ぜのんしてぃーTOKYOってバナナさんが。

矛盾都市TOKYO風味の何かです。 だらだらだらりと書いたり書かなかったり。
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だいけ @daike0000

「ここは…ふむ、料金プランが2種類あるのか」男が唸っていた。「シロ君、商人は即断即決。機を逃したら儲けは掴めないんだよ?」「だがしかし、この『休憩』と『宿泊』という形態がな…」「そんなの決まってるでしょ。泊まるんだから」

2011-01-09 22:44:33
だいけ @daike0000

【7】『2日目0455』「TOKYOの朝は寒い…」公園の茂み、新聞紙に包まって震えているのは、ややエロと呼ばれていた少年だ。「思うんですけどね、どーして僕はこんなとこで夜を明かしてるんでしょーか。あぁ美影さんのところに帰りたいなぁ」

2011-01-09 22:56:05
だいけ @daike0000

「美影さんって誰?」まぁ暇なので、僕は少年に話しかけてみることにした。「あー、まぁ何と言いますか。こう、こんな感じで、えぇ」空中で何かを捏ねるような動きを始めた少年は、やはり頭をやられているのではないか、と思う。昨夜、少年と戦闘になった相手。確か、「――東京圏、副長」

2011-01-09 22:57:01
だいけ @daike0000

【8】『1日目1947』「いい買い物…じゃったのかのぅ」脱落者、と名乗る青年にそう尋ねられて、僕は困った。「単なるバナナですからね、僕。尋ねられても困ります」「まぁその通りじゃが」青年は呟き、「バナナと話しておるなんて、頭おかしいヤツと思われんかのぅ」

2011-01-09 23:10:02
だいけ @daike0000

「…十分おかしいと思いますね。いい歳したお兄さんがそれ持って歩いてると、どうにもあっち方面の妄想をしてしまっていけません」学生だった。「ふむ、貴様――東京圏副長か?」「御明察。そちらは、元北関東圏総長で間違いありませんね?」既に向こうは臨戦態勢だった。

2011-01-09 23:10:53
だいけ @daike0000

「いかにも。しかし、何の用じゃ?」青年の問いに、しかし相手は答えず、 思い信じて打撃すれば、いかなるものもエネルギー保存の法則に従い、いかなるものも打撃力を受ける。 「訳あって、アナタの力を試させて頂きます」その打撃の全てが、僕に叩き込まれた。

2011-01-09 23:11:10
だいけ @daike0000

【9】『1日目1612』ややエロが、バナナを手に歩いている。その顔には、多少の疲労の色が見える。「うーん、このバナナ食べちゃおうかな」バンダナの下から、僕を見る視線が怖い。「待って食べないで!こんなレアな喋るバナナなんて、他の街じゃ手に入らないんだから!」

2011-01-09 23:28:52
だいけ @daike0000

僕の必死のアピールに、ややエロは納得してくれたらしい。「そうですね。非常食ってことで」あぁ良かった。ちょっとだけ生存時間が延びたぞー。「しかしこのTOKYOって都市は不思議なところですね。なんというか、さっきから可愛い女の子達にボディタッチされまくりなんですが…」

2011-01-09 23:30:29
だいけ @daike0000

「それは風だ。この時期だから…北風、かな?」目の前から声。ややエロも僕も顔をあげるが、しかしそこにはNobodyが居るだけ。「…? Nobodyって何です?」「何だろう?」二人して顔を合わせる。「いや、バナナと顔を合わせるって、そりゃ面白い表現だなぁ」

2011-01-09 23:35:37
だいけ @daike0000

「つまりこれは痴女の仕業ではなく、自然現象だと?」「多分」二人して頷きあう。「ということは…」ややエロが、顔を輝かせる。「さぁどうぞ!僕の大事なところを思う存分、さぁ!」両手を広げての仁王立ち。一際強い北風が吹いて、「…あ、看板」ややエロに直撃した。

2011-01-09 23:36:23
だいけ @daike0000

【10】『1日目2320』「うわベッドが回ってる!」「天井に鏡が!」「何この…えっと、馬?痛そう。ちょっとシロ君乗ってみなよー」「あ、こっちの手術台みたいなのってもしかして…。ほらシロ君、子供みたいにいつまでもそんなお馬さんに乗ってないの!こっち!」「はい、いいコだねー」

2011-01-09 23:47:07
だいけ @daike0000

僕は籠の中。外の様子は欠片も見えない。さっきまで聞こえていた、はしゃいだ女の子の声は、いつの間にかシャワーの音に変わっていた。代わりに聞こえるのは、この部屋に入ってから初めて聞く、男の小さな小さな声。「丸見えは、丸見えだけは…!」見えないことは、実に残念でもなんでもなかった。

2011-01-09 23:48:00
だいけ @daike0000

【11】『1日目1731』「あんな可愛い女の子がバナナ売ってるとはどーいう了見ですか!」そういう声が群集の中から聞こえた。「おいあれ、副長じゃないか…?」周囲の学生からざわめきが漏れる。「誰の許可を取ってここでこんな商売を…!」

2011-01-09 23:56:22
だいけ @daike0000

走りこんでくる学生服。そして女の子の目の前で立ち止まり、一触即発の空気かと思いきや、「すみませんが、一番ぶっといバナナとスマイル1つずつ!」「はいどーぞ」「うわ、こんな可愛い女の子に握られてるなんて…凄いな…」

2011-01-09 23:56:37
だいけ @daike0000

【12】『1日目1829』「それでこのバナナ買ってきたの!?」副長に詰め寄るのは、東京圏の第一特務だ。威勢の良い感じの女の子であり、結構好みかもなー、なんて考えてると、「ちょっと、バナナだからって変なとこ見ていいってことにはならないからね!?」

2011-01-10 00:16:28
だいけ @daike0000

僕はここはいい都市だな、とふと思った。こういう出会いがあるから、面白い、と。「ふぅん、バナナの癖に詩的じゃない。気に入ったわ」どこが気に入られたのか正直分からないが、とりあえず女の子に好きという趣旨のことを言われるのは、悪いことじゃないと思う。

2011-01-10 00:17:07
だいけ @daike0000

話は続く。「それでね、どうやらこの街に、えーっと、臨時内閣対特殊しゅ…なんだっけ?まぁいいわ、とくかく危険かもしれない人物がこのTOKYOに来てるの」「えーっと、元北関東圏総長だっけ?何しに来てるんだろう?」

2011-01-10 00:17:25
だいけ @daike0000

「そのあたり捕まえて吐かせるのが仕事でしょう?」「でもその人、広報の情報が正しければ、活殺者だぞ、そんな危険人物とぶつけさせるつもりか?」二人のそんな話を右から左に聞き流して、第一特務を眺める。「あ、またこのバナナは…!ちょっとこっち打撃してくれる?」えぇー!?

2011-01-10 00:17:57
だいけ @daike0000

【13】『1日目1951』「痛ぁー!?」僕は青年の身代わりとして、副長の打撃力の全てを受けた。「…って、何ですかそのバナナ!僕が買ったのと同じっぽいですけど」「ふむ、TOKYOの矛盾の力、『記動力』じゃったかのぅ。面白いな」

2011-01-10 00:45:47
だいけ @daike0000

思い信じて――。副長が構えた。もう一度、アレが来る、と僕は身を固くする。が、その前に青年が「遅いな」素早く懐に潜り込んで「神器にも何にも頼らんこの拳、しかと受け止めぃ」打ち上げ気味に、必殺の拳が放たれた。打撃音が、夜の街に響いて消えた。

2011-01-10 00:46:00
だいけ @daike0000

【14】『1日目2251』「それでお星様になって空に飛んでって、挙句、お月様に引っかかってたの?」第一特務の言葉に、副長は言葉なく項垂れた。「あー、ほら、元気出しなって」僕が思わず声を掛けると副長はギロリと僕を睨みつけて、「あとちょっとで胸の谷間が目の前だったのに…!」

2011-01-10 01:01:49
だいけ @daike0000

「あ、何で僕まで巻き添えにー!?」僕と副長は、もろともに窓から外に放り出された。そして部屋の中から、「とりあえずもう一人、出身不明の例の少年の方も調べてくれる?先輩が動く前に、ね?そっちは絶対に弱いから!」

2011-01-10 01:02:40
だいけ @daike0000

【16】『1日目2321』「マズいです。。マズいですって先輩!もう、聞いてますか!?」青年の携帯電話の向こう、デフォルメされたエルフ耳っぽい女の子のキャラが騒いでいる。いわゆるテレビ電話というヤツらしい。でも、電話の相手は一体誰なのだろうか?

2011-01-12 01:20:05
だいけ @daike0000

「分かってますか!?東京圏の副長をお星様にしちゃうなんて。もう学生じゃないんですよ立場を弁えて下さい。BABELのこともあって学生も企業もピリピリしてるのに…」画面の向こうの少女が溜息を吐いた。「そもそも先輩、転送した資料に目を通してくれてますか!?」

2011-01-12 01:20:20
だいけ @daike0000

すると青年が「あぁ、通しておる。だから、あの副長の一撃を…避けて、この拳をぶち込んだ。向こうの手の内を知らなければ危なかった。だから、感謝しておるよ」「あ、ほんとですか…?役に立ったなら良かった」怒鳴り散らしていたのが嘘のように、はにかんだ笑顔を見せ、

2011-01-12 01:20:43
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