内藤正典氏　パリの件とその後のシリア難民について

masanorinaito @masanorinaito

犯行自体を計画した上の人間は周到だったのだろうが、凶行の実現そのものは、ひどく安直なものに思。若者達を利用したテロリスト達は断じて許せない。だが、テロリストを掃討すると称して、シリアやイラクの町に爆弾やミサイルの雨を降らせ、無関係の市民を殺害し難民化させる事もまた許し難い

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オランド大統領が、これは戦争だと言ったが、空爆によって「戦争」を激化させるなら、一番の被害者は、IS支配地域の住民たちであることを忘れるな。彼らはISに対する有志連合の空爆が怖くて難民となって逃れるのである

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ヨーロッパなど各国首脳の中に、「難民はISのテロから逃れてきたのだから、彼等に敵意を向けてスケープゴートにしてはいけない」と発言し始めた。これは注意すべき言説。IS支配地域からの難民は、ISに対する米ロなどの空爆を恐れて逃れている方が圧倒的に多い。

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シリア難民の多くは、アサド政権による無差別な殺戮、言わば国家テロの犠牲者である。アサド政権と反政府勢力との戦闘から逃れたのである。ISが登場する以前の段階で200万人に達していた。UNHCR国連難民高等弁務官事務所の統計参照。

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ISが支配地域において無慈悲で残虐な行為を働いていることは確かだが、今回のテロで、あたかも難民を生み出しているのがISだと主張するのは事実に反する。対IS軍事作戦は強化されるだろうが、空爆の恐怖から逃れて難民となる一般の市民を増やすだけである。難民をテロのスケープゴートにするな

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自称インテリジェンスの専門家に罵られようが、国際政治学者に嗤われようが、知ったことではない。クールにテロ組織の系統図を説明することになど何の関心もない。人一人の命を奪わないために何ができるかしか、私の学徒としての目的はない

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眼の前の銃撃戦。気づいたら兵士に囲まれて銃口をむけられていたことも。

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テロの恐怖は何十年たっても、不意に甦ってくる。1982年、ダマスカスに住んでいた時には家のガラス窓（床から天井まである大きなの）を吹き飛ばされた。台所の換気扇も爆風で吹き飛んで凶器と化した。

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トルコに住んでいるときも、よくいくお菓子やさんの隣家が小包爆弾で吹き飛ばされた。食事をしていると、腹に響く爆発音がして、二つ下の通りで自動車が吹き飛ばされ、著名なジャーナリストが爆死した。

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我々はパリ市民だ、我々の心はパリ市民と共にある…なぜ、それをガザで、アンカラで、ベイルートで、カーブルで、バグダードで、アレッポで、ダマスカスで、カイロで、ベンガジで、トリポリで、モガジシウで、ワジリスタンで…犠牲になった人々には言わない？

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テロ組織が起こすテロだけがテロか？ガザで学校にいた子ども達にミサイルを撃ち込むことはテロではないのか？結婚式の車列の上にドローンから爆弾を落とすことはテロではないのか？無差別に国民の頭上に樽爆弾を落とすことはテロではないのか？中東をここまで崩壊させた事が憎悪と狂気を産んできた

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生身の人間が、どのようにして暴力に吸い寄せられていったのか、どんな経験からそうなっていったのか、それを地道に追っていく作業を経ずに、イデオロギーで論じることの虚しさを感じる。まして、少年達が犯行に関わったのであれば、なおさら彼らがジハード主義ゆえにテロに出たのかどうか