ぜのんしてぃーTOKYOってバナナさんが。

矛盾都市TOKYO風味の何かです。 だらだらだらりと書いたり書かなかったり。
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だいけ @daike0000

「それで先輩?その肩に乗ってるバナナっぽい黄色い物体は何ですか?」そこでやっと、こちらに気付いてくれた。僕は青年の肩にもたれかかるようにして乗っている。アニメなんかでよく見るような、肩乗りマスコットといった風だ。「走狗っていう訳でもなさそうですし…」

2011-01-12 01:21:04
だいけ @daike0000

「んむ、分かりやすくいうとじゃな」そこで青年はやや口ごもってから、自己紹介しろ、と僕を掴んで携帯の前に突き出した。「あー、えっと、僕は、その、…綺麗なバナナです」電話の向こうが、凡そ2分12秒沈黙して、「もう一度」「綺麗なバナナ」「ワンモア」「きれないバナナ」「はぁ!?」

2011-01-12 01:21:17
だいけ @daike0000

「なんですか先輩いつの間にバナナ形の走狗なんか手に入れたんですか、ちょっと気持ち悪いですよそれ?」「まぁなりゆきじゃ。それに存外、こいつは優秀じゃぞ。何しろ、あの副長の打撃力の全てを受けてなお、この通りなのじゃからな」「え、それって…?」

2011-01-12 01:21:41
だいけ @daike0000

どうにも、今この場の注目の的は僕らしい。ならば、僕は答えよう。それがスターたるものの義務であろうから。だから。「どうも、初めましえて、お嬢さん。僕の名前は、綺麗なバナナ、とお呼び下さい」「具体的に何があったの?」「んー、副長の打撃で、頭のネジが500本くらい吹き飛んだ」

2011-01-12 01:21:52
だいけ @daike0000

【17】『1日目・夜』「見つけた。あのバンダナ少年だろ間違いない。匂いがする」副長が真面目な顔してるので、僕としてはツッコまずには入られない。「どんな匂い?」「ストライカーっぽい感じ」「え?ストーカー…?」「それもあながち間違じゃないかもしれないなー」

2011-01-15 22:10:45
だいけ @daike0000

「聞こえてますよ!失礼ですねアナタ達!だいたい僕と美影さんは相思相愛で、」少年の言葉を遮って副長が「分かる。分かるぞその気持ち。相手のことを思う余り…ってやつだ」「分かって頂けて嬉しいです!」「だから、そーいう犯罪者予備軍は絶対そーいうこと言うんだ」

2011-01-15 22:11:11
だいけ @daike0000

「全然分かってないじゃないですか!」俄に臨戦態勢に入るバンダナ少年。格闘技か何かの心得があるようにも見えるが、「でも本業は、ストライカー。重騎乗りじゃないか?」「まぁ、重騎というか、うーん、美影さんに乗るというか、是非乗りたいですよね!?」

2011-01-15 22:11:27
だいけ @daike0000

「判定してもいいですか?」と口を挟んだ僕に、「うわ、そっちのバナナも喋ってる!」バンダナ少年から、微妙な賞賛を受けた。だから、僕は手心を加えた上で叫ぶ。「判定します。10対0で、変態です!」少年が、誰かのように膝から地面に崩れ落ちた

2011-01-15 22:11:43
だいけ @daike0000

「ややエロを通り越して変態認定とは、オマエら一体どういう了見だ!?」その大見えは、膝を着いた少年の腹の辺りから発せられた。…モゾモゾ、ポトリ。少年のズボンの中から、『きいろのバナナがあらわれた!!!』

2011-01-15 22:11:59
だいけ @daike0000

「うわ、間違いなく疑いもなく変態だ!あんなところに仕舞っておくなんて!?」僕も同意するが、しかし向こうのバナナは必死に首ではなく身体全体を振って揺らして、「これには深い訳が!元は同じバナナだろう!?分かってくれるよな!?」

2011-01-15 22:15:16
だいけ @daike0000

近付いてきたバナナに対して、副長が拳を上げた。僕も、こんな奴と同類では断じてない、という誓いと宣言を胸に、シュガースポットで睨みを効かせる。しかし、相手バナナの動きは止まらない。だから、『――思い信じて打撃すれば――』その一撃で、決着(変態バナナと)

2011-01-15 22:15:42
だいけ @daike0000

『2日目朝』長い夜だった。籠の中の僕は、一晩中、夜の闇と戯れていた。外は外で戯れていたようだったけれども、何も見えなかったのだから仕方がない。籠の蓋が開いた。夜の闇が無言で逃げて行った。代わりに、笑みの女の子が「おはよう、バナナ君」

2011-01-16 19:44:29
だいけ @daike0000

そしてその場には、もう一人。爽やかな朝に似合わない疲れた顔をしている男が『会計』という役職にあるのだと、長い夜の間に覚えた。故に僕は挨拶を一つ。「夜は、補佐と立場が入れ代わるんだねー。何も見えなかったけど、でも、声とか音とか凄」いきなり、蓋が閉じた

2011-01-16 19:44:41
だいけ @daike0000

「うわぁシロ君どうしたの!?」会計補佐の慌てた声。次いで会計が「日課のトリプルアクセルジョギング土下座の練習をせねば!」「籠を抱いて!?」「より困難な条件を課してこそ男だ!」「シロ君素敵!」直後、僕は嵐に見舞われた。

2011-01-16 19:44:54
だいけ @daike0000

【18】『2日目朝』夜を明かした公園の片隅のベンチ。ややエロは疲れた顔で座り込んでいる。僕は慰めの言葉を掛けることにした。「ややエロ少年、昨日の戦闘での負けを恥じることはないよ」「…変態バナナ、アナタがそれを言いますか」「僕は変態じゃない…!」

2011-01-16 20:34:17
だいけ @daike0000

お互い、一触即発といった風で睨み合う。ややエロの黒い瞳と、バナナのつぶらなシュガースポットの間で火花が散る。先に動いたのは、バナナだ。「秘儀・シュガースポットあたーっく!」「痛ぁ!?目が!目がぁ!?」ややエロが、目を押さえて転げ回った。

2011-01-16 20:34:41
だいけ @daike0000

勝利の余韻に浸っていると、復活したややエロに胴体を掴まれた。そして、「皮ぁ剥きますよ!?」目がマジだった。不意打ちはもう効果がないだろう。だから僕は慌てて、「あ、あのさぁ!何でややエロ少年はこの都市に来たんだい?美影さんのため?」

2011-01-16 20:34:49
だいけ @daike0000

するとややエロは少しばかり考えるそぶりを見せて、「えーっと、そういえば、どうしてなんでしょう?記憶にないんですけど?」それをバナナに尋ねる光景は、かなりシュールだと僕は思う。「ただ、覚えてるのは、美影さんの入ってるお風呂を覗いたら、何故かラッコが居て…」

2011-01-16 20:36:54
だいけ @daike0000

【2日目昼前】「決定ですー。あのバンダナ少年は捕獲の方向でー」携帯電話の中、エルフ耳のデフォルメ女の子がクルクルと回っている。「捕獲か…それは構わんがな…」「どーしました先輩?肩の変なバナナを手にしてから、少し様子がおかしくないですか?」

2011-01-16 22:45:43
だいけ @daike0000

すかさず僕は口を挟む。「変なバナナ、などではありません。綺麗なバナナ、です。美しく可愛らしいエルフ耳なお嬢さん?そこをゆめゆめお忘れなきように」するとエルフ耳は、「あ、もしかして私、口説かれてます?どーしましょう先輩!?」

2011-01-16 22:45:58
だいけ @daike0000

「恋愛は個人の自由じゃろう。じゃから、もしバナナを選ぶというのなら…」寒気でもない。怖気でもない。純粋に、腹の辺りが熱い。青年の肩から発せられる熱気で、焼きバナナになってしまうんじゃないだろうか。事実、続く言葉が、「全力で握り潰すだけじゃな」

2011-01-16 22:46:15
だいけ @daike0000

「まー、落ち着いて、待って下さい先輩!その綺麗なバナナにも使い道はありますから!」二人の注目を浴びて僕は、「そりゃあ、僕はシュガースポットもない真っ黄色な汚れないバナナですから。いかようにも使って頂けるかと。…ところで、使うというのは具体的には?」

2011-01-16 22:46:27
だいけ @daike0000

エルフ娘が携帯の向こうで踊る。「えーっと、ブーメラン、皮を剥く制裁、3時のおやつにいただきまーす、あとは、その…男の人同士で!?」「男同士じゃと…!?こんなの殴り合いにも使えんぞ?男なら、拳で勝負じゃ」「いや先輩に勝てる人なんてそうそう…」

2011-01-16 22:46:34
だいけ @daike0000

そこでエルフ娘が、あ、という顔をした。「もしかして、このTOKYOにあの雌型重騎が持ち込まれたって情報は…」「そこまでじゃ。続きはあとで聞こう」先輩と呼ばれた青年の視線の先。「…記録照合、重騎庇護女帝です」青年は、肩に乗ってだらだらしていた僕を掴んだ

2011-01-16 22:46:42
だいけ @daike0000

「え、あれ、どうしてこんな綺麗な僕を掴んで、まるで昨夜の焼き直しのような――!?」「根性、入れ直して貰ってこぉい!」大投擲。見事、庇護女帝の肩辺りに命中。――いや、着地。この位置からでは、二人の声は聞き取り難いが、

2011-01-16 22:46:53