『スペース•キャンサー物語』第二章『カニ、ギリシャへ行く』編

魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

『スペース•キャンサー物語』 第二章『 カニ、ギリシャへ行く』編 ① 大きな街小さな村…色んな所を台車は行ったよ。ワイが乗ったのは、行商人の台車やったんよ。台車の中の荷物には保存食の鮭とばがあったから、それをコッソリつまみつまみ食べましたわ。 ②へ続く

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② ちょっと塩っぱいし、エラにくるけど、今思い出すとまた食べたい味でしたわ。 ある日ワイは行商人に見つかってしもた。鮭とばをつまんどる所をタイミング悪くですわ。 「お前…何しとるん？」 ③へ続く

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③ ワイは、もうアカン思うた。年貢の納め時ちゅうもんがとうとう来たんかと…叩き殺される！ ワイは背中の両端を親指と人差し指でつままれて…あったかい肌色の板…掌の上やられた。あっけらかんとするワイの背中に再びニンゲンの指が触れた、でも背中をつままれた時よりその感触はやさしかった。

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④ ワイは生まれて初めてニンゲンに出会った。ニンゲンすなわちワイらカニ以外の動物と…仲良うなったんや。 ⑤へ続く

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⑤ ワイはソイツにいっぱい話をした、森でのこと、家族のこと…。 ニンゲンも聞いてくれたし、ニンゲンもワイにこれまで自分の行った場所の話をしてくれた。 話を聞いて、ワイはもっと広い世界を観てみたくなった。 「相棒、あのな…ワイ、決めたわ！」 ⑥へ続く

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⑥ 台車に乗って半年…ワイはそいつと別れた。両の目から相棒は涙っちゅう濃い塩水を流しとった…手振っとったね。ワイらはあんなもん出せまへん。でも、ちょっと苦しくなって…眼の間から変な泡出てしまったんすわ…アレ、涙の代わりやったんやろなぁ…。 ⑦へ続く

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⑦ その後、ワイは船にも乗ったし、こっそり台車にも、ロバにも、馬や犬、牛の背中にも乗っていった。 ⑧へ続く

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⑧ 10年以上が過ぎて、ワイは気がついたら、自分のいた小さな島国を抜け出して、大きな大陸を渡り、沢山の綺麗な白い石で建物がつくられた所に居てた。 「地図貰ったけど、ようわからん、場所の名前しかわからへんなぁ…」 ⑨へ続く

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⑨ 「『アテネ』ちゅうんか…漢字の国とは字がエライちゃうからなぁ…いや、こんなん慣れや…慣れんとあかんな！」 今までだってそうやったし…おっちゃん、がんばらな！ハサミでアゴ叩いてワイは気合い入れた。 「皆身体に布巻きつけとるな…アレ流行っとるんやろか？」 ⑩に続く

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⑩ 「慣れんなぁ…」 そう思って日々暮らしてたある時、一枚のパピルス（簡単に言えば、昔の紙のことやで）をひらった。その中でワイはある欄を見つけた、それは求人広告やった。 ⑪へ続く

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⑪ 『手先の器用さに自信あるもの。素早く走れる自信のあるもの、年齢問わず。子の刻（夜の11時頃）まで。』 ⑫へ続く

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⑫ ワイは指定された時間とその場所まで行った。大きな沼やったよ。 すると沼の真ん中からボコボコ泡を立てながら急に水飛沫（みずしぶき）を飛ばして何かが飛び出してきよったんよ。 「な…なんやっ！？」 ⑬へ続く

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⑬ しばらくして、そうして出てきた奴の正体が何であるかが分かったわ。それはーードデカイ龍やった。ウロコビッシリ、首沢山の…これがワイと仕事の上での先輩、いやそれ以上の仲、義兄弟の儀を交わすことになる、ヒドラ先輩との出会いやったんや。 第三章『めぐりあい〜沼』編に続く。