【Jamバンド】御手師マリー視点

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☪︎NeM @NeM_e_Ne

1 ぼくの名前は御手師マリー。今は高校に入学し、三日目の放課後を迎え、校門を目指し、歩いている。習い事があるのだ。 ぼくは別にその習い事が嫌いという訳ではない。物心がついた時からギターの稽古をしていたし、辛いと思ったこともない。ぼくにとってはごく普通のことなのだ。

2015-11-03 22:41:31
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 2 ぼくは下駄箱から靴を取り出した。靴を履いている時、ぼくは気づいた。急いで外へと駆ける生徒が多くいることが。 ぼくは外へと出ていった生徒を目で追った。どうやら第二体育館へと向かったようだ。

2015-11-03 22:50:15
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 1訂正 ギター → ヴァイオリン

2015-11-04 17:25:59
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 3 ぼくも体育館を覗いてみることにした。少しだけなら何も問題ないだろう。 ぼくは体育館へと歩を進める。何をやっているのだろう。 好奇心が増すにつれてその足は徐々に速くなる。それに伴って耳には何かの楽器の音が入ってくる。これは...ギター...?

2015-11-04 18:45:17
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 4 その音は不思議と心を踊らせた。気づいた時には、ぼくも他の生徒と同じように走っていた。こんな気持ちになるのは初めてだった。 程なくして体育館にたどり着き、その扉を開ける。自分で思っているよりも勢いよく、そして力強く。

2015-11-04 19:07:45
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 5 扉をくぐり、目に入ったのは、ステージの上で無我夢中にギターを弾く黄色い髪の女性だった。 ぼくは一瞬にして心を奪われた。その力強くも美しき姿に。その炎のように熱く、雷のように痺れる演奏に。

2015-11-04 19:41:34
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@the_smallest226 6 気づくと曲が終わっていた。そして黄色い髪の女性は言う。 「新入生のみんなー!入学おめでとー!今日はjamバンドのステージを聴きに来てくれてありがとー!存分に楽しんでってねー!じゃあ次の曲も!ぎゅんぎゅん行くよー!」

2015-11-04 19:53:22
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@the_smallest226 7 再び演奏が始まり、ぼくはまたその姿に見とれてしまっていた。 気づくとステージは終わり、体育館にはぼく一人だけがポツンと立ちすくんでいた。 ぼーっとした頭で体育館を見渡し、ぼくは考える。

2015-11-04 20:01:09
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@the_smallest226 8 ぼくは駆け出した。あの黄色い髪の女性に会うために。 ステージ裏にはいない。既に撤収した後だった。 ぼくはどれほどの時間、立ち尽くしていたのだろう。そんな事を思いながら学校中を走り回る。白い廊下がオレンジに染まる。

2015-11-05 19:30:14
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 9 下校したのだろうか。今日はもう会えないのだろうか。諦めかけた時、通りかかったある一室から話し声が聞こえた。 この声は、体育館中に響いていたあの声だ。扉を開けようとドアノブに手を伸ばす。伸ばした右手が震える。ので両手で力いっぱいドアノブを回す。

2015-11-05 19:40:55
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 10 「え、えっと。jam...バンド...で良いんですよね?」 「ん?いらっしゃーい。そう。jamバンドだよ。」 黄色い髪の女性はにこやかに答える。憧れの女性を前に体が小刻みに震えだす。

2015-11-05 19:48:08
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 11 ぼくの素直な気持ちを伝えなければ。ぼくの知らなかった、ぼくのこの気持ちを。 「あの...素晴らしい演奏でした。心躍るというか、燃えるというか...言葉では言い表せない、ぼくみたいな者が言葉で表してはいけない、そんな素晴らしい演奏でした!」

2015-11-05 19:56:50
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 12 「ありがとー!いやー、感想を言いに来る子がいるなんて思ってもいなかったよ!ん〜?あっ!もしかして入部希望者だったりする!?」 その言葉に、入部など全く考えていなかった頭は思考停止する。

2015-11-05 20:02:45
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 13 ぼくが固まっていると、ピンク色の髪の少女が話に混ざってくる。 「んー?なになにー?入部希望者ニョロ?」 「あっ、えっと、その。」 答えも出せずに唇が震えだした。すると、先程の少女の姉だろうか。ピンク色の髪をした女性がお茶を入れてくれた。

2015-11-05 20:04:52
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 14 ぼくが部屋を訪ねて数分しか経っていないというのに、なんという手際の良さなのだろう。 「無理に誘っちゃダメだよ。お姉ちゃん。」 ん?お姉ちゃん?今、この少女に向けてお姉ちゃんと言ったのか?

2015-11-05 20:06:44
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 15 「えっ?お姉ちゃんってどういうことですか?」 「あぁ、最初は分かんないよね。こっちのちっちゃいほうが姉で、おっきいほうが妹。」 「私がお姉ちゃんニョロ!」 少女は元気よく答える。

2015-11-05 20:08:45
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 16 「妹です。どうぞ座ってください。」 と、ピンク色の髪の女性はテーブルにお茶を置き、椅子に座るよう勧める。ぼくはそれに応え椅子に座る。 震える体を落ち着かせるためにお茶を口に運んだ。目の前には黄色い髪の女性が座り、再び話し始める。

2015-11-05 20:16:15
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 17 「あっ、そういえば自己紹介がまだだったね!私はギター担当の弦巻マキ。こっちが」 「ドラム担当の鼓リズムだニョロ!」 「キーボード担当の鼓カノンです。」

2015-11-05 20:21:09
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 18 「私とリズムが三年。カノンちゃんが二年だね。本当はもう一人三年生がいるんだけど、帰っちゃったね。」 マキ先輩はにっこり笑う。 「私は御手師マリーといいます。えっと先程の話なんですが、

2015-11-05 20:22:45
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 19 「是非、入部させてください!こんな気持ちになったの...初めてなんです!ぼくは、今日ぼくの中に生まれたこれが何なのか、それが知りたい...」 ぼくはマキ先輩の目をまっすぐ見つめ、素直な気持ちを伝える。

2015-11-06 20:14:35
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 20 マキ先輩は...ぼーっとしていた。まるで心がどこかに行ってしまっているように。美しい。ぼくは数秒見とれていた。 「...?マキ先輩?」 「...あっ!ごめんごめん!なんだか昔の自分を見ているような気がしてね...。」

2015-11-06 20:17:00
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 21 「...そうだね。その気持ちが何なのかは私には分からない。けれど、その目から伝わってくる、ぎゅんぎゅんする熱い気持ちは私にも分かるよ!...マリーちゃん!」 「はっ、はい!」 「これからよろしくね!」

2015-11-06 20:19:53
☪︎NeM @NeM_e_Ne

@the_smallest226 22 「マキ...先輩!よろ...よろしく...よろしくお願いします!」 気づくとぼくは目からボロボロと涙を流していた。どうしてだろう。どうしてぼくは泣いているのだろう。

2015-11-06 20:24:41