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soko_brakawani
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#SHF大戦 で原作未視聴の人がフィギュアと一緒にその子の出てる作品を履修するのってFGOでストーリー鯖を先に引いてたときみたいなモンなのかな
2018-02-08 12:45:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
オーブクロニクルから見て一目惚れしてなんとかお店に残ってたスペシウムゼペリオンを買った女子中学生と、放映時からずっと追ってて予約してからずっと楽しみにしてたジャグラーのアーツが届いたフリーターのお兄さん #SHF大戦
2018-02-08 17:33:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
家のルールは厳しくて、普通の家庭よりも少ないお小遣いの中で育った。 交際費は申請制。そんな時間など無かった私は、少ないお金を読書代にかけて過ごした。 高校生になってから、バイトをする事を許された。月に稼ぐお金はよくて3万円、けれども私はこれをどう扱えばいいのか分からなかった。
2018-09-30 16:42:46![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
その姿を見ていた両親にも思う事はあったのだろう。或いは、年の差──時代の差から生まれる物価か。100円のガチャガチャで育った私と、200円のガチャガチャで育った妹は、貰えるお小遣いの額も違っていた。 不満に思わないと言えば嘘になる。けれど妹は、交際費を頻繁にねだれるような子だった。
2018-09-30 16:44:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
私は自室で、古いキーホルダーを取り出した。これは遠い昔、今は連絡も取っていない友達と一緒に駄菓子屋前のガチャガチャで回したものだ。といえども、こんなに"女の子らしい"ものなんて今も当時も私は苦手で、結局お揃いにつけていたのは短い間だった。 妹に比べ、私の人生はなんて暗いのだろう。
2018-09-30 16:47:15![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
私だってあんな自由になりたかった。可愛いアイテムを買って、友達と談笑するような女の子に。お小遣いをねだっても許される娘に。 けれど私は今の私をそこまで嫌ってもいないし、きっと私が同じ事をしたら両親もきちんと応えてくれたのだと思う。そうでないのはただ単に必要なかったからだ。
2018-09-30 16:49:59![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
うじうじと頭の中で嫌な考えが渦巻く。どうしようもない嫉妬心。それを自覚してまた深く落ち込む堂々巡りだ。 とりあえず散歩に行こう、と私は思った。思って、30分かけて、ベッドから起き上がった。 適当にパーカーを被り部屋から出ると、そこには悔しそうな顔をした妹がいた。
2018-09-30 16:52:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「どうしたの」と声をかける前に、理不尽な優越感が喉へと湧き上がる。ああ、部屋から出なければよかった。妹は私を認識すると、問われる前に「なんでもない」と脇をすり抜けた。 なんでもないなら、いいだろう。元より彼女は私の趣味とは相容れないと思い、最近は部屋にすら立ち入らなくなった。
2018-09-30 16:54:40![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
向こうから避けるのならば、私が過剰に接触するまでもない。そう後ろ髪を説得したのに、 「一緒にゲーセン行く?」 などと、妹を振り向かせてしまったのだ。
2018-09-30 16:55:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
妹は私よりゲームが下手だった。この点に関しては、自分の時間を自由に使える私に一日の長があると言える。まあその与えられた時間をゲームに費やすか、はたまた化粧やおしゃべりに費やすかどうかは個人の選択だし、どちらが社会で優先されるかは分かりきっているのだけど。
2018-09-30 16:57:40![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
千円札を適当に突っ込み、払い出されたメダルをカップに分けた。 「いいの?」 「ダメ」 大型のメダルゲームは有り体な顔を晒すものだから、回るルーレットにも、落ちて来るメダルにも、私達は何の感触もない。ただひたすらに、出来ればゆっくりと遊ぶ。1000円の席代を稼ぐのだ。
2018-09-30 16:59:58![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「なんかあったの」 大音量に何回か負けながら私は聞いた。 「家のことでしょ」 「なんで?」 「外で嫌なことあったら、あんなに露骨にしないし。それか思いっきり喋るでしょ」 「そう?」 「うん」 ジャラジャラとメダルが落ちて行く。もちろん、機械の中にだ。アホくさ。
2018-09-30 17:03:02![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「欲しい奴があったんだけど、どうしても買えなくて」 「断られたんだ?」 「うん」 「何円くらい?」 「数千円。送料込みで7千円くらいかな。来年の春に発送だって言うんだけど」 「その頃には高校でしょ、働いて返すって言いなよ」 「言ったけど、無理だって」 「なんで?」 「バイトダメだから」
2018-09-30 17:06:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
一瞬、理解ができなかった。高校生の頃なら働ける職なんて限られている。そしてその大概は妹にとって天職だろうに。私を許して、妹を許さない意味がわからない。 「ほら、私、あんまり成績よくないから。うつつを抜かしちゃダメだって」 「週一、二ぐらいなら平気でしょ、これまで──」
2018-09-30 17:08:34![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
遊んできた時間を、バイトに変えれば同じ事じゃん。 そう言う前に、隣の彼女は唇を噛み締めた。その時、私はようやく気が付いたのだ 。問題は物が買えないことじゃない。彼女も彼女でまた戦っていて、そこで負けそうな事。そして多分、長らくの話……私が重荷だったりしたのだ。
2018-09-30 17:10:50![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「将来になんの役にも立たないから、だからダメだって。それより私は……いい大学に……行けって……」 ゲーセンという選択肢は正解だったなと今更に思った。他の客は目の前の筐体に目を奪われて、今ここで半泣きになっている女の子がいることに誰も気が付かない。
2018-09-30 17:13:11![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
私は妹よりも成績が良かった。それは自他共に認める点である。けれど、別にそれはトップという訳でもなく、中途半端な『良成績』と比べ物にならないほどに妹の交友関係、そしてそれに伴うり努力の方が素晴らしいと思っていた。 確かに彼女は勉強が苦手だ。今回の高校受験は志望校のレベルを落とした。
2018-09-30 17:15:45![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
けれど、 「そのまんまで言われたんなら中々の当てつけじゃん?」 更に口を引き締めて、懸命に堪える妹。ああ、なるほど。 つまり私はこのために姉だったのだ。 「とりあえずメダルやろ」 彼女の手に握らせて、私も残りのメダルを落として行く。それが収益になるのかは二の次だ。今はお金を使う。
2018-09-30 17:18:09![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
幸いにも、このゲーセンは近所では1番の大きさである。競馬ゲーム、体感ゲーム、格ゲー、音ゲー、レースゲー、なんでもある。 「ゲームしよ、とにかくゲーム。憂さ晴らそう」 「でも……」 「いいの、なんも変わんなくても。私はお金使うの下手だから、趣味もそうだし、こんな事にしか出来ないけど」
2018-09-30 17:20:11![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「でもね、楽しい事にはどんどんお金を払ってこう。前みたいに2人でゲームしようぜ」 「それ、いっつもお姉ちゃんが勝つじゃん……」 音ゲーの台に引っ張られながら、妹はちょっとだけ笑った。
2018-09-30 17:21:36![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
──というわけで。 目の前にチョコンと座った"彼女"に向けて、私はこう締めくくる。 「なんやかんやあって、あなたはここに来る事になったのでした」 「でもこの場合って、持ち主はどうなるの?私?それともお姉ちゃん?」 「あんたに買ってあげたんだから、あんたでしょ。私は名前も分かんないし」
2018-09-30 17:23:41![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「えー、覚えてっつーの、お姉ちゃん!」 妹は"彼女"──多分女の子──の手を取り、彼女もまた実に可愛らしくお辞儀をして、自己紹介をした。 「ポッピー!ポッピーピポパポが変身する、仮面ライダーポッピーだよ!」 「……お酒みたいな名前だな……」 「ちーがーうっつーの!」
2018-09-30 17:25:30![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「暴れんなよ私の部屋だよ!!」 「少しくらいゴタゴタしても平気でしょ!あーんな人形置いといて!」 妹が指差すのは、私が本棚に飾っている怪獣フィギュア達だった。かつては気味悪いと近付きすらしなかった癖に、「あーんな人形」にはランクアップしたらしい。
2018-09-30 17:28:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「いーじゃんほっといてよ!人のこと言えないじゃんお前さあ!」 「ポッピーと一緒にしないでよ!ポッピーめっちゃ可愛いんだからね?!変身前もめっちゃ可愛いんだからね?!モサモサには分かんないだろうけど!」 「うっせえ厚化粧女!化粧の匂いがキツイわバーカバーカ!」
2018-09-30 17:30:53![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「ハァァ〜〜〜???意味わかんないんだけど?!意味わかんないんだけど?!そりゃ化粧しない人には分かんないでしょうねごめんなさいねーー!!」 「普段から顔に塗りたくってる妖怪だから、五感麻痺してんじゃないのォ?!」 「妖怪?!どっちが妖怪だよモサモサ!」 「すっぴん晒してから言え!」
2018-09-30 17:32:51