- katsuragi_rivea
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◇COLL@BO Entertainment◇ ◇協賛:K@R@TE Entertainment◇ ◇監修:リカルド・ベレンゲル氏◇ 感謝!
2015-09-18 22:03:59◇与太話投稿行為◇ ◇望まねばミュート◇ ◇まさかのカラテだ!カラテあるのみ!◇ ◇我々はこのような形でコラボも可能だ!◇
2015-09-18 22:04:56ボーン…ボーン…ボーン…時刻はウシミツ・アワーを回り、それを告げるアンティーク調の古びた置時計。ここはとある洋館の玄関。家主の趣味なのか中世時代、西洋式の装飾でその外観から内部までもが飾られている。1
2015-09-18 22:06:16ガチャ…真鍮のドアノブが音を立てて回される。ギィィィ…と錆びた番の奇音とともに扉は開かれ、この洋館の風貌とはあまりにもミスマッチなジュー・ウェアに身を包む一人の艦娘がおぼつかない足取りで入ってきた。2
2015-09-18 22:07:16「もう…こんな時間か…」彼女は呼吸も落ち着かないままぼそりとつぶやいた。…あの『鬼百合』は噂通り容赦がない。訓練にまったくと言っていいほど妥協がない。そんなことを働かない頭で考えていた。3
2015-09-18 22:08:19とある男の所有物であるこの洋館は彼の『別荘』などと呼ばれていた。彼女はしばしの間身を預けることを許可され、体を休めるための一時の宿としている。ここに辿り着くまでの体力がほとんど残らないまでに徹底的に訓練を施された。4
2015-09-18 22:09:13それでも彼女は充足感に満たされていた。これで…強くなれるのならば…。瞼の裏にはリベンジを誓う相手の姿。自分よりも背が低い駆逐艦娘の姿が映る。「今度こそ…絶対に…。」そう呟くと彼女は意識を深い闇の底に委ねその場に倒れこむように眠りに落ちた。5
2015-09-18 22:09:53そんな姿を一人、小麦色に日焼けをした肌の少女が見ていた。「久しぶりにここに立ち寄ったはいいけど…誰?この人。提督の言ってた新しい娘かな?でも、駆逐艦て聞いてるけど…」興味深そうにその眠る姿を隅々まで眺める。6
2015-09-18 22:10:59小麦色の娘は、死んだように眠る艦娘のジュー・ウェアの懐から姿を見せるものに目線を落とした。見覚えがある。翼に日の丸が描かれた艦上攻撃機。それを彼女は大事そうに抱えている。小麦色の娘はそれの名を口にした。7
2015-09-18 22:12:36「……流星?」夜は更け深みを増していく。カチ…カチ…という置時計の秒針が静寂の中で大きく聞こえるかのようであった…8
2015-09-18 22:13:18秋も深まり中秋から晩秋に切り替わる季節。鹿児島県に存在する海軍基地、鹿屋艦娘基地。敷地内は広大で様々な施設が存在する。その中の主な施設は訓練施設が多く艦娘達は皆それぞれのカラテを鍛えることにその情熱を燃やしていた。9
2015-09-18 22:15:09その中の一つ、鹿屋艦娘ドージョー。タタミが敷き詰められ、堅牢な作りとなっていて、見るからに『和』のアトモスフィアを醸し出す。その中では艦娘候補生、あるいは新人の艦娘達がカラテシャウトとともにその腕を交互に突き出す。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」10
2015-09-18 22:16:28それを中央で満足そうに不敵な笑みを浮かべる筋骨隆々とした褐色肌の大男。名を「リカルド・ベレンゲル」カラテ嚮導官として任命されていた彼は、候補生達が一所懸命にカラテを振るう姿を見守っていた。11
2015-09-18 22:17:48艦娘候補生はいわば戦士の卵。才能に差はあれど、いずれこいつらも海を勇敢に駆け回る戦士となるに違いない。リカルドは確信する。そんな海の戦士達の卵の面倒を見るのは意外にも自分に向いているのではないかとさえ思う。とてもやりがいある仕事だ。12
2015-09-18 22:19:05そんな考えをめぐらせ鼻を鳴らすリカルドに「司令官!お疲れ様です!」一番の教え子である艦娘の声がかかる。「吹雪か。」いつもより機嫌がよさそうなリカルドに吹雪は訝しむ。「何かいいことでもあったんですか?」そう彼女は尋ねるも、「なんでもないさ。」と口角を上げ返した。13
2015-09-18 22:20:28ますます不審に思い首を傾げる吹雪。「教えてくださいよー!」と子供のように駄々をこねる姿に少し呆れる。(…これで普段は深海の奴らをチョップで葬るんだからな。俺が教えたとはいえ……わからんものだ)末恐ろしいものだとリカルドは思う。14
2015-09-18 22:21:56「そんなこと言ってると大淀さんに言いつけますよ?」「それはやめてくれ。」冗談めいたやりとりをしていた二人。その時、不意にドージョーの戸が半分ほど開き、そこから男が顔を出し、きょろきょろと中を見渡した。「…へぇ、ここに顔を出すとは珍しいじゃねぇか。」15
2015-09-18 22:23:22ドージョーは広い。リカルド達が佇む位置と入口はそれなりに離れていて、パッと見では誰がきたかなどということはわかりづらい。「誰ですか?」目を凝らす吹雪。それとは対照的にリカルドはその気配だけでその人物が誰かを認識することが出来た。16
2015-09-18 22:24:28リカルドはハンターだ。自分が認識している「エリア」と呼ばれる範囲であればその「気」を読み取り、同じエリアにいる人物あるいはモンスターが何者か、どこに向かっているかなどは容易に、それも瞬時に理解することができた。ハンターならば誰でも使える最低限の技能である。17
2015-09-18 22:25:38その男の目的はもっぱら自分に用があるらしく、なおかつ視力が人間離れしているとのことからリカルドの姿を認めるとゆっくりとこちらに向かってきた。その男の姿が近づくと吹雪もそれが誰であるか理解したらしい。その男に向かい敬礼をする。「ご苦労様です!葛葵司令官!」18
2015-09-18 22:27:01「やぁ!」男の名は葛葵冷士。鹿屋主力艦隊第三群機動部隊、その指揮官とあたる人物である。階級は中将。リカルドより下の階級ではあるが、その差を感じさせないほどフランクに接してくる。この縦社会、それもお堅い軍の雰囲気にいまだに馴染めないリカルドにとってそれはありがたくも感じた。19
2015-09-18 22:28:08「よう。珍しいなアンタがここに来るなんてな。なんか悪巧みでもしてんのか?」「そんなところだな。」葛葵はにやにやと笑う。こういうところさえなければ端整な顔つきであるため女子共が黙っていなさそうではあるとリカルドは思うがあえて口にはしていない。20
2015-09-18 22:29:32