引きこもりゲーヲタだけど寝て起きたら秘密結社のリーダーになっていた件(仮題)

思い立ったパラレル設定で原作・アニメを超訳したら意外とつじつまがあったので突き進んでみた結果です。
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一白 @ippaku_u

ーばろーど見てて、クラウスさんの中身が実は気弱なゲーム青年だったらというパラレルを考える。 「Libra」というFPSにハマってた青年は“怒りの鉄拳”クラウスを持ちキャラとして様々なミッションをこなしていたが、地下鉄の駅に陣取る女性型のボス敵にやられた瞬間ゲーム世界に囚われる。

2015-11-03 23:50:19
一白 @ippaku_u

@ippaku_u 彼がクラウスとして意識を覚醒させたのは、ゲームオープニングの負けイベントである「ブラッドベリ病院を死守せよ」の後、OPムービーが終わった直後、すっかり再構築が終わったHLの道端で起き上がった時だった。 ゲーム通りの展開、ゲーム通りの人物たち、ゲーム通りの事件。

2015-11-03 23:56:33
一白 @ippaku_u

@ippaku_u ボタン操作で繰り出していた血闘術は、技名を叫べば(脳内でも可)使うことができた。選択肢はもう出ないけれど、トロフィー獲得のために何周したか分からないほどのめり込んでいたゲームなので、口にするセリフに躊躇いは無かった。 絶望し思考し立ち上がった彼の目的はひとつ。

2015-11-04 00:01:57
一白 @ippaku_u

@ippaku_u あの地下鉄駅で戦ったボスを倒す。 この世界へ来るきっかけになった出来事を覆せば、きっと元の世界に戻れるはずだ。 まずはそこまでゲームを進めなくてはならない。クラウスとなった青年は、貴族で紳士で頑固で圧倒的なパワーを持ち秘密結社を率いる重圧にひたすら耐える。

2015-11-04 00:09:28
一白 @ippaku_u

@ippaku_u しかし所詮はただのゲームオタク。荒れまくる胃の痛みというゲームではありえない持病を抱えてしまうことになった。 時はジリジリと焦らすように流れ、やっと三年が過ぎる。待ちわびたリベンジの日が近づいてきていることを複雑な思いで青年は察していた。

2015-11-04 00:13:21
一白 @ippaku_u

@ippaku_u 次のイベントは「堕落王の暇潰し 〜半神〜」だったはずだと青年は思う。いくら大好きなゲームとはいえ、三年も経てば記憶は薄くなる。ゲームについての記録はメモすら残していなかったのだ。慎重に情報を集めた結果、ここの住人たちは己がゲーム内の存在だとは知らない。

2015-11-04 06:07:44
一白 @ippaku_u

@tos 万が一、自分がゲームの外からきた人間だとバレてしまえば、どうなるかわからない。ゲーム内ではただの戦闘補助NPCだったスティーブンが冷静沈着で有能な番頭役だったように、ゲームの世界の中とはいえ、キャラクターもモンスターもそれぞれが圧倒的なリアリティを伴って自律している。

2015-11-06 11:54:00
一白 @ippaku_u

@TOS 3年過ごしてきて、この世界に愛着が湧いたことも大きい。ゲームのミッションとなる大きい事件からそれ以外の小さな事件まで、様々な問題に共に立ち向かったライブラの仲間はいまや第二の家族のような存在だ。この街の住人も悪人や放埓な異界人ばかりではないことをもう知っている。

2015-11-06 12:00:09
一白 @ippaku_u

@TOS 彼らに「お前たちは造られた存在だ」と突きつけることだけは決してしてはいけないことだと、青年は強く感じていた。 ギルベルトが牙狩り本部からの連絡を伝えてくる。新しいメンバーを加えたいという要請に対する返答だろう。3人のうちどの人物を選ぶか、青年はしばし悩んだ。

2015-11-06 12:10:23
一白 @ippaku_u

@TOS ゲーム中でも同じ選択肢があるのだ。ひとりはアタッカー。ひとりは防御特化。そしてもうひとりは呪術でのサポートである。 どれを選んでもストーリーに変化は無いため、青年は迷わずサポートタイプのジョニー・ランディスを選んだ。 ゲーム内ではサクッとやられがちな追加メンバーだが、

2015-11-06 12:18:50
一白 @ippaku_u

@TOS サポートタイプの彼はだいぶ長生きしたはずだ。愛着の湧いてきたこの世界で、仲間の死はひどく堪える。 ジョニーの迎えにはザップを配置した。ゲーム中では選択した次の瞬間には効果音と共にNPCリストへ新入りが追加されたものだが、現実に即した世界ではそうでもないらしい。

2015-11-06 12:22:40
一白 @ippaku_u

@TOS そして、ザップが連れてきた新人は、ジョニー・ランディスでは無かった。条件反射でゲーム内のセリフをなんとか吐いたものの、内心は混乱で支離滅裂だった。本物のジョニーは死亡、ジョニーをひっくり返したような見た目の彼はレオナルドと名乗った。

2015-11-06 12:29:31
一白 @ippaku_u

@TOS 彼は己の罪を告解し、自分は卑怯者だと涙を流した。青年はそれを否定する。どうしようもなさそうな出来事にぶち当たって引きこもった自分に比べて、彼は立ち上がってこんなところまで来た。「光に向かって一歩でも進んでいる限り、人間の魂が真に敗北することなど断じて無い」

2015-11-07 08:05:24
一白 @ippaku_u

@TOS 青年としての羨望とクラウスとしての矜持からの言葉をかけて、八つ当たりをするようにポリスーツをなぎ倒した。それでヒットポイントが尽きてしまい、回復するまでのことをザップと新入りに託す。神々の義眼は、解析の結果でしか現れない実装済み未登場アイテムだ。効果のテキストには

2015-11-07 08:23:39
一白 @ippaku_u

@TOS 視覚に関する全てを支配できるが代償が大きい、とある。代償がレオナルドの妹であれば、彼には大きな力が備わっているはずだった。そしてザップとレオは世界を救って帰ってきて、青年は自分が知っているゲームとの乖離に恐怖しながらも、新たな展開へ世界脱出の希望を見出す。

2015-11-07 08:26:19
一白 @ippaku_u

@TOS そして、ついに運命の日がやってきた。血界の眷属の諱名を、神々の義眼は見通したのだ。レアキャラかつ迷惑キャラであるエイブラムスの護衛で電車に揺られる間も、青年は楽しくて仕方がなかった。三年越しの悲願がついに達成されるのだ。 血界の眷属出現の電話を受けた時、彼はまだ

2015-11-07 09:12:21
一白 @ippaku_u

@TOS ユグドラシアドにいた。久しぶりすぎて、敵が行動を開始するタイミングをすっかり読み違えていたらしい。それとも、レオナルドと神々の義眼というバグのせいだろうか? 地下鉄のホームが戦場であることを幸いに、そのまま電車で向かう。脳裏にはいままで存在していなかった999式の

2015-11-07 09:14:57
一白 @ippaku_u

@TOS 技名が存在を主張していた。全速力で駆ける電車から飛び降りる。眷属のお供は一瞬で滅殺。一撃食らうだけで危険な爪を間一髪でかわし、心臓に左拳を突きつけた。諱名を唱え、技名を叫ぶ。醜く歪む吸血姫の顔を、胸が空くような思いで見つめた。これで全てが終わるのだと、思っていた。

2015-11-07 09:18:11
一白 @ippaku_u

@TOS 喧騒の日々は容赦なく続く。サクサクと世界をすくいながら、青年は絶望からの諦念からの、新たなゴールを設定していた。ゲームでのラストミッション、「幻界病棟ライゼズ」。オープニングで敗北した血界の眷属にリベンジするという胸熱展開ののち、ゲームはエンディングを迎える。

2015-11-07 10:48:41
一白 @ippaku_u

@TOS そこまでいけばもしくは、という希望と、そこまでいっても何もなかったらという不安とに苛まれる心と胃の辛さを地下闘技場で発散させたりもした。だんだん楽しくなってきていたのは秘密だ。 LHOSに呼びだされたのは、ゲームには無かったがありえなくも無いイベントだった。

2015-11-07 10:55:25
一白 @ippaku_u

@TOS そもそもLHOS自体が開発ツイッターでの裏話でしか言及されていない組織なので、こんなこともあるかな程度の認識だった。しかし、第二次大崩落はゲームに存在しないはずの「絶望王」によって開始された。 メアリとウィリアム、ふたりのマクベスなんて青年は知らなかった、を

2015-11-07 11:03:52
一白 @ippaku_u

@TOS 結界の崩壊危機、グールの発生。あまりの事態に混乱して、ゲームオープニングのブラッドベリ病院前でキャラクターであるクラウスが言ったセリフを思わず口にしてしまい、スティーブンにツッコまれる段もあった。 グールまで発生してしまえば、先が見えないながらも戦うしかない。

2015-11-07 13:14:24
一白 @ippaku_u

@TOS シャッフルされた街で、広範囲&追尾技を使う。できたてグールに対してはオーバーキルになるが、憂さ晴らしにはちょうどいい派手さだった。三年ぶりに見る星空の下に、悪夢のメリーゴーランドみたいな瓦礫の塔が建築されている。古今東西、ラスボスというものは

2015-11-07 21:32:06
一白 @ippaku_u

@TOS 一番深いところか一番高いところにいるのがお約束だ。 レオナルドは未だ見つからない。絶望王がレオナルドの義眼、つまりバグを使って何かしたということは、絶望王もバグである。目には目を、歯に歯を、バグにはバグを。 マクベス兄弟と仲が良かったから、その方面からのアプローチも

2015-11-07 21:35:06
一白 @ippaku_u

@TOS 可能かもしれない。ギルベルトにレオナルドの送迎を頼んで、青年はビルのてっぺんまで登った。 絶望王がクラウスの体を操る。ふりほどけない強さでは無かったが、行動パターンを知るために様子見した。「これはゲームだ」 と言われて、心臓が跳ねる。

2015-11-07 21:37:52