ゆうさみ鎮その6 ～秋刀魚漁に出撃～

色んなゆうさみ @yubarisamidare

「夕張さん、そろそろお昼の時間終わっちゃいますよ？」 「え？ああ、もうこんな時間。」 工廠で作業をしていると、五月雨ちゃんがやってきて知らせてくれた。 「さ、早く行きましょう。」 あれ？ 「もしかして食べないで待っててくれたの？」 「はい！中々来ないので呼びにきました。」

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「先に食べててくれてよかったのに。」 「いいえ、ダメなんです。私がいないと夕張さん、いっつも一人で食べてますよね？」 「あー、誰ともタイミング合わないんだよねー。」 「ご飯は誰かと食べたほうが美味しいんですよ？」 「うん、五月雨ちゃんと一緒だといつもより美味しいからわかってる。」

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五月雨ちゃんの頬がほんのり紅く染まる。 「夕張さん、今日のお昼は何食べます？」 誤魔化すように五月雨ちゃんが聞いてくる。 「うーん、秋だから…秋刀魚が食べたい！」 「あ、いいですね！じゃあ秋刀魚にしましょうか。」 というわけで、二人で間宮さんに向かう。

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--- 「えー！」 秋刀魚がない。 「間宮さんが『漁場に深海棲艦が発生して漁が出来ないらしい』って言ってました。」 そう、品切れではなく入荷出来なかったらしい。 「どうしましょう？」 「もう気持ちは秋刀魚なの！」 「ないものはしょうがないですよ。」 「…よし！捕りに行こう！」

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「今からですか！？」 少し冷静になって考える。秋刀魚漁は夜だったはずだ。 「…ご飯食べてからにしよっか。」 改めて、二人でメニューを眺める。 『新作！ザンギ定食！』 「この、ザンギ定食ってなんですかね？」 「ん？ザンギはザンギよ？」 「？？？」 「じゃ、ザンギ定食にしよっか。」

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-- 伊良湖ちゃんがザンギ定食を持ってくる。 「ああ、唐揚げですか。」 「だからザンギだって。」 「どうみても唐揚げですよ？」 「唐揚げは唐揚げ、ザンギはザンギなのよ。まぁ、食べればわかるわ。」 うん、食べないとわかんないよね。 「「いただきます！！」」

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「ん！しっかりした醤油味にしょうがが効いてるんですね！！！」 「ほら、唐揚げじゃなくってザンギでしょ？」 「はい！でも、味付けが濃い目の唐揚げって感じですね。」 --- ザンギ定食を食べ終え、重巡寮へ向かう。 「どこに行くんですか？」 「わんぱく戦隊のところよ。」 「わんぱく？」

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作者注：わんぱく戦隊は勝手に言ってるだけです。

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4人部屋のドアをノックする。 「はーい？」 ドアが開き、古鷹が顔を出す。 「あ！夕張さん！！！」 古鷹の左目がパッと明るくなる。 この娘は感情が顔、特に左目に出る。 「ちょうどみんないる…けど、加古は寝てるか。」 お昼過ぎのちょうど眠くなる時間だから無理も無いか。

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「ま、いっか。第六戦隊のみんなにお願いがあるんだけど、いいかしら？」 「なになに、何の話ですかぁー？」 青葉が飛んで来る。あなたはもう少し落ち着きなさい。 「秋刀魚漁を手伝って欲しいの。得意でしょ？」 「う゛、なんで知ってるんですか。」 データもバッチリですから。

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「得意ってどういうことですか？」 五月雨ちゃんが尋ねてくる。 「私達、メウエパセージってところで魚と捕ったことがあるの。」 私が答える前に、古鷹が答える。 「あの時は、食欲がなくなるお魚さんばっかり捕れましたけどね。」 と、青葉。

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「それで、手伝ってくれる？」 古鷹青葉が顔を見合わせる。 「「はい！」」 …加古衣笠の意見は聞かなくてもいいのかしら？ 「衣笠もいい？」 一応、私から確認をとる。 「いいよー！」 衣笠は寝ている加古の頭を撫でながら返事をした。 加古は…起こすのは可哀想だからいっか。大丈夫だよね。

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-- とりあえず、協力の約束をとりつけ、五月雨ちゃんと工廠に戻ってきた。 「ところで、どうやって秋刀魚を捕るんですか？」 「爆雷でドッカーンっ！って行きたいところだけど、あの娘達はもう爆雷積めないのよね。」 「じゃあ私が爆雷担当ですか？」

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「いや、せっかくだし本当の秋刀魚漁みたいに集魚灯で集めて網でとりましょう！」 「わぁ、楽しそうですね！！」 「でしょ！？」 「私、網役やりたいです！」 「…重いよ？」 「やりたいです。」 んー、大丈夫かな…？

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-- ヒトハチマルマル。 酒保で（何故か売っていた）網を入手し、工廠に戻る。 工廠には既に第六戦隊の娘達が集まっていた。 「お、加古、ちゃんと起きてるわね。」 「あたしだって四六時中寝てるわけじゃないって！！」 それもそうか。 「じゃあ、作戦を説明するわね。」

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「まず、私が三式水中聴音機（ぎょぐんたんちき）で秋刀魚を探す。見つけたら古鷹青葉が探照灯（しゅうぎょとう）で秋刀魚を集める。」 「任せて下さい！」 古鷹が笑顔で答える。やっぱ、天使のような笑顔だよね。 五月雨ちゃんには敵わないけど。

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「秋刀魚が水面に集まったら、網で捕る。網は…」 「はい！！」 五月雨ちゃんが手を挙げながら返事をする。 「うん。五月雨ちゃんと、衣笠加古でお願いね。」

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「それで、どこの海域に行くの？」 と、衣笠。 「アルフォンシーノ方面かな。」 「それだったら装備もしっかりしないとね。」 それはもう考えてある。 「あなた達（第六戦隊）は『主砲×2、電探』ね。古鷹と青葉は加えて探照灯、衣笠加古は網を持つから空けといてね。」

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「五月雨ちゃん、綾波ちゃんから借りてきてくれた？」 「はい、ここにいますよー。」 五月雨ちゃんの手の中に妖精さんがいる。 「よしよし。あと、これを持って行って。」 「おにぎり…ですか？」 「うん、古鷹用ね。」 「わかりました。でも、これじゃあ攻撃出来ませんよ？」

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「あぁ、それでいいのよ。色々と考えたら、攻撃しない方が安全かなって思ってさ。」 「…それはどういうことですか、ゆうばりさん？」 あ、やばい。 「ちっ、違うの！！！待って、落ち着いて！！！」 「「「「あーあ、怒らせた。」」」」 そこの4人！そんなのでハモらなくていいから！

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「ごめんね、ちょっと舌っ足らずだっただけよ！私も、攻撃しないの！」 「どういうことですか？」 「五月雨ちゃん、この娘達と一緒に出撃したことなかったよね。」 「はい。」 「端的に言うとこの娘達だけで十分なのよ。むしろ、私達が攻撃参加してチームワークを乱すほうが危ないかな。」

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第六戦隊の錬度は鎮守府最高レベル。 魚捕りの経験というよりも、会敵した時のことを考えてこの娘達に頼んだようなものだ。 「それならそうと早く言ってください！」 ごめんなさい。 「ちなみに、私の装備は『三式水中聴音機、新型高音高圧缶、ドラム缶×2』。」 「ドラム缶？？？」

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訂正：三式水中聴音機→三式水中探信義。予測変換が悪い（

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「捕った秋刀魚を入れるのよ。」 「捕った後のことは考えていませんでした…。」 「だしょ？」 網を貰う時に明石さんに言われて気づいたんだけど、黙っておこう。

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-- フタサンマルマル。 旗艦の青葉を先頭に、アルフォンシーノに到着。 「さぁ、漁を始めましょうか。」 三式水中聴音機（ぎょぐんたんちき）で秋刀魚を探し始める。 「待ってください！」 「五月雨さん？どうかしましたか？」