平成27年 予備 論文 刑事実務 その2 答案 設問2
Aの身柄引受人は,Aの母親に,雇用主Cをも加え,同人の身柄引受書も提出するのが適当である。Aの母親は,精神面心理面における監督を担い,Aの雇用主Cは,仕事及び生活面における監督を担い,両者相俟って,保釈に当たっての遵守事項を実際に遵守できると考えるからである。
2015-09-17 11:44:04反対意見「保釈不相当 接触の可能性あり」(刑事訴訟法第92条第1項)を述べたと思われるところ,だとすれば,裁判所に対して,「保釈条件として接触禁止条項を付し,同条項は遵守される。」との心証を形成させればよいので,
2015-09-17 11:43:32B子は,検察官に対して,「私は,Aに自宅を知られているが,引っ越し費用を工面する余裕がなく,転居できる見込みがない。だから,怖くて仕方がない。」(甲第7号証 B子の検察官調書)と供述しているので,検察官は,保釈請求に対して,
2015-09-17 11:42:57Aと母親とは強い絆で結ばれていて,母親を悲しませることはしないであろうこと等から,罪証隠滅や畏怖させるために接触する程度は非常に小さいと考えるので,「適当と認めるとき」に当たると考える。
2015-09-17 11:41:42いたくないため,接触に対する更なる心理的抑制となること,③Aの母親の身柄引受書は,中学生の時に父母が離婚し,母に引き取られ,それ以降,父とは一度も会っておらず,兄弟はいないことを踏まえると,唯一の身内であって,しかも,母の身体状況をも併せ考慮すると,
2015-09-17 11:41:06(3) これを本件についてみるに,保釈請求書添付書類として,①v及びB子とは接触しない旨のAの誓約書は,保釈決定に係る条件に先立ち,自らの意思で誓っているので,接触に対する心理的抑制になっていること,②Aを引き続き雇用する旨のCの上申書は,①と相俟って,安定した職を失
2015-09-17 11:40:40ここでも,公判前整理手続に付されたことを踏まえ,争点及び証拠の整理状況を前提として,罪証隠滅のおそれの程度を具体的に検討して判断すべきである。
2015-09-17 11:39:50(2) 「適当と認めるとき」とは,裁判所の自由裁量であるが,合理性がなければならないところ,刑事訴訟法第89条各号に当たる場合は,原則として保釈が適当でないことを踏まえると,釈放を相当する特別の事情が必要であると解釈する。
2015-09-17 11:39:32同法第90条「裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。」に基づき,「適当と認めるとき」に該当する具体的事実を検討すべきことになる。
2015-09-17 11:38:37供述していることから(乙第1号証 Aの司法警察員調書),復讐する意図も考えられないではなく,したがって,畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由を認めることができないとは言い切れない。
2015-09-17 11:37:21(6) 第5号 「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。 」について,Aは,「VとB子が私を陥れようとしているのではないか。」と
2015-09-17 11:36:57先述したとおり,②日常生活に支障のある母と同居し続けたいこと,安定した職を失いたくないことから,圧迫を加える意図を認めることはできないとは言い切れない。
2015-09-17 11:36:12イ 証人B子に対する圧迫 これを本件についてみるに,①証人B子に対する圧迫が考えられるところ,Aは, B子の家を知っているので,接触手段があるから,その可能性はある。しかも,
2015-09-17 11:35:56したがって,②主観的意図も問題とならない。すなわち,確かに,②日常生活に支障のある母と同居し続けたいこと,安定した職を失いたくないことから,Aに罪証隠滅の主観的意図がないとは言い切れないが,仮にあるとしても,①がない以上,②は問題とはならない。
2015-09-17 11:35:24ア 証人Vに対する圧迫 これを本件についてみるに,①証人Vに対する圧迫が考えられるところ,検察官は,証拠開示に当たり,Aの弁護人に,Vの住所,電話番号をAに秘匿するよう要請し,Aの弁護人もこれに応じて,Aにそれらを教えなかったので,接触手段がないから,その可能性はない。
2015-09-17 11:35:01V及びB子の各証人尋問が採用決定されたことを確認したので,これを前提として,被告人を釈放した場合,①客観的に罪証隠滅行為の余地があるか,②主観的に罪証隠滅の意図が認められるかが問題となる。
2015-09-17 11:33:57(5) 第4号 「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」について,受訴裁判所は,公判前整理手続を終了するに当たり,検察官及びAの弁護人との間で,争点は犯人性であり,証拠については,甲第2号証及び甲第7号証を除く甲号証,乙号証並びに
2015-09-17 11:33:38(4) 第3号 「被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。」について,Aには,前科前歴はないので,これにも当たらない。
2015-09-17 11:33:00(3) 第2号 「被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。」について,Aには,前科前歴はないので,これにも当たらない。
2015-09-17 11:32:48(2) 第1号 「被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。」について,Aは,傷害罪で公判請求されているところ,同罪の法定刑は「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」(刑法第204条)であって,
2015-09-17 11:32:05同法第89条柱書は,「保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。」と規定している。したがって, Aの弁護人が検討すべき事項は,まず,同条各号に当てはまるか否かである。
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