某温泉泊地の日常その2

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

鉄礬土を捏ねる空母たち、赤城・加賀。彼女たちは出撃に備えて、鉄礬土の塊を砕いて、粉にし、石油を入れて粘土状にし、それをこねて艦載機の矢尻を作る。航空母艦娘の朝は早い。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

「いい感じに練られましたね。」 「今朝は200機分、二回分のストックよ、赤城さん。」 しっかりこねられた鉄礬土の粘土は妖精が活動する上で非常に良質な航空機を作る上で必須である。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

この二人の艦載機発着艦は鳳翔流、つまり空母弓道である。鉄礬土を矢の先に付けて飛ばす事で艦載機を発艦させるのであるが、そのための仕込みとして、よく捏ねられた鉄礬土を用意する必要がある。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

そして鉄礬土の粘土をそれぞれの機体の攻撃手段をイメージした形状（戦闘機は機銃をイメージして細く鋭く、攻撃機は魚雷、爆撃機は爆弾。偵察機は鏑矢）の矢じりに取り付け、弓を射る事で発艦する。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

だいたい練度の高い空母は一日に200機分の鉄礬土の粘土を作る事が出来るが、これは自動化するとどうもうまくいかない。艦娘念力を込めて、手作業でやらなくては良質な鉄礬土の粘土は出来ず、艦載機は飛ばせないのである。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

このうち、この工程に最も時間がかかるのが鉄礬土の練りである。この良く練られた鉄礬土がなければ、矢じりの成形がうまくいかず、思ったように発艦できない。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

逆に、鉄礬土の練りさえしっかりしておけば、矢じりの成形はおにぎりを握る感覚で十分に仕上がる。焼き入れも新型のオーブンを使えば10本を5分で焼ける。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

決して彼女たちは鉄礬土を食べて艦載機を吐き出しているのではなく、このような丹念な作業を空母娘自身が行う事で、艦載機は補充されるのである。尤も、これは我が泊地の鳳翔が当地の瀬戸物の工程を見て思いついた方式であり、他の基地の者はどうしているのかは不明。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

一説には食べて吐き出す場所もあるという。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

さて、問題はなぜ彼女たちは鉄礬土に似ていると云う理由で日切焼など太鼓饅の類を摘まむのか。基本的に空母はこの朝の仕込みがあるために活動時間が長い。その作業のために腹が減るのは確かなので、間食は多めに支給している。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

そして、龍驤は地産の妖精を馴らし、鳳翔は大女将、そして赤城・加賀はいかなる局面でも発艦できるようにと、考えうる様々な体勢から弓を撃つ訓練をしている。常に空母は訓練か業務の中にある。その中での間食も支給している。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

体力を使う分、多めに食事も出している。 にも関わらず、相変わらず司令官私費のおやつが掠め取られる。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

この原因は何かと思案するも、今だ解決には至らない。そのため、これは単なる銀蝿であると勝手に結論づけている。こと加賀は艦内の治安が悪く、銀蝿が特に横行していたため、その癖があるのではないかと考えられるが………。

筆寫近衞（きんえい） @CurseJewelDemon

鉄礬土（てつばんど、ボーキサイト）：酸化アルミニウム（Al2O3）を 52% - 57% 含む鉱石である。ギブス石 (Al(OH)3)、ベーム石 (AlO(OH))、ダイアスポア (AlOOH) などの水酸化アルミニウム鉱物の混合物。アルミニウムの原料である。 wikipedia