冥界の昔話

小路（こみち）/リンネ(PPP)/霧依(TW7) @Fal_com_pbw

「おじいちゃーん！なにかお話してよ」「そうぢゃのう・・・では今日は暗黒の歴史に包まれたコミュニケーション軍事ゲーム、キングダムオブカオスのお話をしようかの・・・」

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そもそもの始まりはスペクトラルフォースという作品があってぢゃな。ネバーランドという世界を舞台にした、それはそれはキャラクターと設定が練りこまれたとても面白いゲームがあったんぢゃ。なおシステムはドラゴンフォーｓうっ、頭が

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システムは嫌いではなかったけれど、むしろ個人的には面白かったけど。なによりもその世界観と設定に対してのファンがとても多い作品だったのぢゃ。その頃は多数のファンサイトも存在しており、思いつき工房といわれることもなかったのぢゃ

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やがてその設定は愛しき邪悪という作品の登場の後にユーザーに開放されることとなったのぢゃ。それがキングダムオブカオスというゲームでな、その魅力的な世界観で生活できるゲームということ、またスペクトラルフォースの世界観で覇権を争えると皆が期待に胸を躍らせたものぢゃ…

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当時はADSLもなく、ダイヤルアップ。そして夜間に使えるテレホーダイのみが頼りという状況。深夜枠に集中し、そこを中心にコミュニケーションも広がる。そのはずだったのぢゃ。　youtube.com/watch?v=WflkFU…

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そして満を持してオープンした日。たくさんのファンが雪崩れ込み、キャラクターを登録しようとしたのぢゃ。そこに天から降り注いだのが「pgコネクトエラーです」のお告げ。そう、サーバーは大量のファンに耐え切れなかったのぢゃ…

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pgコネクトエラーはとても恐ろしい力でな。人々は凄まじい重力に活動することもままならなかったのぢゃ。そこでユーザーはまず、サテライトサイトを作り、そこに避難することで難を逃れたのぢゃ。これが最初の悲劇、「サテライトが本体のゲーム」のはじまりぢゃ…

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サテライトに避難した人々は当時流行っていたなりきりチャット、通称なりチャと同じ要領でロールプレイをしつつコミュニケーションを行っていったのぢゃ。この頃はとても穏やかでな、それぞれが世界観の一部であることを楽しんでおったのぢゃ。サテライトだけど。

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一方本体であるキングダムオブカオスはとても病弱な子でな。日中でも1アクション行うのに30分などザラぢゃった。そしてシステムも最低限の掲示板、勤務と称するデイリーアクション、そして40カ国の国の国王となる権利が存在したのぢゃ。

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最初にログインした人々はまず玉座を目指し、pgコネクトエラーと叫ぶ半裸を掻い潜り突き進んだのぢゃ。そうして40人の王がネバーランドに降り立ったのぢゃ。

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40人の王はそれぞれの国是を掲げた。覇権を狙うもの、平和なコミュニティを掲げるもの、緑を大切にと謳うものなど様々ぢゃった。40も人がいればそれぞれの国是もある。当然の成り行きぢゃった。

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ここで、国王の持つ権利の一つ。【開戦】機能が登場する。他国に対して攻撃を仕掛ける事のできる権利ぢゃ。ただし最初の一ヶ月は試用期間。無敵時間となっており、攻撃してもダメージは与えられない状態ぢゃった。なおサーバー状態が改善したのは3ヵ月後であることをここに併記しておこう。

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だが、王にとってはそのようなことは関係ない。戦いたいときに戦いたい場所へ戦う。無敵時間であろうとも開戦する、そういう王も多数いたのぢゃ。それは当然の成り行きぢゃった。だがここで衝撃の事実が発覚する。攻撃の射程の問題ぢゃ。

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スペクトラルフォースにおいては開戦は隣接した国に行えるものぢゃった。当然立地による有利不利も存在したわけぢゃが、なんとキングダムオブカオス（以下KOC）においてはこの射程の概念が存在せずどの国でも殴れたのぢゃ。これは後にICBMと呼ばれる現象で、改善されたのは1年後ぢゃった。

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その結果、無敵時間など関係ないぜヒャッハーとばかりにそこらじゅうの国が開戦することとなったのぢゃ。各国の状態は開戦状態が大量に発生し、軍事国家も平和主義も全て巻き込んで大陸を開戦中の赤い背景つき文字で埋め尽くしていったのぢゃ…

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だが一週間ぐらい経ったころ、全ての王が気づいたのじゃ。「あれ？これpgコネクトエラーと戦う苦しみを味わうだけでなんの意味もなくね？むしろただの苦行じゃね？」とな…

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その不毛さに気づいた王達は全員ではないが会談を（サテライトで）開き、とりあえず無敵時間がなくなるまでは休戦しよう。ということになった。最初の平和が訪れたのぢゃ…

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さて、このようにして一時の平和が訪れたわけぢゃが。他の問題が続いて噴出してくるのぢゃ。ユーザーの全てが気づいた問題。それは・・・「あれ？このゲームもしかしてシステム的なこと何も存在してなくね？」という事実ぢゃ。

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そう、KOCには何もなかったのぢゃ。先ほども言った王の権利、開戦。それ以外では攻撃築城などの勤務、掲示板での発言、お金をためてランクの高い家を建てようとこつこつ勤務してお金を貯める。それ以外ないことに全ての人々が気づいてしまったのぢゃ…

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しかもサーバーちゃんの弱さによって、その掲示板すらまともに運用することは困難。だが人々は知恵を持っておった。皆はサテライトチャットでRPをして遊ぶことで世界観をどんどん堪能し、どっぷりとKOCに耽溺していったのぢゃ…本体を置いてけぼりにしてな…

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ここで補足しておくことがある。KOCにおいて唯一優れていたシステムがあってな。キャラクターの顔イラストをユーザーがアップデートできる、という機能があったのぢゃ。その為、絵の描ける人に頼んで顔絵を描いてもらうという文化が出来上がったのぢゃ。それが絵師の始まりぢゃった。

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この絵師というシステムは優秀でな、PBWなどに繋がるイラスト発注システムの先祖とも呼べるものがそれぢゃった。そして絵師をきっかけにめきめきと頭角を現す人々もおったのぢゃ。需要によって上がる画力でな。PBWにもいるRAW絵師、かの有名なpako絵師もKOCで頭角を現した絵師ぢゃ。

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絵師はやがてPLスキルという固有スキルによって、KOCにおいて独自の権力を持つようになる。ゲームマネーでイラストを取引するようになり、個人が国家以上の財産を持つ時代が後に訪れ、絵師に権力者が頭を垂れる時代もきたのぢゃが、それはまた別の話としておいておくとしよう。

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また権力者がその地位と国王特有の高収入を駆使して絵師を囲い込み、たくさんの顔絵を手に入れるサロンのような物事も横行したのぢゃ。その筆頭はあたしだったのぢゃが、それもまた黒歴史としておいておくとしよう。

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話を戻そう。やがてそのサーバーも改善の兆しが見え始めた。本体が軽くなり、掲示板も書き込めるようになってきたのぢゃ。それによって内部の掲示板での活動も増えてきた。サテライトと平行して本体も蘇りはじめたのぢゃ。それがクソスレの始まりであった。