【Jamバンド】御手師マリー視点

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49 「いえ、何でもないです。ありがとうございます」 誤魔化しながらお礼を言った。その答えにマキ先輩は安心したようで、それじゃあ、と言い、話を始める。 「公園でうずくまってたけど、どうしたの？」

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50 話しづらいことだった。しかし、ぼくの目をじっと見つめるマキ先輩に負けた。圧倒されたと言っていい。あるいは魅了されたとも。ぼくの口は震えながらも言葉を紡ぐ。 「母と喧嘩したんです...あの...jamバンドのことで...」 「あぁ、やっぱり」 「はい...え？」

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51 今、マキ先輩は何といった？まるで知っていたかのように、やっぱりと言ったのか？ぼくが困惑している中、マキ先輩は話を進める。

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52 「今日言ったでしょ？もう1人、メンバーがいるって。その子もマリーちゃんが喧嘩したパーティに参加していたらしくて、私に電話してきたんだよ『マリーちゃんがどこかに行っちゃった』ってね」

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53 あのパーティに参加していた。という言葉に疑問を覚えた。が、そのうち分かるだろうし、流すことにした。 それよりも、だ。ぼくは気持ちがたかぶっていた。まぁ、すぐに収まるのだが。 ぼくは質問する。この喜びを確かめるために質問する。

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54 「それってつまり、マキ先輩がぼくを探してくれたってことですか！？」 「いや全然」 きっぱり。まぁ、そりゃそうだ。パーティ会場がどこか教えて貰っていたとしても、ぼくがどこに行ったなんて分からないだろう。ぼくは落胆した。...ぼくってこんなに気持ちが浮き沈みするやつだったかな？

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55 沈んだ気持ちでぼくはさらに質問する。 「じゃあ何でぼくを見つけられたんですか？」 「帰り道でたまたま見つけたってだけだよ。」 ぼくはマキ先輩にしがみつくことに夢中になっていたが、あの公園はマキ先輩の帰り道、というより、マキ先輩の家がある住宅街に存在しているらしかった。

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56 「そうですか...ん？あれ？じゃあ何故こんな時間に帰ってきたんですか？」 時計は9時を刺そうとしていた。あの時間に学校を出て、この時間に帰ってくるのはおかしい。距離やバイクを使っていることを考えても。..バイク？そういえばマキ先輩は校門を出る時、バイクに乗っていただろうか？

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57 「学校から少し離れたとこに小さいライブ会場があってね。この前そこに行った時にバイク壊しちゃって。まぁ、運良くバイク屋のおっちゃんとばったりあって、今日取りに行ってたんだよ。」 「なるほど...ばったりってことはそのバイク屋の方も演奏を聞きに来たんですか？」

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58 「ん？いやいや。演奏するほう。ばったりあったってのは演奏し終わって、バイク壊れてることに気づいて困ってた時だね。」 「バンドマンとバイク屋の両立ですか。」 「バンドマンっていうか、趣味でやってる人だね。お父さんの学生時代の友人だとか。」

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59 趣味でやっている。か。今の時代、そんな人も多いのだろうか。等と考えつつ、ふと、疑問に思ったことを質問する。 「ふぅん...あ、そういえば今日は、まだマキ先輩以外には帰ってきていないんですね。」 「お父さんは今日、かなり遅くなるって言ってたからなぁ。」

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60 マキ先輩がお母さんについて言わなかった理由を、ぼくが知るのはもう少し先の話である。 「あ！じゃあ泊まっていく？」 「え？どどどどうしてそんな話に！？」

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61 「どっちみち今日は帰れないでしょ。」 「それは...そうですが...」 「じゃあ決まり！」 「いや...しかし...」