荒木優太「反偶然の共生空間」感想集
- arishima_takeo
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結論に出てくる「自生するフィクション」という言葉も、野に咲く名もなき花というか、未開の地を切り拓くオルタナティブな表現への呼びかけのように響く。
2015-11-05 23:20:04ロールズによる反偶然の共生空間はあくまで事後的な補償であって、現実の偶然に対しては根本的に無能であるという(論文中では「偶然のパラレルワールド」という形容が登場)。結論で謳われる他者への想像力は、パラレルワールドの構造に具体的にどのように食い込んでいくだろうか。
2015-11-05 23:21:14荒削りな箇所はいくらか見られるのかもしれないが、愛や正義といった厄介な概念を鷲掴みにする果敢さに打たれた。机上の空論じゃなくて、現実に生きる人間を鼓舞する言葉の力がある。読んでいて、現実とフィクションを結ぶ回路はこういう文章から見出せるのかもしれない、そう思った。
2015-11-05 23:22:53岡和田晃さんに拙論を評して頂きました。『図書新聞』2015年11月14日号。曰く、「絶望が足りない」。よーし、絶望するぞォー! pic.twitter.com/npLocoCwtv
2015-11-09 13:05:14そういえば、「群像」新人評論賞受賞作の『反偶然の共生空間~愛と正義のジョン・ロールズ~』をやっとななめ読みした。たしかに「うーん…」という感じであった。愛という根源的な偶然性の前に正義の人ロールズは敗北するという筋で読んだけれど、愛と正義の二分法を揺るがすには至っていなさそうだ。
2015-11-08 00:06:25ロールズが生きた時代や、彼の従軍経験などを考えたら、俺だったらとてもじゃないけれどこの評論の着地点にはたどり着けない。彼の経験、つまり「反偶然」たる議論の裏側を抜きにして、愛という偶然性に対するロールズの「敗北」を描くことは、まさに「暴力」的でさえあるのではないかと思う。
2015-11-08 00:28:23なんか一度つらつら書いたけれど、どうもいろいろ納得いかなくてほとんど消してしまった。あとでもう一度選評(まだ読んでない)から読み直してみようかしら。ところで著者の荒木さんの「受賞のことば」はじわじわ来る。なぜ詫びてるんだろうか。でもこの気持ちはなんとなく分かってしまう…。
2015-11-08 00:47:20