空想の街・ハンツピィ'15 一日目 #赤風車

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@La_trampara どうやら当たったようだ。常ならば客人の事情には深く入れこまないが、甘味となると一文字には別の話である。見せられた飴をみて、己の髪の組紐にある蜻蛉玉を思い出し、同時に #飴売 の青年も思い出した。「見事だな。宝玉のようだ」→ #飴渡り #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@La_trampara あの青年には会っていないが、もしかすればこの少年と思しき客人と仲良くなれるかもしれない。「有難くひとつ頂こう。実はだな、この街には緑の作務衣を着た飴売りのものがいるのだよ。今夜はいないようだが…お主と気が合うやも知れぬな」 #飴渡り #赤風車 #空想の街

遊稀🌸 @La_trampara

@nowhere_7 嬉しい情報を得た。彼が言うには、自分と同じように飴を売る者がいるらしい。「今度、会いに行ってみるね！」見上げた口に飴が消えていくのを見届けて木箱をしまった。気に入って貰える事を願いながら。「僕こそ。風車、ありがとう」 #赤風車 #空想の街 #飴渡り

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@La_trampara 「こちらこそ礼を言おう、商品は求めるものに買われていくのが一番だからな。俺は一文字という。何かあればいつでも言ってくれ」美味いな、と言い、飴を舌で遊ぶ。 シンと名乗った彼に別れの手を振ると、相手は律儀に振り返してくれた。 #飴渡り #赤風車 #空想の街

遊稀🌸 @La_trampara

@nowhere_7 一文字という名らしい彼が「美味いな」と呟くのが聞こえて嬉しかった。それと、名乗ってくれた事も。「じゃあね、一文字お兄さん」別れの手を振る一文字に、笑顔全開で手を振り返した。風車を一文字さんって呼ぼうかと考えたのは彼には内緒。 #空想の街 #赤風車 #飴渡り

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一方、こちらは、結局午後ずっと北区西区を歩き通しだった実華と洸太郎である。実華は時折洸太郎にポムの実を出すように言い、その内洸太郎は言われずとも出すようになっていた。 素面でこの浮かれよう、実華は酒豪だが、今夜はどうなるか分からない。洸太郎はそっと微笑んだ。 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

「洸太郎、他に店はないか？いや店があることは分かっとる！一面がきらびやかで――宴は明日だというのが嘘のようだ！」 普段バーへ通うとき、大体が洸太郎か商談相手と一緒の実華にとっては、人目を気にせず自由にできるのが楽しくてならない。 脇で洸太郎が地図を広げる。 #赤風車 #空想の街

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「ね、さっき道の人に教わったんだけど、深夜はここの馬頭琴さんってお店にしない？噂によると隠れ家風で浪漫溢れるお店みたいだよ」 ほう、と実華が細い顎へ手をやった。背中で虹色の翼が揺れている。 「でかした洸太郎。いいなァ、夜通し飲むぞ！うん、他にはないのか？」 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

「待って待って急かさないの」洸太郎はいそいそ地図を掲げ、やけに明るい街灯の下へ立った。そこへ煙草を切りながら実華が近づく。 「あのな洸太郎」 「ん？お店でしょ。もっとないかな」 「それもそうなんだがな、いいか、笑うなよ」 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

いつも妻は真剣そのものなのだが、やけに透き通った瞳に洸太郎は目をしばたたかせた。雨の夜風にふわりとした髪の中、羊の角が覗く。「どうしたの。ぼくが実華さんの言葉を笑い飛ばしたことなんてないじゃない、何でも言ってよ」 実華はそれを受けて数秒、黙っていた。 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

この街には子供がいっぱいいるな、 煙草に火を点けつつ実華はそんな風に切り出す。洸太郎も道中すれちがったひとびとを思い返した。確かに故郷の町よりも、子供が多いかもしれない。というよりは、子供が自由自在に出ていられる街なのだろう。 そこで実華の言は続く。 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

「私はな、この街をよく知る子供と話をしてみたいんだよ。何もここ出身じゃなくていい、ここで笑うことがどういうことか、教えてくれるやつに会いたいんだ。子供はその場所がどんなところか、いるだけで教えてくれる」 煙とともに視線をどこかへ流す実華に、洸太郎は見惚れる。 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

北区の大通り、まだ人は多い。雨だがそれを気にすることなく、虹色の翼で身を守るように実華は長いうわむきの睫毛を伏せた。 「そうだね――、ぼくも子供に会いたいな。何かこう、すかっと実華さんと一緒に遊べるような、笑えるような」けれどこんな夜だ。いるだろうか。 #赤風車 #空想の街

春木のん @Haruki_Non

北区の大通りまで来た。もう宴はおしまい？まだやってる？ うずうずと不安で、オオカミの尻尾はすっかり丸まってしまった。 誰かに声をかけて聞いてみようかな？ 「あの、すみません！」 @nowhere_7 #赤風車 #天真少年 #空想の街

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@Haruki_Non 「威勢のいい声がしたぞ洸太郎、聞こえたか！？今のは若いやつの声だきっとそうだ！」突如響いた問いかけに、水を得た魚のようになって実華はそちらを振り返る。「おーおーこんな夜更けに出歩きおって。出会ったのが我々でよかったな」→ #天真少年 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non 虹色の羽を飛ばして捲し立てる実華を燐寸の箱で黙らせ、洸太郎は羊の角を振りながら声をかけてきた少年に向き直る。「びっくりさせちゃったね、ごめんね。どうしたの？道に迷っちゃった？」 見慣れぬものに乗っている。尻尾があるようだ。 #天真少年 #赤風車 #空想の街

春木のん @Haruki_Non

派手な色の翼を持ったお姉さんと、ほんわり優しそうな羊のお兄さんに、俺は宴について聞いた。 「すみません、僕は天真と言います。あの、ハンツピィの宴はまだやってますか？お腹すいちゃって…」二人の前で、腹の虫が悲しく鳴いた。 @nowhere_7 #赤風車 #天真少年 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non 「何だ何だそうしょぼくれるなよ！敬語も使わんでいい」実華は笑い飛ばすと煙草と燐寸を消して携帯灰皿へ押し込んだ。それを背後で受け取り洸太郎が言う。 「ぼくたちが早く食べちゃっただけなんだよ。宴の本番はね、明日の夜なんだって」 #天真少年 #赤風車 #空想の街

春木のん @Haruki_Non

「えー！明日なんですか？！」 ハンツピィの宴に来たのは２回目なのに、すっかり日にちを間違えていた！オーマイガッ！ すっかりショボくれた俺を、お姉さんは可笑しそうな、お兄さんは可哀想な目で見てる。気がする。ぐううう。 @nowhere_7 #赤風車 #天真少年 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non 「ああっと、おなか減ってるんだね、ちょっと待ってね」洸太郎はしゃがんでトランクを開く。→ #天真少年 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non 「はい、今は大福しかないんだけどもいいかな。大丈夫、傷んでないから。雨だし早めにご飯食べるんだよ」洸太郎が少年に大福を渡し、実華も話しかける。 「天真とやら、私は実華だ。連れは私の夫でな――洸太郎という。仲良くしてくれ！」 #天真少年 #赤風車 #空想の街

春木のん @Haruki_Non

「わあ！ありがとうございます！」 洸太郎さんというお兄さんは見た目も中身もすごくイイ人だ。だって大福くれたから！ 「こちらこそ、よろしくお願いします！」 実華さんは豪快？うん。洸太郎さん頑張って！と心の中で応援したくなる。 @nowhere_7 #赤風車 #天真少年 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non 「併しなァ――天真とやら、街の行事を間違えるということはだ、我々のような旅行者か？まだポムの実も食べていないんだろう」大福を頬張る素直な少年に実華が語り掛ける。視線は尾に釘づけだ。洸太郎は嫌な予感を募らせるが、「失礼！」→ #天真少年 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non 間に合わなかった。実華の白い手はむんずと尾を掴んでいる。「実華さん、相手は食べてる最中の子供なんだよ、もう！ごめんね天真くん」 窘められても実華は止まらない。「矢張り作り物ではないのか、面白い！どうだ私の息子にならんか？」 #天真少年 #赤風車 #空想の街