ウリエルさんとアヴァンさん。それからスッフィー

戦闘の途中保存だよ!
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アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 「(…ここで、死んでたまるか)」 こいつに、焼き殺されるのはたまったもんじゃない。不本意ながら俺の死にはあそこで転がってる二人の命までもかかっている。 徐に剣から手を離し、掴まれていない手で胸倉を掴み、足払いで横へ投げ飛ばし、その勢いで焔壁から抜け出す。

2015-09-21 04:01:18
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 邪紋使いに、力で勝とうとするのは、間違いだ。 「……?」 いつもなら、アンデット特有の再生が始まる頃なのに、傷の治りが遅い。何故…この前の闇魔法師に飲まされた薬が……!? 心の内で盛大に舌打ちを打つ。逃げ出し、は、どうやら出来そうにないか。→

2015-09-21 04:01:48
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk ……なら、この騒ぎだ。望みは薄いが、誰かが来るまでこの焼かれた身体で保ってみせなければ。腰の投げナイフを幾つも引き抜き、起き上がる男へと思い切り投げつけ、短剣を取り出して構える。

2015-09-21 04:06:35
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 屍兵との戦いに慣れていないのだろうか。拍子抜けするほど簡単に焔に包まれる相手。と、不意に胸元を掴まれる。回転する視野。やはり膂力の差が大きい。 「おっと」 立ち位置が逆転する。辛うじて焔の壁から抜け出した男と、焔を背にする屍兵の君主。 ナイフが飛んでくる。→

2015-09-21 11:43:38
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 男は腹に刺さったままの剣を掴んで引き抜くとそのまま己の得物とし、血塗れの剣で飛来物を器用に弾く。金属音が路地に鳴り響く。剣先から血が壁に飛び散る。 「お察しの通り俺は死人だ」 腹に貫通した穴が開こうともたいして気にも留めない。そこは重要な器官ではないからだ。→

2015-09-21 11:47:18
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 ただし。 「まぁ、ただの屍兵じゃないけどな」 そこから流れ出る液体には、意味がある。 「――手、拭わなくていいのか?」 点々と壁についた男の血痕に、燐光が灯る。借り受けた剣が炎を纏う。 「燃えるぞ、俺の血は」 腹を刺した時の返り血。手に散る紅が、火を灯す。

2015-09-21 11:52:08
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 驚いたのは、動く屍は邪紋使いのアンデットのみ、という理解でいたからのこと。パンドラは死人を蘇らせて駒として扱う技術を有していたのか。少し認識をし直しておこう。 死人という点ではあまり俺も変わりがない。混沌核さえあればいくら無理をしてもすぐに治る。→

2015-09-21 17:54:30
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 屍兵の君主の腹から流れる血からはどうもいけ好かない匂いがする。吸血鬼と似た嗜好を持つ俺には、正直言って不味そうな匂いだ。 「――!?」 不意に掌から感じる熱。屍兵の血が、燃えている。意思を持つかのようなその焔は腕を飲み込もうと燃え上がる。→

2015-09-21 17:55:39
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 「(ほんと、厄介だ…!)」 腕が焼かれ焦げるのでは、俺の邪紋の力は行使出来ない。それならば。 焔を、血を振り払うように腕を振り駆け出す。 ……どうせ燃えるなら、自ら燃えに行ってやるよ。 案の定、焔を纏う俺の剣が目の前に迫る。

2015-09-21 17:56:37
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk それを何も持っていない腕を犠牲にし受け止め――切られた場所が焼かれ――、短剣を持った手で剣を持つ右腕へ振り下ろす。燃えてやる代わりに、お前のその腕を寄越しやがれ、と。

2015-09-21 17:57:54
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 一見何の策もなく突撃してきたようにも見える相手に、ウリエルはフードの奥で眉を上げる。この無謀な動きは覚えがある。 突っ込んできた相手に合わせ剣を振る。魔術師の力と技術で燃え盛る血を纏う刃が男の左腕半ばに食い込んだ。柔らかい組織を裂く。肉の焼ける音と臭い。→

2015-09-21 18:19:34
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 けれども彼は止まらない。その勢いのままに、もう片手で構えた短剣が切っ先を揺らがせる。 「なるほど」 躊躇なく腕一本を犠牲にした。それはつまり、治るあてがあるということ。男は邪紋使いを見た。殺意みなぎる色違いの瞳と目があった。 「お前も死人か」→

2015-09-21 18:23:07
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 刃が降り下ろされる。フードより覗く男の碧い瞳の前に白色の光が過る。 「『防護』」 ガキンッ、と固い音。短剣が見えない盾に阻まれる。腕まであと5㎝という距離で、宙に浮く聖印がウリエルを護る。 その紋章は、『大樹』。彼の守護神。 ふわりと男の身体が浮く。→

2015-09-21 18:28:34
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 しなやかに、滑らかに。相当の鍛練を積んだと思われる無駄のない体捌き。 足払い、鳩尾に一発、浮き上がる邪紋使い、体勢を低くし、脇の下を通り抜ける一閃。 骨を砕く感触。焼き斬られたアヴァンの左腕が宙に舞う。

2015-09-21 18:33:14
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 切り裂かれた部分から、肉の焼け焦げる匂いがする。目が合った屍兵の君主の瞳は影を落としながらも、何か強い意思を宿しているように見えた。 勢いを乗せた短剣は男の右腕を目指し振り下ろされ――ガギンッ! 何かにその一撃を食い止められる。

2015-09-21 20:27:48
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 一体、何に……!? 「っ!?」 フードの奥、二色の宝石のような瞳が見開かれる。その聖印、その紋章、あいつのそれを、どうしてお前が。 渾身の一撃を弾かれたことによる一瞬の硬直たを屍兵は、見逃さなかった。→

2015-09-21 20:28:35
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk こんな状況でなければ、見惚れてしまうような滑らかな流れる体捌き。体を崩され、鳩尾の一撃に肺を殴られ、かは、と息を吐く。そして浮き上がったところを、赤い軌道を描いた剣が一閃。ド、チャ。鈍い音を立てて、左腕が地面に落ちる。痛みは後からやって来た。

2015-09-21 20:29:11
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 無様に地面に倒れる瞬間、残った右腕で地面に手と膝を突きなんとか耐える。 どくり、どくりと大量の血が焼ききれなかった切り口から溢れた。どうやら、毒のせいでまともに邪紋が扱えないらしい。傷口を塞ぐことが出来ない。 血を垂れ流し、息を上げつつ痛みを堪える。

2015-09-21 20:30:59
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 「……なんで…お前がその聖印を、使ってるんだ…!」 地面に手をついたまま、見上げる様に睨む。 それは、あいつの、 「ユベールのものだろう……!?」 怒りとも殺意ともつかない、鋭い視線が屍兵の君主を貫く。

2015-09-21 20:32:06
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 スレ違いざまに敵を斬ったらすぐ振り向いてトドメを刺す。その基本に忠実に、ウリエルは背後へ振り返り剣を構えた。が、アヴァンの視線を見、放たれた言葉を聞いて、動きを止める。 「……お前、あいつを知っているのか」 今この場には到底似つかわしくない声色で彼は言う。→

2015-09-21 21:47:06
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 それはまるで、そう、旧知の友に語りかけるような。 「となると、お前はあいつのお抱え邪紋兵か何かか?」 優しい声。これまでの苛烈さからは想像だにできない異なる一面。過去の残照。 男は小さく一言、ついてないなと呟いた。 「――何故かって?」→

2015-09-21 21:53:40
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 一瞬薄れたかに思えた彼の殺気と敵意、しかし空気は再び張り詰める。 「何故だと思う?」 男が片手に剣を持ちながら、地に這いつくばるアヴァンへ向けてゆっくり一歩一歩距離を詰めてくる。ウリエルは空いた左手を挙げて、握り拳から指を一本立てる。→

2015-09-21 21:57:41
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 「1。俺が実はユベールの従属君主」 指をもう一本立てる。 「2。単にお前の見間違い」 さらにもう一本。 真実を教える必要はない。死人に口は無いのだから。今はただ、敵としてあればいい。 「3」 男は立ち止まる。真下のアヴァンからは彼のフードに隠された顔が見えた。→

2015-09-21 22:04:18
肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 金の髪。碧い瞳。そして顔の左側を覆う、醜い、火傷の痕。 「俺が奴を殺し聖印を無理矢理奪った」 炎の剣を、振り下ろす。

2015-09-21 22:08:23
アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk その声音に、屍兵の君主へを突き刺していた視線が一瞬緩む。 あいつ、と言った君主の雰囲気は柔らかく、何処か昔を浮かべているような。先程までとは予想出来ない雰囲気。そうか、お前は、あいつの友だったのか。 「俺は…ただの、あいつの友人だ」→

2015-09-21 23:30:01