ペルソナ(仮面)を自ら被る若者たち
- ShinShinohara
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ある若者から「自分は友人の中ではいじられキャラ。でも実はいじられることが不愉快でたまらない」と相談を受けたことがある。私はその時、ペルソナ(仮面)という話をした。
2015-10-20 17:35:33人間の性格はある程度固定化したもので、誰から見ても嫌な奴は嫌な奴、面白い人は面白い人、と思われがち。しかし実は相手によってペルソナ(仮面)を付け替える。家族に対しては物静かなペルソナ、友達には明るくはしゃぐペルソナ、先生には優等生っぽいペルソナ、といったように。
2015-10-20 17:38:22テレビの前では非常に面白く明るい漫才師が、私生活ではひどく気難しくて寡黙だったりする。テレビ向けのペルソナと、私生活でのペルソナは違ったりするのだ。
2015-10-20 17:39:13いじられキャラで苦しんでいるその若者も、自ら進んでいじられキャラのペルソナをかぶっていた面があった。不愉快な思いをするそんなペルソナをなぜ、自分から進んで被るのか? 「慣れている」からだ。
2015-10-20 17:40:17いじられキャラのペルソナを長らく被ってきた人は、いじる人間にどういう言葉を返したらほどほどの被害で済むか、内側に沸いた不愉快な感情はあとでどう処理したらよいか、経験則が自分の中に積み重なっている。どう処理すればよいのか分かるから、つい慣れで同じペルソナを被ってしまう。
2015-10-20 17:42:56もしいじられキャラとは別のペルソナを被ろうとすると、不安がある。男らしいふりをした場合、相手の反応は違ったものになる。すると、経験則が通じないのでどう対処したらよいのか分からない。対処の仕方が分からないくらいなら、慣れたペルソナでやり過ごそう、ということになってしまう。
2015-10-20 17:44:27未知に対処する不安よりは、不愉快でも既知の対処法で処理できるペルソナを選んでしまう。こうしてペルソナは固定化していく。
2015-10-20 17:44:58ある程度付き合いが長いグループ内では「キャラ設定」が成立する。このグループの中ではこいつはこうした役回り。こいつはこのポジション。そうした立場に合わせてみんな「ペルソナ」を形成していく。そのペルソナをやめると集団の秩序をシャッフルすることになり、対処法が分からなくなる不安がある。
2015-10-20 17:47:00私はその学生に「そのペルソナを脱いでごらん」とアドバイスした。自転車で日本一周旅行をしてもよい。全然違う趣味を始めて、全然違う人と交流する形でもよい。全然違う人間関係の中で、全く違うペルソナを被って実験してごらん、とアドバイスした。
2015-10-20 17:48:19自分の望む新たなペルソナが「明朗闊達な性格」なら、役者になったつもりで演じ切る。新しいペルソナを被った君に、相手はこれまでにない反応を見せることだろう。すると、未知のその反応にどう対処したらよいか分からず、つい弱気になって元のペルソナをかぶろうとしてしまう。そこをぐっと我慢。
2015-10-20 17:50:10新しいペルソナを被った実験を重ねると、失敗を重ねながらもそれなりに相手の反応にどう対処したらよいか、これまでとは全く別の経験則が積み重なる。そうしたデータベースから、「明朗闊達な性格」というペルソナ維持に役立つ対処法が分かるようになってくる。楽になれば、そのペルソナに血が通う。
2015-10-20 17:51:52新しいペルソナに慣れてくると、それはやがて自分の性格の一部になり、必ずしも仮面とは言い切れないものになる。明朗闊達な君に、徐々に生まれ変わっていく、と。
2015-10-20 17:53:00高校進学や大学進学、就職を機に、自分を変えたいと思う若者は多い。全然違う人間関係を築く際に、これまでとは別のペルソナを被って演じてみる。そうするうち、全然違う人格形成が可能になる。大きな変化を機に新たなペルソナを被るというのは、それなりに成功率が高い。
2015-10-20 17:54:50自分の性格はこういうものだと決めつけず、それはペルソナ(仮面)だと考え、別のペルソナをかぶってみる実験を重ねること。そうすると、新たな自分を発見することができる。
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