【鬼の章:第1幕「暗夜異変〜Kingdom at night】#2

東方鬼翔天血の【鬼の章:第1幕「暗夜異変〜Kingdom at night】#2 のまとめです
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東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

其の気になれば自分を殺せる、しかし彼はしてこない。この奇妙な状況に彼は顔をしかめた。「こっちからいきますよ……雷峰「サンダーバベル」!」伝説の巨塔を思わせる雷が槙治の周囲に立つ。そこから雷が迸った。「……まだ避雷針は造れないか……」槙治は、つまらなさそうにそう呟く。22

2015-08-24 22:19:22
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「仕方無い……」と彼は呟き嵐華爪を振って雷を弾くが、嵐華爪を振った右腕は弾いた時に雷が流れて来たのか雷が嵐華爪に帯電していた。「……痺れるな……無炎「黒炎の万緑」」カッ、と切り開かれたスペルカードが拓海の足下に魔法陣が生み出され、そこから火柱が吹き出した。23

2015-08-24 22:20:32
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「くそっ……雷符「雷閃陣」!」真下に向けて雷の結界が張り出される。しかし、弾ききれずに服が少し焦げる。しかし、幾つかは槙治に飛んでゆく。「一気に……狩る」嵐華爪を月の光でギラッと輝いた瞬間、拓海の前に槙治はいた。「!」拓海は死を覚悟した。24

2015-08-24 22:21:56
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嵐華爪を降り下ろした瞬間、拓海の頭に当たる直前で止まっていた。彼が降り下ろした左手は何と黒く無い、元の槙治の明るい肌色になっていたのだ。「……小癪な真似を……まだ完全じゃないのか……」まだ完全には影に捕らわれていなかったらしい。黒い槙治は舌打ちをした。25

2015-08-24 22:22:29
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槙治は一度拓海と距離を置こうとしたが、左手が何故か空中で止められてるかのように動かなかった。「……槙治、さん……?」拓海は自分の眉間の前で止まった武器と、左腕を見て不思議そうに呟く。今の攻撃で確実に殺されると思っていたからだ。「そう……か!」拓海は察した。26

2015-08-24 22:24:03
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「雷剣「雷魂斬」!」拓海は抜刀し、峰の方を槙治の腹に命中させようと振りぬいた。「……ッ……!」拓海の攻撃がクリーンヒットし、槙治の口から血が垂れだした。峰で斬ったのか腹から血は出ていなかったが、峰による打撃が内部に届いたのだ。「(一本……!)」27

2015-08-24 22:25:10
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

左手が黒影に侵食され始めている。「……チッ……完全に食らったか……」ペッと血が混ざった唾を吐き出して、槙治は拓海を見る。「はぁ……はぁ……」震える右手で剣を鞘に納める。左手で鞘を押さえて右手で柄を握った。それは正しく、抜刀術の構え!「一閃か……」28

2015-08-24 22:27:24
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槙治は拓海の行動を見て呟く。彼は注意深く拓海の顔を見ると彼は息を乱していた、体力は残ってない様子だろう。此方はまだあるが、速く決めなければ不味い。強い気配を感じたからだ。おそらくは、神に匹敵するレベルの実力者が此方に近づいてきている。「……一撃でお前を殺す」29

2015-08-24 22:28:32
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

槙治は腰を深く下ろし、クローを×印に重ね合わせ構える。「この一撃で勝敗が決まることになるでしょうか……」拓海は相手に聞こえるか聞こえないかの小さい声で呟く。雷の力も一切使わず自分の剣と右腕だけに意識を集中させる。硬く閉じた目を開けると、運よく風さえ収まっていた。やるなら今だ!30

2015-08-24 22:29:47
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「うおぉあぁっ!!!」拓海は勢いよく飛び出し槙治の目前で剣を抜き、打ち振るった。「…………」機械のような表情をしながら槙治は拓海の目の前で嵐華爪を上から×を描くように斜めに振る。槙治は拓海の真後ろで振り切った状態で動かない。そして拓海と槙治の間で金属音が響いて火花が散った。31

2015-08-24 22:31:13
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「…………、……!」勝者は、槙治だった。拓海は徐々に目が閉じて行き、剣を落とすと地面に倒れこんだ。地面の顔の部分の周りに血が広がっていった。「た、拓海……!」「……態々待っていたのか?そのせいで拓海は死んだぞ。戦いに卑怯もクソもない。それはお前が一番知っている筈だ」32

2015-08-24 22:32:46
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「坊主……ッ!」其のとき、赤い光線が飛んだ。「!」「ディザスター・クロォォォォッム!」ヨルムンガンドだった。赤い手斧を構えて、槙治に切り掛かった。「!」「ボサッとすんな槙冶!さっさと拓海を連れて神社に戻りやがれ!二人で舞姫を止めようって魂胆がアホなんだよ!」33

2015-08-24 22:34:48
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「しかしお前は!」「私か?心配するな。皐月の身体はちゃんと返してやるよ」「……すまん!」槙冶は拓海を連れて一気に離脱した。「……皐月、いやヨルムンガンドか」「おや?私はお前にも存在をつたえていない筈なんだがね。どうしてソレを知ったのか……聞かせてもらおうか?」34

2015-08-24 22:36:02
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「応える必要は無い」「そうかい。で?あんたは何で動いてるんだ」「……舞姫の異変を、完遂させるため」「チッ……下らない。なら死ね」「死ぬつもりも無い」重い鍔迫り合いを終えたあと、ヨルムンガンドは赤いドクロを出現させて放出する。槙治はそれをトーキックで破壊した。35

2015-08-24 22:38:05
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「……めんどくさい。やめだ。私は戻る」「……」「クッ、だが覚えときな。これは私の言葉じゃなくて、皐月の言葉だが——」ヨルムンガンドの姿が薄くなる。すると、そこに居るのは皐月だった。「……槙治さん、アンタを必ずコッチ側に取り戻す」「……」皐月は撤退した。36

2015-08-24 22:40:57
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

守矢神社。皐月が遅れて戻ってきて、直ぐさま拓海の治療が行われた。「詩乃ちゃん、戻ってたんだ」皐月が話しかけるのは、拓海の相方である神谷詩乃。拓海の敗北を聞き、戻ってきたのだ。「芽以のこと、ありがとう」「いいの。今は妹が見てるから」「しかし……」槙冶が唸った。37

2015-08-24 22:44:28
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「鬼導丸の行方がわからない」「……激戦の跡はあったんですがね」神社に帰還する為、妖怪の山を駆け抜けていた。ちょうど中程に、大きな戦闘の傷痕が残されていたのだった。「鬼導丸は敵に負けたという事か?」「でも、誰に?」「……もしかすると、悪魔かもしれん」「女将が言ってた……」38

2015-08-24 22:47:57
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「……その悪魔なら、戦ったぞ」「! お前は」「武田智希さん……」神社の境内の中から出てきたのは、包帯を巻いた智希だった。「……何故お前が此処に?」「……錦つばさに此処に行けと言われた」「錦つばさ……くろがね屋の女将だね」「……俺達は、悪魔の一人と戦った」39

2015-08-24 22:53:50
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「……その話、詳しく聞かせてもらおうか、武田の坊主」「……その悪魔は、アルマと名乗った。……俺達はそのアルマの持つ力に破れた」「……おいおい」「嘘ぉ…」「……そして、俺達はくろがね屋の女将達に助けられた」「……女将に?」「いよいよあの女将が何者なのか分からなくなってきたな」40

2015-08-24 23:00:56
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「しかし女将はなんでそんなことしたんでしょうかね」皐月が口に出す。「そいつァ……なんでだろうな」「……分からない」智希は空を見上げた。「武田一家が潰滅状態に追い込まれるほど強い悪魔、か……そうなの?ヨルムンガンド」『知るか、二人喰ったが』「……えっ」41

2015-08-24 23:02:53
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「いや」「いやいや待ってヨルムンガンド!いくら私の半身だからって私のお腹の中に人が入ってるの!?」『うるっせーな!魔力変換したからそのまま入ってる訳じゃねーよ!』「そう言う問題じゃないでしょ!?私の身体で変な事するなってあれほど言ったじゃない!」『してないだろーがッ!」42

2015-08-24 23:12:59
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「それよりどうする?舞姫の屋敷に乗り込むなら戦力を整えよう」「整えるつっても戦力は……」皐月がチラりと智希を見る「……」智希は頭を振った。「戦力を整える、か……」「あ、…人里に…いた、剣士を」拓海が目を覚まし、呟いた。「剣士…?誰だ」「黄泉寺幽という人です……!」43

2015-08-24 23:25:10
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

魔法の森。そこには、集められた人々が糸に拘束され、恐れの声を出していた。「助けてくれ……」「嫌だ!」「お母さん!助けてよ、お母さん!」老若男女問わず、捕まった人々は糸によって引き寄せられていた。ぐちゃっ。そんな音を立ったと思うと、悲鳴が上がった。44

2015-08-24 23:28:50
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「う、うわああぁぁっ!」人々を糸で垂らし、まるで菓子を食うようにボリボリと食べる蜘蛛は、にっこりと笑っていた。側にいる人形のような人の目は、死んでいた。それを遠くから眺める者が居る。魔界虫ディウムと、魔界出身の吸血鬼エリンナ。そして、ディウムの宿主メトラ。45

2015-08-24 23:30:28
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「……悪趣味」『悪趣味どころか魔界虫の恥だ。いや、奴は魔界虫ではない。魔界虫の姿をした只の畜生だ』「ハッ、己以外を下等種族と見下すゴミクズさ。そういう奴が一番のゴミクズだって分かってねぇンだよ」『……仕方ないな』「……少し怖いよ、エリンナさん」『しょうがないさ』46

2015-08-24 23:33:04