相似と相同 〜動物の体の形と機能〜

動物の異なる系統間における相似な構造と相同な構造について具体例を交えて解説してみました。生物系の学生向け。なるべくわかりやすくは書いたけど。
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さめ @HONDA_27

「相似と相同」〜動物の体の形と機能〜 今朝のトピックはこちらでいきたいと思います

2015-10-30 06:53:34
さめ @HONDA_27

まずは言葉の定義から。生物学における、相似と相同はそれぞれ次のような意味です ・相似:異なる種において、同じ機能を持つ構造(ex.鳥の翼と蝶の羽) ・相同:異なる種において、同じ起源を持つ構造(ex.マグロの胸鰭と象の前肢) もう少し細かく解説していきますね

2015-10-30 07:00:03
さめ @HONDA_27

相似 例で述べたように、鳥の翼も蝶の羽も空を飛ぶのに使われています。つまり、同じ使い方をしている。ですが、鳥は脊索動物門、蝶は節足動物門。これらの種が共通祖先から分岐したのは数億年前と、遥か昔まで遡らなくてはいけません

2015-10-30 07:03:09
さめ @HONDA_27

鳥と蝶では体の基本的な形態、ボディプランがかなり違っていて、翼と羽の発生過程も全然別。つまり、この2つの構造が共有しているのは「空を飛ぶ」という機能のみなのです 故に、これらは相似構造であるといえるのです。ここまではオッケー? じゃあ、次に行くよ。相同のお話

2015-10-30 07:06:45
さめ @HONDA_27

相同 先ほどは相似な構造を機能から定義しましたが、こちらは特定の器官の発生的な起源、これで考えます どういうことかというと、例で出したマグロの胸鰭と象の前肢、ぱっと見全然別物ですよね? 形も違えば大きさも機能も全然違う。ですがこの2つ、発生初期においては“同じもの”なんですよ 笑

2015-10-30 07:11:55
さめ @HONDA_27

マグロと象は同じ脊索動物門に属し、どちらも有顎脊椎動物です。前者は条鰭綱(≒いわゆる硬骨魚類)で後者は哺乳綱ですね 脊椎動物のボディプランは基本的には共通していて、頭があって胴体があって四肢(魚では対鰭)があって、という形を共有していますね。もちろん背骨も持ってます

2015-10-30 07:17:08
さめ @HONDA_27

脊椎動物の胚(受精卵から生まれるまでの発生過程)は、実はある時期に非常に似通った形を示します。それこそネズミからトリからサカナまで、初見ではどれがどの動物の胚だかわからないレベルで このことが、またこれらの動物が同じ共通祖先を比較的最近に持つ、という証拠にもなってるんですけどね

2015-10-30 07:20:41
さめ @HONDA_27

それでは、マグロの胸鰭と象の前肢はどのようにできてくるのか? それらの付属肢の元となるのは、胚発生の途中で現れてくる肢芽(鰭芽)と呼ばれる構造です 一般的な脊椎動物の胚の図を示します。体側に2対現れる膨らみ、これが肢芽ですね pic.twitter.com/pPwqlvxt5B

2015-10-30 07:29:54
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さめ @HONDA_27

肢芽は徐々に腕や脚を、鰭芽は鰭を形作っていきます。完成系は全く別ものなれど、その起源は同じ。実際、転写因子などの遺伝子発現も同じで、見た目だけでなくつくり方も同じなんですね これが、相同な器官となります わかった?

2015-10-30 07:32:50
さめ @HONDA_27

てなわけで、脊椎動物の肢や鰭、これらはみーんな相同です。我々の腕も、コウモリの翼も、イルカの胸鰭も、全部一緒なのです。形も機能も別なのにね。でも、外見は違ってても骨の要素とか区分は共通してるんですよ。長くなりそうだから今朝は割愛するけどね

2015-10-30 07:35:05
さめ @HONDA_27

以上、相似と相同についてでした!ちょっと言葉は似てるけど中身は大きく違います。気をつけてね、生物系のみんな←

2015-10-30 07:36:51