ユニゾンリーグ@オンライン・第一話「邂逅」

ユニゾンリーグの小説もどきです。
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スパーク @let_s_sparking

ユニゾンリーグ@オンライン 第1話『邂逅』 辺りを行き交う人々を見ながら彼は思う。ここがゲームの世界だなんて信じられない、と。5柱の精霊が司る異世界グランヴィーア――という設定の上に構築されたゲームの世界。 #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:25:29
スパーク @let_s_sparking

この夢みたいな場所に来る以前の記憶をなくしている彼は、雑踏の中で立ち尽くしていた。そして、混乱する頭を整理するように、思い出そうとする。いつの間にか始まっていた彼女の特別指導(チュートリアル)を―― #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:30:28
スパーク @let_s_sparking

「ファルサ様がいらっしゃるのはこの辺だって、ニムエちゃんは言ってたけど……」 彼が気付いた時には、目の前にピンク色の短髪で腰に長剣を携えた女性が歩いていた。辺りをきょろきょろと見回す彼女を見て、何も覚えていない彼は驚いて立ち止まる。 #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:31:21
スパーク @let_s_sparking

「……ここはどこ? 私は一体……」 戸惑う彼の声を聞き、ピンク髪の女は振り返って怪訝な顔を見せる。 「どうしたの? ここは、ホーマフォルテ。冒険者にとって、はじまりの地と呼ばれる場所よ……って、説明しなくてもわかるでしょ?」 #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:32:01
スパーク @let_s_sparking

「ホーマフォルテ……。はじまりの地……?」 「なに、緊張しているの? 呆けたフリなんかしちゃって」 「…………」 「まさか……本当に覚えていないの?」 ピンク髪の彼女は透き通る青い眼を丸くして、驚いた。 #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:32:31
スパーク @let_s_sparking

「自分の名前はわかる?」 「私の名前……」 彼は束の間黙考し、首を振った。そんな彼を、安心させるように彼女は柔和な笑みを見せる。 #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:33:23
スパーク @let_s_sparking

「大丈夫よ。あなたのことは私が誰より知っているから。あなたの名前は――」 そこで、彼女は口を開いたまま、動かなくなった。ねじを巻いて動くおもちゃが唐突に動作を停止させるように。 冷たい風が頬を撫でる中、未だ状況を掴めずにいる彼の前に、 #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:34:23
スパーク @let_s_sparking

「!」 突然、無機質な画面が浮かび上がってきた。 彼と彼女を隔てるように出現したソレ――ポップアップウィンドウには、“アナタの名前を入力して下さい”と表記されている。 「名前を入力って……?」 #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:35:54
スパーク @let_s_sparking

まるで、ゲームみたいだなと単純に思った彼は、そう言われても自分の名前がわからないのにと苦笑する。そして、笑えない状況下で笑ってしまった自分自身に気が付いて、また可笑しな気持ちになる。 ゲームだと思った瞬間に、すべてが滑稽に思えたのだ。 #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:37:26
スパーク @let_s_sparking

これは夢みたいなものか。だったら、ここがどこだかわからないのも合点がいく気がする。彼は、この世界がゲームだと思い込もうとした。そうでもしなければ、本当におかしくなってしまいそうだったから。 #ユニゾンリーグ

2015-09-17 16:38:14
スパーク @let_s_sparking

「あなたの名前は、スパーク。どう? 少しは何か思い出した?」 自分で入力した名前を呼ばれた彼――スパークは何も言わずに、彼女の顔を見つめた。 「その様子じゃまだ、駄目みたいね」 困った顔で笑いながらも彼女は続ける。 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 02:55:37
スパーク @let_s_sparking

「わたしは、フィロ。なんていうか、あなたのお姉さん、みたいなものかしら」 「お姉さん……?」 「ちょっと! どっちかっていうと、お母さんだよなーとか思ってないでしょうね!?」 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 02:57:32
スパーク @let_s_sparking

自らをフィロと名乗る彼女は、スパークを自分の遠縁の子どもだと話す。 「身寄りのなかったあなたを、5歳の時に私が引き取ってそれからずっと一緒に暮らしているの」 それから、フィロは様々なことを彼に語り始めた。 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 02:58:33
スパーク @let_s_sparking

『グランヴィーア』と呼ばれる彼女たちの住む世界のこと。 20年前に起きた大災厄により、聖地と呼ばれる場所から凶悪なモンスターが出現し、人々を襲っていること。 我が物顔で跋扈するモンスターたちを討伐するための組織『マスターギルド』があること。 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 02:59:40
スパーク @let_s_sparking

ギルドには、ソルジャーやメイジ、5つの職業(クラス)に就く様々な冒険者がいること。 そして、スパーク自身が新米冒険者として、今日からギルドに入るところだったことをフィロから教えられた。 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 03:00:29
スパーク @let_s_sparking

「……で、私があなたのサポート役の伝説の美人剣士って、わけ♪ ……何よ、その目は」 ジト目で睨むと、たじろぐスパークを見て、フィロはくすくすと笑った。 「どう? 何か思い出せそう?」 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 03:01:54
スパーク @let_s_sparking

スパークは頭を抱えてフィロとの思い出を、蘇らない記憶の海から手繰り寄せようとするも、その両手には何も引っかかることはなく……。 「うん。いいのよ、スパーク。無理して思い出そうとしなくてもさ」 フィロはにっこり微笑んで、優しく彼を抱きしめた。 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 03:02:51
スパーク @let_s_sparking

「あなたには、フィロお姉さんがついてるんだから。ね?」 スパークは柔らかな彼女の温もりを感じ、安心すると同時にこれが本当にゲームでの出来事なのか改めてわからなくなった。 その時だ。 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 03:03:23
スパーク @let_s_sparking

「!」 突如、彼はフィロの前から姿を消した。 触れていた温もりが消え去った時、スパークの視界は一変していた。 どこまでも緑広がる草原から、多くの人々で賑わう町の一角へ。 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 03:04:50
スパーク @let_s_sparking

剣や杖を持ち歩く彼らは……誰だ? スパークは急激な変化に思考がついて行かず、とにかく落ち着こうと先程までの出来事を思い出そうとする。 ピンクの髪をした碧眼の女性――フィロ。 彼女はどこに消えたんだ? #ユニゾンリーグ

2015-09-21 03:06:14
スパーク @let_s_sparking

あれは……あれは夢で、これも夢? 甲冑を身にまとう青年や、ローブを着た怪しげな少女、ファンタジックな洋装に身を包む人たちが行き交う往来の真ん中で立ち尽くす。 「うおっと!」 「!」 何者かに真正面からぶつかられ、その衝撃でスパークは吹っ飛んだ。 #ユニゾンリーグ

2015-09-21 03:07:12
スパーク @let_s_sparking

「おい、兄ちゃん。こんなトコでつっ立ってたら、危ねぇだろうが!」 大剣を背負う強面の大男は、地面に唾を吐き捨て立ち去った。 「……イタタ」 転ばされたスパークは、上半身を起こしながら衣服についた土埃を払う。 #ユニゾンリーグ

2015-09-30 01:36:51
スパーク @let_s_sparking

「彼の言い分も正しくないこともないけど、あんな言い方と態度はないですよね?」 スパークの頭上から声が掛かる。 見ると、瞳の大きなとても少年らしい少年が立っていた。 #ユニゾンリーグ

2015-09-30 01:38:08
スパーク @let_s_sparking

「大丈夫? 立てますか?」 差し出されていた小さな手を取って、スパークは立ち上がる。 「僕の名前は、はまん。ギルド・時空管理局のギルドマスターです」 異世界グランヴィーアのどこにでもあり、どこにもないロビーと呼ばれる街角を装った異空間で、2人は邂逅する。 #ユニゾンリーグ

2015-09-30 01:39:08
スパーク @let_s_sparking

無垢な少年の姿をした彼――はまんとの運命の出会いから、スパークの真の物語が始動する。 仮想空間『ユニゾンリーグ@オンライン』。 第2話『未定』に続く……のか(謎 #ユニゾンリーグ

2015-09-30 01:39:57