薬学たんの抗血小板薬講座(?)

薬学たんが抗血小板薬について連ツイしたものをまとめました! 一部ツイートは語弊を招くものであったり、誤字があったため、差し替えたものをまとめてあります
8
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

血管の内側の細胞は新たに酵素を作れるため、多少COXが阻害されても、さらにCOXを作ることができます! これらを踏まえて、アスピリンを少量投与した時と、アスピリンを大量に投与した時とでは、どのように作用が変わるのか考えてみましょう

2015-10-01 20:34:27
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

アスピリンを少量投与すると、血小板と血管の内側の細胞との両方のCOXが阻害されます しかし、血管の内側の細胞だけは新たにCOXを作れるため、トロンボキサンA2だけ作られなくなり、プロスタグランジンI2の生成はそこまで抑制されません よって、抗血小板作用が期待できます

2015-10-01 20:37:54
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

アスピリンを多く投与すると、トロンボキサンA2だけでなく、プロスタグランジンI2の生成をも阻害してしまいます よって、トロンボキサンA2が減ったことによる作用をプロスタグランジンI2が減ったことによる作用が相殺してしまいます

2015-10-01 20:41:02
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

よって、少量で抗血小板作用があるからとアスピリンを大量に投与しても、抗血小板作用が増したりはしないんですね また、アスピリン以外のNSAIDsはCOXを可逆的に阻害するため、抗血小板作用を期待して使うことはまず無いです

2015-10-01 20:45:58
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

アスピリンは、これまでにアスピリン喘息を起こしたことがある方、消化性潰瘍を罹患している方には用いることができません 副作用としては、胃腸障害が有名ですね

2015-10-01 20:49:57
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

ところで今、プロスタグランジンI2という物質がトロンボキサンA2と逆の働きをするという話がありました ということは、プロスタグランジンI2のような働きをする物質は抗血小板薬として使えそうですよね

2015-10-01 20:53:37
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

そこで、プロスタグランジンI2を安定化させたお薬もあります! ベラプロスト(商品名:プロサイリン)がそうですね! ベラプロストは経口投与できるように構造が工夫されています

2015-10-01 20:57:40
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

また、トロンボキサンA2は アラキドン酸 →(COXによる反応)→プロスタグランジン →(トロンボキサン合成酵素による反応)→トロンボキサンA2 という経路で作られます

2015-10-01 21:01:25
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

ですから、トロンボキサン合成酵素を阻害することで血液凝固を防ぐお薬もあります オザグレルやトラピジルというお薬はそういったメカニズムですね!

2015-10-01 21:04:55
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

さて、ここで大きく方向転換して、別のメカニズムによるお薬を紹介します! ここまでは血小板を活性化する作用を持つトロンボキサンA2を産生させないようにするお薬について見てきましたが、今度はトロンボキサンA2の血小板を活性化する作用を阻害するお薬です!

2015-10-01 21:11:44
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

先程もお話したように、血小板の活性化には血小板細胞内にカルシウムイオンが流入することが必要で、トロンボキサンA2はこれを促します では、血小板細胞内のカルシウムイオン濃度を下げれば、血小板の活性化を防ぐことができますね?

2015-10-01 21:20:41
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

細胞内のカルシウムイオン濃度に関する物質として、cAMP(さいくりっくえーえむぴー)という物質があります! この物質は、様々な細胞内で種々の働きを持ちますが、そのうちの一つとして細胞内のカルシウムイオン濃度を下げる働きがあるため、抗血小板薬のターゲットとしても使えます

2015-10-01 22:07:29
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

cAMPに関するお薬についても、図を作りました pic.twitter.com/rkjZgc0XLq

2015-10-01 22:38:47
拡大
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

まず、cAMPはホスホジエステラーゼという酵素によって分解されますので、この酵素の働きを阻害すれば、cAMPは分解されなくなるため、増えます

2015-10-01 21:27:15
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

シロスタゾール(商品名:プレタール)や、ジピリダモール(商品名:ペルサンチン)はこのメカニズムで作用します! ジピリダモールは心臓の血管(冠動脈)を広げる働きもあるため、狭心症の治療にも使えたりします

2015-10-01 21:30:05
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

また、cAMPはATPという物質からアデニル酸シクラーゼという酵素による反応で作られます よって、アデニル酸シクラーゼを活性化させればcAMPを増やすことができます

2015-10-01 21:33:22
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

このアデニル酸シクラーゼは、ADPという物質がADP受容体と呼ばれるタンパク質に結合すると、その働きを抑えられてしまいます ですから、ADPがADP受容体にくっつくのを阻害すれば、アデニル酸シクラーゼは活性化し、cAMPを増やすことができます

2015-10-01 21:35:51
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

そういったメカニズムによって作用するお薬は、チクロピジン(商品名:パナルジン)や、クロピドグレル(商品名:プラビックス)です! クロピドグレルは、チクロピジンをより安全に使えるよう改良したものです

2015-10-01 21:40:02
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

えーと、よく使われるお薬と、その機序については大体お話できたと思います 一口に血栓を防ぐといっても、このようにお薬ごとに違いがあるため、どのお薬が適しているか考えながら使い分けるんですよ!

2015-10-01 21:43:27
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

それでは、これで連ツイは終わります! ご清聴ありがとうございました 分からない点、用語がある方や、今回触れなかったお薬について知りたい方、修正すべき点や質問がある方は、リプライにてお伝え頂けると幸いです

2015-10-01 21:52:34