【お玉さんの読書マラソン】「名探偵図鑑完読作戦」第7部

お玉さんの読書マラソン企画「名探偵図鑑完読作戦」第7部は、名探偵図鑑完読作戦Special《僕らの好きな人形佐七》。横溝正史の「人形佐七捕物帳」全短篇180本のレビューという前人未到のチャレンジです。「本まとめ」はその前編として、戦前〜戦中の人形佐七作品81本を紹介しています。
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お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

というわけで、1945年の二本でした。1942年佐七で見られたトリッキーさは影を潜め、横溝正史が理想としていた岡本綺堂「半七捕物帳」。その半七を意識したかのような作品スタイルになっているように思えます。 このスタイル、このまま維持できるのかしら? ではでは〜♫

2015-10-18 01:19:57
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、名探偵図鑑完読作戦Special 《僕らの好きな人形佐七》でございまする。本日は一本だけ その77「雛の呪い」 をお送りしますわ

2015-10-19 02:52:35
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「雛の呪い」あらすじ 資産家の家の雛祭りの席で甘酒に毒が盛られた。主人と姪二人に別状はなかったが、その数日前、お雛様の前にて遊んでいる主人が勘当した娘の幽霊が出たり、姪の一人が人殺しらしき人物につけまわされたり何かと不穏だ。そして、もう一人の姪が駆け落ちして家から消える

2015-10-19 02:52:46
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「雛の呪い」 うーん、いろいろと取り込んではいるものの、それぞれが微妙に結びついておらずボンヤリした印象を醸し出している作品。 雛祭りという平和だった時代の季節の風物詩を取り上げてはいるが、登場人物のエゴが強すぎるお話なので、「凧のゆくえ」ほど心に迫るモノが無いのよね

2015-10-19 02:52:57
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、名探偵図鑑完読作戦Special 《僕らの好きな人形佐七》でありますよ。本日は、 その78「巡礼塚由来」 その79「武者人形の首」 その80「蛇を使う女」 その81「狸の長兵衛」 をお送りしますよ♫

2015-10-21 01:00:28
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「巡礼塚由来」あらすじ 雷に撃たれ炎上した桜の木の側に焼け焦げた女の死体、それは商家の娘さんだった。それを聞いて佐七はハテナ? となる。雷が落ちる少し前、生き神様と称する加持祈祷者がその桜の木に女スリを縛り付けていたのだ。いつの間に入れ替わったのだろうか?

2015-10-21 01:01:26
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「巡礼塚由来」 とそんな導入部ですが、入れ替わって助かったはずの女スリは何処に消えたのか? というミステリはあまり推しておらず「女スリは加持祈祷者から何をスったのか? その後、娘を無くした商家が加持祈祷者に多額の寄付を行おうとしたのは何故なのか?」に興味の矛先が向けられています

2015-10-21 01:02:20
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「巡礼塚由来」 ここまで順番で人形佐七を読んできたコアな横溝正史ファンなら、あそこから見つけ出した物証にて「また横溝、アレを使う気なのかいな Σ(゚д゚lll)」とツッコミたくなる一本。もう一つのトリックもバレバレ状態だったりするし、捕物帳にて新興宗教ギミックモノは危険……

2015-10-21 01:02:54
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「武者人形の首」あらすじ 人形店に飾られていた五体の武者人形の売り先を尋ねる怪しい女性がいた。そして、とある家では小判が置かれ、とある家では家人が殺され、人形が盗まれていた。人形を作った人形師はすでに故人。その娘さんに話を聞きに行こうとする佐七だったが、娘さんは拉致されていた

2015-10-21 01:04:50
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「武者人形の首」 「北方日本」掲載分の1945年の佐七は通常の佐七物語より少し短めの枚数で執筆されているのだが、この話、ポンポンとテンポよく人が死んでいくのが楽しい。佐七の後手後手の行動に、作中で完全に開き直っているセリフを叫んでいたりしているのも、また楽しい

2015-10-21 01:05:54
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「武者人形の首」 トリックに関しては、あらすじから想像つく、ホームズ短編の偉人さんの銅像の話のそれ。なので、お話の開始早々で佐七とは関係のない普通のおばちゃんに、その謎を割らせている。 おそらく作者がこのお話で見せたい「何故あの人が賊をやっているのか?」に注視させるためなのだろう

2015-10-21 01:06:16
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「武者人形の首」 トリッキィな仕掛けが生み出す楽しさを脇に置いた、人の出入りが複雑気味なストーリーライン、それに乗っかる策謀と仁義のお話となっている。 ちなみにラストの締めも爽快感重視になっているので、佐七と関係の無い人物に委ねられたりしている。 佐七、あまり活躍してないね

2015-10-21 01:07:53
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「蛇を使う女」あらすじ 大名の御子息、八歳の若殿様に届け物があり、開けると中身は毒まむし。若殿様はあわや命を落としそうになる。 同じ頃、両国の見世物小屋で蛇使いの女性が扱う青大将の中に毒まむしが潜んでおり、蛇使いの女性は命を落とす。 二匹の毒まむし。はたして、誰の仕業やら?

2015-10-21 01:08:18
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「蛇を使う女」 完成度だけで言うと人形佐七全話の中で一、二を競う出来栄えじゃないかしら? お話の前後で完全に内容が分断されており、「女性性」や「遊興」や「恋愛感」といった事柄が、明暗のある二項対立として書き出されている。その流れの中でサラリと扱われている事件の謎もピリッとしている

2015-10-21 01:09:31
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「蛇を使う女」 構成の都合上、前半部分で謎を解決しなきゃいけないわけで、やはりトリッキィさに面白味を求めるのなら、この作品にはカタルシスは無いが、人形佐七の手による謎の解決によって、とある人物の人物造形がガッと広がり、後半の豪放な奔放さに翳りを与えてくれるのね

2015-10-21 01:09:55
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「蛇を使う女」 不思議な謎の捜査によって浮かび上がってくる暗くて重たい前半部分、その後日談にあたる明るくて軽くてエロい後半部分。 あまりに雰囲気が違うので「えっ、同じ短編だよね? 別の読んで無いよね」と戸惑うかもなんだけど、前半後半部分を頭の中で補完すると、見事な悲喜劇構造に!

2015-10-21 01:10:19
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「蛇を使う女」 1945年発表の人形佐七作品七本の中では、これがベストかな? サラリと流されているトリックも、「ああ、ナルホドね」の納得度(?)が地味に高く仕上がっていたりもするのよね

2015-10-21 01:11:49
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「狸の長兵衛」あらすじ 「わたしはあなたに助けられた狸です。お礼にあなたのお世話をさせてください」 狸彫りの名人・長兵衛と愛らしい娘さんが最近同居している理由は、まるで御伽噺のよう♫ 近所の人も朗らかな二人を歓待している。 しばらく後、長兵衛の首無し死体が発見された……

2015-10-21 01:14:31
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「狸の長兵衛」 あらすじから伺える最高すぎる導入部分。 「首無し死体だからコレは長兵衛じゃねえ、別人だ」と疑う人形佐七の推理を覆す後日発見される長兵衛の生首。 そんなスイングで心地良く揺さぶってくれるのに……、「ナニコレ??」 ガッカリ感満載のラストにガッカリ

2015-10-21 01:15:17
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「狸の長兵衛」 これ程ワクワク度を高めておいて、地獄に突き落としてくれる横溝正史。 チョイとしたネタバレの範囲でいうと、狸の娘さんはいろんな意味でガッカリだし、一人の男として長兵衛はザンネンすぎるし(肉食え! ツラい仕事もガンバレ!)、推理に自信の無い佐七にもやれやれだぜ。

2015-10-21 01:16:04
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

「狸の長兵衛」 何かもっと適切なアイディアが一つでもあれば、大傑作になれたのかもしれない作品。 惜しい! 評価点を点けると低目なんだけど、キライになれない作品の一つ

2015-10-21 01:16:39
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

というわけで、1945年(昭和20年)発表の人形佐七はコレでおしまいです。 同時に戦前、戦中の人形佐七作品81本もおしまい。 次回からは戦後の佐七となります。合計99本! ガンバルぞぉ〜( ̄^ ̄)ゞ

2015-10-21 01:17:16
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