ウリエルさんとアヴァンさん。それからスッフィー

アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 溜息のように呟かれた一言。身体がぐらりと揺らぐ。『何故だと思う？』俺が睨み見上げている屍兵の君主は腕を挙げて指を立てた。 従属君主？パンドラの、死人のお前が？ 違うだろ、俺は見間違えちゃいねぇぞ。そんな選択肢になんてどうせ偽りしか並べない癖に。→

アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 怒りの感情が募る。下らないこと、言ってるなと。 ――ゆっくりと目の前に来た、屍兵の君主の顔。そこには初めて見る顔と、顔の左側覆う火傷の痕。火傷が醜いか？そんなもの、どうでもいい。屍兵が言った一言。 「――――！！！」 声に成らない声、怒声。吼え声。

アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 振り下ろされた炎の剣が、横から飛来した緋いものに弾かれ、血濡れの獣の肩を削いでいくに終わる。 剣を持たない左腕を、"狼牙"の手が掴む。いくら攻撃をされようとも燃えようともその手は離れない。そのフードの奥の二色瞳には薄らと赤が混じっているようにも見えた。

アヴァン@つばめ @avan027

@hisyabun_sk 傍らの血だまりが揺らいでいた。 「だまれ」 獣の唸りの様な声。掴み上げた左腕へ食らいつく。飲み込む訳ではない。噛みちぎるだけ。血肉を顔に受け、血が燃え上がるも動き続ける凶獣。 左腕から白い骨が現れ、風に晒された頃。糸が切れたかの様に濃紺の髪の男は倒れた。

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 怒り、憎しみ、瞬間膨れ上がる見境のない殺意。揺さぶるためにと言った言葉だが、予想以上に効果があった。辺り一帯に響くような耳をつんざく獣の咆哮。 刃が弾かれる。小さいが金属質な音、朱の閃き。 腕を掴まれる。噛みつかれる。血が溢れる。視界の端で何かが揺れている。→

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 ……血液？ 人というより獣としか言いようがない姿はまさしく暴走。咄嗟に剣の柄で頭を殴るが彼は剥がれない。その爪で牙で舌でウリエルの腕の皮肉脂肪を噛み千切り削いでいく。男は止まらない。瞳に血の色が濡れ光っている。 「……っ！」 骨が見えては流石に痛い。→

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 ぼろぼろになった肉が地面に落ちる。血が燃え出す。困ったようにウリエルは眉を寄せる。白骨がだいぶ見えたところで邪紋使いの進撃は止まった。 力尽きたのだろう、その口内と顔面を火だるま状態にしながら彼は倒れる。死んではいないようだ。 「……どうしたものかね」→

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 最近の邪紋使いは人間を食うのが流行ってるのか。俺の生きてた頃は違った気がしたが。 とりあえず、意識のない男の身体を蹴って転がしどかす。床に転がった肉の欠片を適当に拾って左腕の骨が丸見えの部分にぺたぺたとくっつけることを試みる。 「うーん。肉が足りない」→

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 やはりまたヴァルハラを怒らせることになりそうだと溜め息をついてから空を見る。 ……焔を出した。この邪紋使いも吠えてくれた。十分騒ぎになっているはずだが、まだ目的の男は来ないか。 ならばもう少し派手に、今度は花火でも。→

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@avan027 男が右手で焔の鷹を数羽作り出す。空へと放たれたそれらは手近の倒壊した建物へと急降下して突っ込んでいった。 爆発音。上がる火柱。 さぁ早く来い。デセオ領主ダンド･スフィダンテ。 でなければ俺は、さらなる被害を出さねばならなくなる。 @dindesfidante

スッフィー@今は休憩中 @dindesfidante

@hisyabun_sk @avan027 住民を避難させ、さて見回りにでも戻るかと振りむいた途端に音が聞こえた。何が起きたのかと不安がる住民を宥めて、そちらへ走る。 街の奥　片隅　それは路地の奥まった場所へと続く。 血の匂いがする。 「……誰か、居るのか？」 言いながら進む。

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@dindesfidante @avan027 「……ダンド･スフィダンテだな？」 暗がりの奥から男の声がする。 月明かり差す路に見えるのは黒いローブの端。誰かが立っている。そして彼の前には、無惨に倒れ伏す一人の邪紋使い。全身は焼け爛れ、片腕が無い。 「良い夜だな。血が映える」→

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@dindesfidante @avan027 そんなことを言って、男は暗闇の奥で何かを手で弄んだ。 金属質な光沢が目につく。おそらく剣だろう。ぱちん。男が指を鳴らすと周囲の壁が一斉に火を灯す。明るくなった視界に映る、黒いフードの男と、彼の横で震えるデセオ市民の姿。

スッフィー@今は休憩中 @dindesfidante

@hisyabun_sk @avan027 「あっづっ！？」 思わず一度顔を腕で隠す。いきなり壁が燃えるだなんて思っていなかった。 確認する。1人　2人　３人　 じり、と腰を落とし、重心を整える。 ４人目　フードの男へ声をかける。 「……何か、目的でも？」 困った様な顔で。

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@dindesfidante @avan027 随分と優しそうな君主だ。なるほど、事前情報は間違っていないようだ。 「時にデセオ領主。……あんたは己の民のために命を賭けられるか？」 スフィダンテの前で男は刃を傾ける。縛られ動けぬ女の首筋に、切っ先を向ける。 「あんたの首が欲しい」

スッフィー@今は休憩中 @dindesfidante

@hisyabun_sk @avan027 「なんだ、そんなことか」 きょとん。 「こんな手を込んだ事をしなくても、言えば差し出すぞ」 腰に下げた剣を外して、ガシャンと投げる。 そのままとことこと近寄っていく。 「という訳で人質の解放を頼む。ミューズが泣いてるだろ？」 へらり

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@dindesfidante @avan027 「……は、」 拍子抜けする。 「正気か？」 一国の領主たる自覚がある故なのか、あるいはその逆か。丸腰になった男は何の備えもなく敵へ近づいてくる。いっそ不気味とも思えた。 動揺、呆観。何にせよ、一瞬ウリエルの動きが止まった。

スッフィー@今は休憩中 @dindesfidante

@hisyabun_sk @avan027 「おう」 そのままゆっくり近づいて行く。 「さすがに、今ここでその剣を突き立てられると、そこに転がってるのの回復も出来ないから抵抗するけどな？」 ほれ、人質よこせ　と手を差し出す。

肉体を再構築中のウニ @lv100uni

@dindesfidante @avan027 「……」 ウリエルの向ける刃が人質から退いた。彼らを縛る縄も一瞬の間のうちに燃え上がり、姿を消す。 屍兵は人質を解放した。女は腰が抜けているのだろうか、がくがく震えるばかりで立ち上がれない。