茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1607回「その場で足踏み、小さく前にならえ」
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欧州連合が、危機に瀕している。押し寄せる難民の波を前に、欧州連合が理想として掲げてきた人道主義的な理念が維持できるかどうかの瀬戸際だ。各国に難民受け入れを割り当てる試みは、とりあえず頓挫したようだ。今後の欧州連合の行方から、目が離せぬ。
2015-09-15 06:45:09難民受け入れのあり方は、どうあるべきだろうか。各国に受け入れを割り当てるとしても、どのように数を計算すればいいのか? 面積比、人口比、あるいは、経済規模? 社会の文化的な成熟度? さまざまな要因が、難民受け入れのパラメータとして効いてくる。
2015-09-15 06:47:31今、高校生あたりに、「難民受け入れの割り当てはどうすればいいか?」と聞いたとする。最初はとっかかりがないだろうから、教師がいろいろなヒントを出す。文化的に異なる人たちが出会った時の、融和の方法。起こりうる摩擦。固定化される経済格差。いかに社会に同化させるか。異質なものの共存。
2015-09-15 06:48:54教師は、高校生に、まず、新聞や雑誌、ネットの情報を集めることを勧め、続いて、もう少し深堀りした学問への入り口を示唆するだろう。そもそも難民とは何か。どのようにしてそれは生まれるのか、歴史上の難民の発生、移動、受容史。そのような実例から、私たちは何を学べるか。などなど。
2015-09-15 06:50:04Google scholarでrefugeeと入れると、621000件の論文が引っかかってくる。教師は、まず、代表的な論文3点くらいを読むことを高校生に薦める。高校生は読む。その中に出てきた概念を、またgoogle scholarで検索する。引用さえていた論文を読む。s
2015-09-15 06:52:18難民の受け入れの割り当ては、どうあるべきか、という問題を入り口に、こうして、さまざまな学問分野への関心が掻き立てられる。そして、そのような関心に、終わりはない。まさに学問はOpen Endだ。そのまま、大学、大学院、あるいは専門的研究領域にすらつながっていく。
2015-09-15 06:53:38ぼくは、高校での学びのあり方を、たとえば以上のようなものとして認識している。すると、どのような方向に深堀りするかは人によって、学校によって違うから、共通テストは、最低限のシンプルなものにする。あと、その高校生がどのような方向に深めたかは、エッセイや面接で判定する。
2015-09-15 06:54:52以上のように考えているから、日本の大学入試が我慢ならない。標準化され、範囲が決まった問題を、18歳になるまでは「その場で足踏み、小さく前にならえ」でやっていろ、と言う。偏差値という、くだらない数値を計算する。学問の本質とは関係ない、擬似競争に駆り立てる。罪は重い。
2015-09-15 06:57:20その場で足踏み、小さく前にならえの擬似競争をして、偏差値競争をして東大に入るのが、なぜ成功ストーリーなのか。そのような書籍や記事を見るたびに、世界はもっとひろくてのびのび運動できるのにと感じる。学問の入り口は至るところにあり、いくらでも深堀りできる。それをさせないシステムは悪だ。
2015-09-15 06:58:57