『爆破計画 之 夢』【夢の話１９】

天晶 @tensyou99

前段階になんか色々あったような気がするけど忘れました。 自分は重い金属製の扉に勢いよく体重をかけて、開ける。隣には大きな荷物を持った男がいて、２人で同時に外へと転がり出る。 扉の向こうは屋上だった。すぐに離陸できるようにだろう、２台のヘリのプロペラが回り始めている。 #夢の話

天晶 @tensyou99

渦巻く風が、髪やら服やらを乱し、自分はあまりの風量に目を細める。 ヘリの一台には敵方の社長やら因縁の黒幕やらが乗り込もうとしているところだった。もう一台の方には子供を抱き抱えた女性が、屈強な男達に無理矢理乗せられようとしている。 #夢の話

天晶 @tensyou99

女性が抱えている子供は寝ているようにぐったりとして動かない。一緒に大きめの荷物も積み入れられている。 遅かったなっ。と、自分の姿を認めてヘリに乗り込む足を止めた黒幕が、プロペラ音にかき消されないように大声で叫んだ。同時に女性の頭部に銃口が当てられる。 #夢の話

天晶 @tensyou99

自分は女性の名前を叫ぶ。続けて、そんなクソガキ捨てちまえっ。と叫んだ 女性の瞳が一瞬、自分を映した。しかし、すぐにヘリの中へと子供諸共引きずり込まれる じゃあな、と自分に向けて黒幕が振った手がもう一台のヘリの中へと消える 自分ともう一人の男を屋上に残して、ヘリが離陸した #夢の話

天晶 @tensyou99

舌打ちを一つして、自分と男は少し離れたところにあるロープめがけて地面を蹴った。そこそこの高度に達したヘリから何かが屋上へと投下されるのが目の端で確認できた。 ロープはすでに消防隊が垂直降下に使用するクサビに縛り付けてあった。迷わずロープを左手で握り、屋上から飛び降りる。 #夢の話

天晶 @tensyou99

爆音と共に屋上全体が炎で満たされた。背中に爆風を感じるか感じないかのところで、落下と振り子運動が始まる。すぐに外壁が間近に迫った。 体の向きをうまく調整して、どうにか壁に激突せずに壁への衝撃を足で吸収する。 #夢の話

天晶 @tensyou99

しかし、下方向へ継続してかかっている力のせいで靴底が音を立てて削れていく。左手にハメてある革手袋も穴が開く寸前だろう。 しばらく心臓に悪い時間が続いた後、何とか止まった。ため息を付き、隣を見ると、男が自分と同じような体勢でロープを掴んでいた。 #夢の話

天晶 @tensyou99

別の方向に、視線を投げる。ヘリが飛んでいった方向だ。２台のヘリは高度をほぼ同じに、別々の方向に向かっていた。ヘリの種類からして、左が社長と黒幕が乗ったヘリ、右が女性と子供と荷物が入れられたヘリだろう。 #夢の話

天晶 @tensyou99

さて、十分すぎるほどのお膳立てをしてやったんだ。自分はヘリから男に視線を戻して続ける。 外すなよ？　自分はそう言って、にやりと笑みを浮かべた。 #夢の話

天晶 @tensyou99

誰に言っているんだ？　そう言いながら、男はずっと片手を塞いでいた荷物から保護及び目隠しの布を外して持ち直す。そして、構えた。 ロケットランチャー。 #夢の話

天晶 @tensyou99

右の、女性達が乗ったヘリが、僅かに視認できる程度に揺れていた。目を凝らしていると、ヘリのドアが開くのが見えた。女性の髪が激しい動きを伴いながら外へとはみ出る。それのほんの少し後、３本の指を立てた手が外にでた。 それが、合図だった。 #夢の話

天晶 @tensyou99

撃てっ。と自分が言う。ほぼ同時に響く爆音 弾は真っ直ぐに、ヘリとヘリの真ん中あたりに飛んでいく。そして、ヘリの距離に追いつくと同時に２つに割れて、左右別々の方向に飛んでいった 左の弾は黒幕達が乗ったヘリに、右の弾はたった今、ヘリから飛び降りた女性に向かって、飛んでいく　#夢の話

天晶 @tensyou99

女性の腕の中に、子供はいない。きっと女性を無理矢理ヘリに乗せた男達は驚いているだろう。女性が子供を手放すなんて思っても無かったはずだ。 左のヘリに弾が命中し、爆音を立てて炎の塊となった。 #夢の話

天晶 @tensyou99

まあ、社長はともかく黒幕の野郎は逃げてるだろうなと思いながら右の方に目をやると、女性が物凄いもこもこした何かに包まれた状態で落下傘に吊され、地上へと降りていっていた。どうやらこちらも弾が命中したらしく上手くいったようだ。 #夢の話

天晶 @tensyou99

さてと。と、ため息を付きながら塞がっていた自分の右手を、女性が乗っていたヘリへと伸ばす。 まさか、さ。誰に言うでもなく続けながら、自分は再び笑みを浮かべる。 まさか、この俺が逃がすと思っている訳じゃ、ないだろう？　 そう言って、自分はヘリに向けたスイッチを、押し込めた。 #夢の話

天晶 @tensyou99

轟音と共に、右のヘリが左のヘリよりも遙かに大きい炎と化す。 あの荷物を奴らに渡すわけにはいかなかった。だから、女性にわざと捕まってもらった。 あの子供の形をした爆弾で、荷物を復元不可能にまで破壊するために。 #夢の話

天晶 @tensyou99

自分が女性に言った、子供を捨ててしまえというあの言葉は、事前に決めていた段取りの中でも今この段階で爆弾を爆破させるという合図だった。それと同様に、女性が３本指を立てた状態で腕をヘリの外に出したのも、あと少しで飛び降りるという合図だ。 #夢の話

天晶 @tensyou99

そして、その合図で自分は隣の男に、女性を救出するための特殊弾と左のヘリを爆破するための弾を合わせた複合弾の発射を指示したのだ。 ヘリの残骸に混じって逃げ延びているであろう黒幕のことを思い、消し飛ばした荷物のことを思い、苦労して作った子供型爆弾のことを思い、ため息を付く #夢の話

天晶 @tensyou99

ギリギリ痛み分け…ってところか。自分がぽつり呟くと、隣で窓から建物内に入ろうとしていた男が、同意とも否定ともとれるように、小さく肩をすくめた。 #夢の話

天晶 @tensyou99

そこで終了。 　 寝起きの頭ではなんか００７っぽいなと思いましたが、書き起こしたらそんなに００７っぽくないですな