人間でも寂しがるでしょ〜?」「……ハッ、はぐれ吸血鬼が何ほざいてんだよ」拓海は嘲笑した。それを耳にいれたエリンナの顔が一瞬——暗転した。「あんな虫と友達とか、趣味悪いよな?」#21
2015-08-21 22:08:49![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「いやぁ、笑うしか無い。ポッと出て来て人様の獲物のがして。……お前、構って欲しいだけだろ、なぁおい?」「…………………」「? 何か言えよ、図星で言葉でない?うん?」拓海は更に挑発する。暗転しはじめたエリンナは——「うるせェぞ、クソガキ」その重い言葉が、吐き出された。#22
2015-08-21 22:10:57![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「さっきから黙っていれば好きな様に愚痴愚痴と——あァ!?舐めてンのかよ人間が!吸血鬼さま相手して煽る奴なンてのは命知らずどころかソレ以下の愚か者なンだよ、わかってんのかガキィィィッ!」「——ほぅら、本心をさらけ出した」「あァ……?」「来いよ吸血鬼、殺してみろよ」#23
2015-08-21 22:14:02![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「あァッッ!? やってみろよッ!」「やってやるさ。雷封「スピードボルテッカー」! 弾けろッ!」刀を振るう。軸線に現れた稲妻の塊が巨大な弾となって一直線に飛ぶ。「はッ!そんな単調な攻撃で何ができるッてんだよ……魔符「カラミティシュート」!」#24
2015-08-21 22:20:41![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
エリンナが切ったスペルカード、手のひらから発せられた大量の魔力弾が雷撃を相殺してゆく。「驚いた……スペルカード持ちかよ」「あンたら人間と対等に戦ってやってるんだよ、感謝しろよなぁ、オイィィッ!」「するわけねーだろ馬鹿がッ!雷撃「ストレイサンダー」ァァッ!」#25
2015-08-21 22:23:33